プロローグ
目が覚めると扉のポストからゴトッと響き、郵便物が届いた音がする。
少し戸惑いながらも封筒を取ると、そこには見覚えのある字で|月光 蛍瑠と綴られてた。
さすがに冬場のこの時期に玄関に立ち尽くすのは寒いので、部屋の窓際にあるお気に入りのハンモックチェアに腰をかける。手に持った封筒に目を向け、その名前を見て少し不思議に思いながらも封を開けた。「拝啓」と書かれた文字が目に飛び込んでくる。今まで1度も手紙などよこしたことがない人からの突然の手紙に少し手に力が入った。
『お久しぶりです。覚えていますでしょうか?突然のお手紙ごめんなさい。とても驚いたでしょう。もうあなたに会えなくなってから十年もの月日が経とうとしていますね。
どうしてもあなたに伝えたいことがあり筆を取りました。』
''十年もの月日''そんなに年月が経っているのか、と思うと少し感慨深くなる。
『私は、この度結婚することとなりました。今更こんなことを言われてもと思うかもしれません。ですが、どうしてもあなたに伝えておきたかった。』
そうか、結婚するのか。
そう心のどこかが少し暖かくなったような、ホッとした感じがした。
感じなれない気持ちに少し疑問が浮かぶ。
しかし、蛍瑠が結婚か。時間が経つのは早いな。
返事出来ればよかったんだがな。
「おっはよーございまーす!」
勢いよく扉が叩かれ、「起きてますかー!?早く入れてくださいよーーー!」と女の子の大きい声と騒がしい音にハッとする。気づけば手紙を握りしめたまま氷漬けられたように、固まっていた。だが、ドンドンドンッ!という騒がしい扉を叩く音に辟易とし、外の騒々しさに頭が痛くなる。
「ピンポーン!!ピンポーン!!」
チャイムの連打音と「起きてますー?」という扉を突き抜けるほど大きい声に、「はぁ、、」と溜息をつきながら手紙をダイニングテーブルに置き、扉に向かった。
二重ロックされた玄関の扉を開けると、肌を凍らせるような冷気と一緒に眩しい光が目に飛び込んでくる。眩しさで一瞬目をつぶった先に大きい声で叫んでいたラングという少女が寒さで鼻と耳を赤くしながら立っていた。
「おはようございます!って!まだ寝巻きのままじゃないですか!」
その子は驚くように言い放ち、プンプンと怒っているのかさらに顔が赤くなっている。
「朝からよくそんな大きい声が出るな。とても近所迷惑なんだが。」
気だるげな声でそう言うと赤かった顔を今度は熟れたりんごのようにさらに真っ赤にさせる。小さい背を頑張ってつま先立ちで伸ばし、プルプルしている。大きい声と言ったからか黙って睨みつけてきたが、身長差があるせいか上目遣いにしか見えない。
「怒ってるみたいだけど、身長差的に上目遣いにしか見えないから可愛いだけだよそれ?」
「か、可愛いとか言っても私は騙されませんから!誰にでも言ってるの知ってるんですからね!ていうか、大声出してたのも先生が開けてくれないからじゃないですか!もう、寒いんで入れてください!」
「あはは、ごめん。ごめん。そーだね、寒いから入ろうか。紅茶でも入れよう。」
そういい二人で手紙の置いたダイニングテーブルの椅子に座り、暖かい紅茶を飲んだ。
読んで頂きありがとうございます。
初めて、書くので拙い文章ですが応援して頂ければ幸いです。
自分で書いていて、「結婚するのか」が完全に某CMじゃん、、、とか思いながら書いていました。
次の更新を楽しみにお待ち頂ければ幸いです。




