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3.the new arrival and intruder.―6


「うん?」

 龍二の口から飛び出した突拍子ない発言にシオンは目を見開いて首を傾げた。隣の少女もまた驚いたようで、静かにだが口を開いて何か言葉を吐き出したようだった。

「もう一回言った方がいいか?」

「いや、いいです」

「じゃあ答えを出せよ。依頼料はそれだ。それ以外に興味はねぇよ」

 サラっとトンでもない事を吐き出した龍二を凝視してシオンは疑う。なんだこの男は、まさか身体を狙っているのではないか、と変な推測までしてしまいそうになる。が、だとしたら仲間という表現は不適切か、と思い直す。

(そういえば……、確か神代龍二はウルフから殺し屋を一人引き抜いたって聴いたような)

 と、どこかで聴いた話を思い出してシオンは考える。

「少し考えと状況を整理する時間をください」

 シオンがそう言うと、龍二は笑顔で「おう」と答えて飲み物に手をつけた。

 少女が静かに首を動かして隣のシオンを見上げた。眉を顰めて難しい表情をしている。仲間になる、という事について必死に考えているのだろう

 二人は殺し屋同士だ。対峙すれば殺し合うのが当然。だが、今回は特例として依頼者と殺し屋として対峙している。が、報酬は金ではない。仲間になれ、と龍二は言う。おかしな話だ。おかしな話だから故、理解が及ばず、素直に頷く事が出来なかった。

 だが、シオンは思い出す。少女を助けようと血迷ったあの時の出来事を。謎の声に導かれて龍二の下へと来た。

 今更、何を迷えというのか。

 シオンは隣の少女を見る。と、シオンを見上げていた少女は恥ずかしそうに視線を前に戻した。

(そうだ、この子を守ってあげようって思ったから、ここまで来たんだ)

 そしてシオンは、龍二の視線と自身の視線を重ね、頷いた。

「わかった。だから、私達を……いや、この子を守って」




    24





「え、何。また親戚?」

 日和と春風は大きな荷物をそれぞれ持ち、龍二宅へと帰宅した。が、シオンと少女と対面して日和は不思議そうにそう首を傾げた。また、というのは春風に続いて、この家に住むのだろうな、と自然と思ったからだろう。

「そこまで考えてなかったわ」

「何言ってるの?」

 適当な事を吐き出す龍二に日和は更に首を傾げた。龍二が言い訳をすぐに吐き出さない、または吐き出す気がないと見て、シオンが慌てて前へと出て自己紹介をした。

「あ、あの。私シオンって言います。龍二さんの古い友人で、」

 まだ言葉の途中だったが、

「よろしくね。シオン。細かい事は聞かないから安心してね」

 なんて意味深な事を言って挨拶をした日和。流れをぶち壊しにしない日和の長所が生かされていた。

「浴衣は?」

 龍二が問う。

「勿論。安物だけどねー」そう言って日和は手にした大きな荷物を胸の前に掲げる。「桃ちゃんが安いのでって聞かないからさ」

「金の事は気にしなくてイイって言ってるだろ?」

 日和の報告を聴いた龍二は春風へと視線をやって何度口にしたか分からない言葉を再度吐き出す。龍二は心の底からそう思っている。一人でも使いきれない程の金を龍二は持っている。それだけの金だ。二人で使おうが三人で使おうがすぐになくなったり等しない。だから龍二は本当にそう思っている。だが、春風は遠慮してしまう。今や家族同然の関係だ。春風の財産でもある、と龍二は言うが。

「いいの。これが気に入ったから」

 と、極自然に言い切って抵抗する春風。

 春風は春風で考えもあった。龍二が異常な程の金を保有している事も知っている。それを自由に使って良いとも言われている。だが、春風は、せめて遺品の件が解決するまでは自由になどしない、と決めていたのだ。




    25




「シオンがオプションを強奪して逃走した件について進展があった」

 殺し屋団体も影に身を潜めながらも『本社』や『アジト』として本拠地を置く事がある。ナンバー程の巨大組織は当然の如くそれを保有していた。東京都内の何処かの巨大ビル。表向きにはそれなりの会社ビルで通っているが、事実は違う。

 その上の階層に位置する幹部格のみが集う広い会議室にて声が響いた。

 この場には立派な髭を蓄えた表情の渋い年配の男と、若い金髪の男がいた。年配の男はナンバーのリーダーである『ゼロ』。若い金髪の男はゼロに遣える『ワン』という男だった。二人の存在自体はナンバーに所属する殺し屋ほぼ全員に知れ渡っているが、あまり表に身を出さないがため、容姿を知る者は少なかった。

 このナンバーのトップツーから見ても、今回のシオンの一件はそれなりの問題だった。

「進展? それよりも早くそのシオンを連れてこないか」

 ワンの報告にゼロは眉を顰めて低い声でワンを脅す様に言った。思わずたじろいてしまう程の声¥声色とそれに重ねて発せられる怒りの混じった殺気に一般人であれば動けなくなってしまうだろうが、ワンは怯んだ様子もみせずに答えて返す。

「まぁ、聞けよリーダー」

 軽い調子にも慣れているか、その言葉にゼロは嘆息と共に頷いて返した。

「話せ」

 ゼロの許可に口の端を釣り上げて静かに笑ったワンは一息置いてから、話した。

「シオンはどうやらあの神代家へと逃げ込んだ模様。恐らくは助けを求めたのかと。現存する神代家の龍二とやらはウルフからアイリスという殺し屋を引き抜いている。もしかすればシオンも引き抜く可能性もあるだろう。それと、『ライカン』から、例の件について『オーケー』の返事が来た」

 

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