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0.plorogue-the time has,
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黒く短い髪に一六○センチ程の身長。父親譲りの鋭利な顔立ちとは対照的な触れやすい柔らかな性格。神代龍二はそんなありふれた設定でもされたのでは、と思うような男だった。
その通り、極普通の人間だった。
桜の花弁舞う春。卒業シーズンという季節。そして、入学シーズンともいわれる季節。
神代龍二は市立の中学を卒業する所だった。
そう、そこまでは、彼もまだ普通だった。
「龍二。あっちでパパさん達が呼んでるよ」
神代が友達とわいわいと騒いでいると、親が呼んでるよ、と呼びに来る幼馴染もいる。
「あ、あぁ。分かった。すぐ行く」
そう言って離れる神代龍二を手を振って、笑顔で見送ってくれる友達がいる。
片手に抱える卒業証書の入った筒を固く握り締め、次に通う高校の事を理想にし、親の元へと向かう神代龍二。
今日は特別だ、帰りに外食にでも連れて行ってもらおう。そう、思っていたのだが。
「話しがある」
神代龍二が両親の元に辿り着くと、そこには真剣な表情の父がいた。