#1「おもいかえせば」
戦争物で初執筆です。
温かい目で見てください!
これからも頑張ります。
思い返せば私は、人間だった。
いや、人間どころかただの一般人。それも、人口の五割が就く職である農民だった。
生活も普通だった。朝早くに起き、作物の様子を見る。朝ご飯を食べて、畑を耕す。昼頃に買い物ついでにランチ。動物対策の罠の整備をして夕食食べて寝る。たまに友人と遊ぶくらい。
戦ったことなんてないし、毎日平和だったので犯罪行為もしたことない。そして奥手だったので恋愛沙汰もないので純潔である。そこらへんにいるフツーの女の子だった。
...少なくとも、あの時までは。
------------
「メルフィー!早く起きろよ~!」
「んもぅ、起きてるってばー!」
朝からうるさい声が聞こえる、この声はきっとミルツだ。元気で大きな声、彼に間違いない。大体アイツは
年頃の女性がどれだけ準備がかかるかわかっていない。農家といえど一応女の子なのだから配慮してほしいと思いつつも身だしなみを整える。
ミルツとは幼馴染である。ともに農家の子に生まれ、親の家業を継いだ。赤ん坊の時からずっと一緒で仲も悪くない。黒髪のショートヘアーが特徴で、女の子に見えなくもない。
「早く農作業に行くよ~!」
「はいはい、分かったってば。」
もう少し身支度に時間をかけたかったが、ミルツが子犬のようにこちらを見つめてくるので仕方なく切り上げた。早く起きることもしてみたが、なぜかミルツも早く起きてくるので断念した。
今の時期の作業は単純で、農作物の様子を見るだけなのだが、ただ見るだけというわけにもいかない。
虫が住処を作っていたり、食われたりしているところを処理しなければならない。この作業が一番つまらないはずなのだがなぜかミルツは楽しそうにしている。
「アンタ、よく飽きないわねぇ...関心するわ。」
「えへへ~だって、飽きないんだもーん」
「それ、答えになってないわよ。」
「え?そうかな~」
と、こんな風に中身のない会話をする日常である。今日のご飯は何にしようかと考えていた時、
村の鐘がカーン!と鳴った。この鐘が鳴るときはたいてい税金の変動や国の情勢にかかわるときの集合
の合図なのだが今回は立て続けに何回も鳴った。こんな鐘は聞いたことがない。緊急事態だ。
「ほら、はやくいくよ!」
「う、うん!」
私はとっさに腰を上げ、ミルツと集会所に向かった。ミルツはまだ農作物を見ていたが、私が手を引っ張るとすぐに腰を上げた。馬鹿というのはこういうやつのことをいうのだろうか。
--------
集会所につくと、そこにはすでに大勢の人がいた。緊急事態だし飛び出てきたのだろう。皆息を切らし長老が出てくるのを待っている。
「なんだろう...怖いなぁメルフィーは何だと思う?」
「さあね...税に関することなんてことはないだろうし、国にかかわることなのかしら。」
メルフィーの予感は当たっていた。しかしそれは、"最悪"の方向だった。
「皆の衆。よく集まってくれた。朝早く農作業をしているところすまない。」
「突然だが、国王が亡くなった.....いや、暗殺されたというべきか。」
皆が驚き、ざわついた。中には信じられず泣き出すものいた。当然である、国民の信頼も厚い国王が暗殺されたのだから。
ミドルブ国王は国の王にして英雄である。数々の戦争を言葉によって防ぎ、国の情勢を良くした誰もが信頼する国王である。彼がいるおかげで国民は平和な生活を送り、世界の平和は彼によって保たれていたといっても過言ではない。
「悪い知らせはもう一つある。国王の跡を継いだのはリヴォーだ。」
この知らせは皆をより驚き、震撼させた。恐怖で過呼吸になるものもいれば青ざめてうずくまるる者もいた。
リヴォーは過激派の人物であり、兵隊上がりの政治家だった。一度ミドルブ国王と政権争いになった時、彼の演説をだれもが聞いた。そして、誰もが恐怖した。メルフィーも幼いながらそのことを鮮明に覚えていた。
「私はリヴォー。数年前まで軍にいたが今回この演説のチャンスをいただいた。まことに光栄である。私の政治的目標は世界平和である。」
演説の最初のほうは普通だった、平和になればいいことや皆が幸せに暮らせるなどといったきわめて当たり前のことを言っていた。皆が恐怖したのは次の演説である。
「この政治的目標を達するには力が必要である。対話による平和など夢のまた夢、偽の平和だ。私は
真の平和を求めている。私が実行するのは優秀な人材を集め、すべての国に宣戦布告し、力による平和を勝ち取ることである。そうすれば皆裕福な暮らしができるし、戦いにおびえることもない。そうだろ?
