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第9話 平和的解決法

「あんたら…ガルーダ派ヒューマン・プライシーの構成員か?」


俺は男たちに尋ねた。

すると男は所属している宗派の名前を言われて嬉しかったのか、しきりに頭を促す。


「そうだとも、俺たちは人間を正しく導くために日々活動している()()()()()さ!今ならまだ間に合う!宗派を変えたまえ!」


「そうだ!我らは不純物を入れない為にここで活動をしているのだ!その女とは知り合いのようだが、今すぐ別れたらけがれは浄化されるだろう!」


「さぁ、是非ともガルーダ派に入ろうじゃあないか!」


…話の通じる相手ではなさそうだ。

おまけに大切な人をこいつらはいきなり突き飛ばした。

幸い段差のある場所じゃなかったからフームさんが尻餅をついただけで済んだ。


しかし、これが階段で行われていたらどうなっていたか…。


下手をしたら骨折していたかもしれない。

打ちどころが悪ければ死んでいたかもしれないんだ。

次第に俺の心の中では怒りが沸き起こる。


「平和主義者ねぇ…俺の大切な友人を突き飛ばす行為のどこが平和主義なんだ?」


「なんと…無知な輩のようだ…我々の事を理解してくれない…」


「そんなことよりも、俺の友人に謝ってもらえませんかね?女性を理不尽な理由で突き飛ばすだなんて人として最低ですよ」


「…ツーダ様、こやつには制裁を下したほうがよろしいのでは?」


「だな!俺はガルーダ派でも腕利きの剣術を取得している…その素晴らしい剣術をリフーム教を否定したお前の身体に刻んでやる!!!」


金髪で顔の脂肪が乗っているツーダと呼ばれている男がいきなりキレた。

制裁を加えたほうがいいと、部下の男の煽てに乗ってやる気を出して挑んできた。

腰に身に着けている短剣を右手で握って、俺に襲いかかってきたのだ。

いきなり何をしてくれているんだコイツは…。


「喉元を引き裂いてやる!!!」


短剣の先端が喉元に押し寄せる。

しかしこいつは短剣の使い方がなっていない。

攻撃を予測できてしまう動き。

騎士団で一週間ほど訓練を受けた新人のほうが強いんじゃないかな?


―シュッ。


俺はツーダの動きを見切った。

オオドクガエルに比べたら、これはカタツムリみたいに鈍いな。


「…どこを狙っているんだ?」


「なっ?!なにぃ?!避けただとぉ!!!」


「このぐらい前職では日常茶飯事だったんでね」


―ぐぃっ。


義足を一歩前に出してから、ツーダの右手を左手で掴んだ。

確かに基礎訓練はしているようだが、バランスがなっていない。

典型的な不意打ちで一撃必殺を噛ます奴だ。


強盗や刺客に多く見られる攻撃方法だ。

だが、騎士団ではそういった輩から身を守る護衛任務を引き受けていた。

近接戦闘は俺の得意分野だ。

相手の利き手を封じ込めてしまえば、あとはこちらのものだ。


「人様に…いきなり剣を突き立てるんじゃない!!!」


―ドゴォッ!!!


ツーダの顔面に右ストレートでパンチをぶち込んだ。

顔面にめり込んでいく拳。

丁度鼻の部分を中心にめり込んだので、かなり痛いかもしれない。

鼻呼吸できるかな?


「おごごぁぁぁぁぁぁ!!!!顔がぁぁぁぁ!!!俺の顔がぁぁぁぁぁ!!」


「ツーダ様!!!」


「いてぇぇぇぇ!!!いてぇぇぇぇよぉぉぉぉぉ!!!!」


痛みを抑えるために剣を落として膝を地面について両手で顔を抑えているツーダ。

その様子をみていた部下の男たちが見る見る顔を青ざめていく。

まるで釣り上げた魚みたいだ。

口をパクパクさせてやがる。


「そ、そんな………ツーダ様が負けるだなんて………」


「あ、ありえん………クリシュミ―様からの恩恵ギフトを受け取っているツーダ様が………ああ、何という事だ…」


「おい、そこの二人。呆然としていないで俺を見ろ」


「「は、はい!!!」」


ビクッと身体を震わせる。

先程の威勢は簡単に消し飛んでしまったようだ。

ツーダが強いのなら、こいつらはそれより弱いのだろう。


「お前ら………そこでうずくまっている奴みたいになりたいか?」


「い、いえっ!!それだけはご勘弁を!!!」


「さ、先程は無礼を働いて申し訳ございませんでした!!!」


「謝るべき相手が違うだろぉ?…俺の友人にしっかり謝ってくれ。そして、その金髪野郎を連れてこの場から立ち去れ………もう二度と俺たちに構うな、次に構ったら今度は容赦しないからな…いいな?」


「「は、はいぃぃぃ~~~~!!!!」」


二人の男はすぐに行動を示した。

平身低頭で深く頭を下げて大声でフームさんに謝罪した。


「「本当に、すみませんでした!!!」」


「は、はい…」


フームさんは二人からの謝罪を受け取る。

あまり事態を大きくさせても厄介だ。

この辺が手打ちというべきだろうか………。

俺が殴って突き飛ばしたツーダは、顔面を押さえ込んだままだ。


「ツーダ様!行きましょう!ここにいては危険です!」


「くそっ、あの野郎!あの野郎………絶対に………!!!」


「お気持ちは分かりますが、これ以上醜態を晒すわけにはいきません!」


―ガシッ。


部下の男たちがツーダの腕を掴んで逃げるように立ち去っていった。

逃げる際にツーダが俺を睨みつけてくる。


「金輪際来るんじゃねーぞ!!!」


「そうだそうだ!勝手に店の商品喰いやがって!!!」


「出ておいき!!!お前達に売る商品は無いよ!!」


逃げていく男たちに追撃の如く浴びせられる罵声。

相当市場の人達から反感を買っていたようだ。

大声で市場で働く人達が叫んでいた。

群衆も男たちが建物の陰で見えなくなるまで罵声を行っていたのであった。

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