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第6話:クッキーが美味しいので、1年貸してもいいですよね?

 「こちらが人形の館でいいのだな。」

 偉そうな人が来ましたね…後ろにいるのは男爵様のところのメイドさんですか…と言うことはこの人は男爵様でしょうか?

 「はい、私がここ人形の館の店主でサーリアと申しますわ。」

 「うむ、其方の作った人形は非常によく働いてくれ、助かっている。」

 「ありがとうございます。お役に立てているようでよかったです。」

 「それでだ、その人形を買い取ることは出来ないだろうか?」

 買い取るですか…メンテナンスもしてあげないといけませんし、給金無しで働くメイドが出回るのもいけません…貸し出すのは出来ても、売るのは無しですね…


 「申し訳ありません。この子達は人形で、日々メンテナンスも必要です。申し訳ありませんがお売りすることは出来ません。」

 「どうしてもか?」

 貴族という権力を振るうようならこちらにも考えがありますよ…

 「はい、どうしてもです…」

 「う~む…では、其方をうちで雇い入れるというのはどうだ?」

 「私を雇うとは言ってもいくらで雇うおつもりですか?」

 この子達の価値から考えたら、それなりの額を言ってくれないとよい返事は出来ませんよ。

 「1年で金貨800枚だそう。」

 「うちのメイドを1年お貸しすると、金貨300枚になります。メイドだけでも4人以上いるのですよ?」

 「な、ならば、1500枚出そうではないか…」

 それって、安くなってますよね?メイドの分を引いたら私の取り分は300枚ですから…


 「申し訳ありません。人形もお売りできませんし、私も男爵様のところで働くことも出来ません。今まで通り人形をお貸しすることは出来ますのでそれでお願いいたします。」

 顔が赤くなってますね…怒らせてしまいましたか…ここは廃業して別の土地に移ることになりますか…


 「わかった…其方のメイド人形は年間金貨300枚なのだな?」

 あら、怒らないのですね…

 「はい、1日ですと金貨1枚ですが、一月借りて頂けるなら金貨25枚。1年借りて頂けるなら金貨300枚にさせて頂きます。」

 「なるほど…では、ステラと言ったかあの人形を1年借り受けたい。」

 おやおや、お気に入りはステラでしたか…

 「分かりました。ではステラを1年間貸し出しさせて頂きます。そのかわり、月に1日メンテナンスの為お返しください。よろしいでしょうか?」

 「わかった。そのように計らおう。」



 長期の契約となりましたが、それなりに話の分かる男爵様ですね…何かあったときは優遇してあげましょう。

 「男爵様、1つうかがってもよろしいですか?」

 「うむ、何が聞きたいのだ?」

 「先ほど私がお断りした時、かなり怒っていらっしゃったように思えましたが…」

 「そのことか。なら逆に聞くが、あの時私が手を上げていたら其方はどうしていた?」

 「そうですね…男爵様の機嫌を損ねてはここで商売をしてゆくのが困難になりますから、多の場所に移ったと思います。」

 「それをされると私が困るからだよ。ステラを借りることが出来なくなるだろう…」

 そこまでステラをお気に入りですか…

 「どうして、そこまでステラを気に入ってくださっているのですか?」

 「ステラの焼くクッキーが美味くてな…他の者に焼かせてもどうしてもその味が出せぬ…」

 クッキーですか…やはりこの子の焼いたクッキーは美味しいのですね…

 「わかりました。お売りすることは出来ませんが、私がこの町にいる限りステラは男爵様のところ以外には貸し出ししないとお約束いたしましょう。それでいかがでしょうか。」

 その位はさせて貰いましょう。貸出先がずっと決まっている人形があってもいい気がします。

 「そうして貰えると助かる。どうにもそのクッキーがないと仕事が進まぬ。」

 甘い物好きなのですね…それともステラの作ったクッキーに中毒性があるとか…要検証です…

 「では、ステラはしっかりとメンテナンスをしてからの貸し出しとさせて頂きます。1週間後の貸し出しとさせて頂きますがよろしいですか?」

 「1週間もステラのクッキーが食べられぬのか…しかたない、早々にメンテナンスを終わらせてくれ。」

 「承りました。メンテナンスが終わりましたら男爵様のところに向かわせます。」

 「うむ、よろしく頼む。」




 大口契約ですね…年間契約というのもいいですね…空き時間がなくなりますので、よい収入になります。年間契約してくれるような所がなかなかありませんが…


 「ステラ、クッキーを焼いてきてください。男爵様のところで焼いたクッキーをです。」

 さて、検証ですよ…中毒性のものを作っていたと言うことになったら夜逃げしないといけません…



 『マスター、お茶と一緒に用意しますのでしばらく待っていてください。』

 「うん、それじゃあ工房の方まで持ってきてくれる?」

 出来上がるまで他の子のメンテナンスをしましょう。


 『マスター、お茶が入りました。』

 「ありがとう、ステラ。」

 さて、ステラのクッキーはどんな感じでしょうか…

 うん、美味しいですね…中毒性はないと思いますが、癖になる美味しさというやつですね…確かにもう一枚食べたくなりますよ…仕事がはかどるというのも分かる気がします…

 これを中毒性があるというのでしょうか…ちょっと違うような気がしますね…



 検証も無事終了しましたので、メンテナンスをして送り出しましょう…男爵様の為に少し頑張りましたよ…1週間と言いましたが4日で仕上げました…ちょっと眠いです…



今回の収入

メイドドール…金貨1枚

 貸し出し 1体 1年(365日)

 割引 金貨65枚


合計 金貨300枚

 (メンテナンス13日含む。)

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