私が国王になればもっと楽な暮らしができる!戦いにおびえなくていい!さあ!私に清き一票を!」
メルフィーは訳が分からなかった。ちから?にせのへいわ?ゆうふく?などと聞きなれない単語がどんどん出てきたしせんせんふこくなどもっと訳が分からなかった。それぐらい幼かったのである。
しかし恐怖を覚えた。それは国民の態度である。皆が怒号を飛ばし非難するその光景を見た幼いメルフィーは、何も話が分からないにせよ異常なことが起きていたことは分かった。ミドルブ国王の時はみんなうれしそうなのに。
しかし、年齢を重ね知識を深めると同時にその恐ろしさを理解した。だからこそ、今の状況の恐ろしさが分かる。メルフィーの心をどん底に落としたのは長老の最後の発言だった。
「これに伴って国王はありとあらゆる大国に宣戦布告した。明日兵役調査が来るそうだ。皆、くれぐれも反抗してはいかんぞ、軍部に粛清されるぞ。」
これを最後に長老は話すのをやめ、家に戻っていった。残った村人たちはみな唖然として黙り込んでいた。メルフィーもすぐにはミルツに話しかけることができなかった。そしてお互い話すことなく夜を迎え、それぞれの家に戻った。
メルフィーは何も考えることができなかった。戦争なんて体験したことないし話に聞いたこともない。
誰かが兵役を務めるなんて考えたこともなかったし、考えたくもなかった。そんな思考がずっと頭の中で回っていたのである。
-----------------
メルフィーは一睡もできなかった。我を取り戻したのは朝になり鐘が鳴った時である。これは兵役検査の集合の合図だと察した。
しかし、いつも出てきているはずのミルツが出て来てない。私は集会所に行く前にミルツを呼びに行った。
「ミルツー!鐘がなってるわよ!早く行かないと!」
「うん...今行く。」
メルフィーは彼の姿を見て驚いた。美少年だった彼の姿はなく、顔はやつれ歩く姿もよろよろとしている。こんなになるのも当然である。昨日あんなことをいきなり言われたのだから。
「あんた...大丈夫?」
「うん...へいきだよ、ただ眠れなくてさ。ぼく、どうなっちゃうのかなって。」
「大丈夫よ、きっとほかの国も状況を見て冷静に判断するわよ。」
「うん、そうだといいんだけどな...」
としゃべりながら行く集会所への道のりはいつもより重く、長かった。
集会所につくと、軍の兵隊がずらっと並んでいた。こんな数は見たこともないし、村人の数以上である。村人が全員集まったのを確認すると兵隊たちは村人たちの前に並んだ。
「これより!適性検査を開始する。村の者を確認した兵隊たちは皆私に報告するように!」
と、いかにも軍の偉い人が命令をした。どんな検査を行うのだろうかとない維新とても不安だったが検査は簡単なもので、変なグラスでのぞかれただけだった。これが魔力を見るという奴だろうか。
と考えているうちに集計が終わった。
「検査は終了だ。この中で異常に適正値が高いものがいる。そのものだけ兵役に来てもらおう。」
と、検査終了の言葉が出された。この中で一人か、意外と少ないものだなと思いつつもこれからどうなるのか不安に思うメルフィーは家に帰ろうとした。その時、
「そこの白髪、こっちにこい。」
何か忘れ物をしたかと思っていたがこの時呼び止められなければこんなことにはならなかったかもしれない。
「はい、なんでしょ-」
「メルフィー・ユーリーネ!貴様に兵役命令を処す!」
アドバイスなどありましたらよろしくお願いします。