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第14話 準備万端

「この薬草がオススメですね…香りを嗅いでみますか?」


「どれどれ…うーむ、臭みはなくて心地よい香りがしますね…この薬草は一体?」


「これはキメハッカと呼ばれている薬草の中でも品質と効果に優れているハーブです。」


「ハーブですか、なるほど…それでここまで良い香りがするのですね」


最初に手にしたのはキメハッカとよばれる薬草だ。

この薬草を蒸留して抽出したものは、女性向けの香水として出回っているという。

フームさんのお気に入りの薬草だという。


「このキメハッカから抽出されたハッカ油を3~5滴をタオルにつけてから水で薄めて身体に塗ると、とっても涼しく感じるのでオススメですよ!良かったら後で試してみますか?」


「フームさんがそこまで勧めるのであれば是非ともお願いいたします!」


「分かりました!では杖の媒体用とは別に購入しますね」


薬草を買い物かごに詰め込む。

買う量が1キロということもあることながら、まとめて買う客の為にすでにキメハッカをブロック状にまとまった状態のものが売り出されていた。


ブロック状に纏めたキメハッカは四角形の形で縄で縛られた状態でいくつも棚に積み重なっていた。

そのブロック状の塊を一つ買い物かごの中に入れる。


「ブロック状で販売しているとは思いませんでした…てっきり草を集めて買うものかと…」


「あれは家庭用として買う場合ですかね…キメハッカはそこそこ高いのでバラで買う人が多いのです」


「バラで買う場合と今回のようにブロック状で買うのとでは違うのですね…」


「そうですね…ブロック状のほうが媒体に取り込む際に手間があまり掛からないので便利です。ですが、魔法を使わない非魔法志向の人は一から精油して香水にしたりするほうが良いとされています。そうした人はバラでいつも買うそうですよ、ではあとは…イナズマイモリを買えば買い物は万事完了になります!」


次にモンスターから採取された牙などを展示しているコーナーに向かった。

こちらでは様々なモンスターが売られていた。

大半は薬などに活用されるらしく、牙や尻尾などが展示されていた。


「…ここに展示されているのは薬の原料になるモンスターばかりですね…大半が乾燥されています」


「半ミイラ化状態ですね…こんな状態でも使えるのですか?」


「中途半端な状態だとモンスターが腐敗しやすいのです。なので予め身体から水分を抜き取るのですよ。そうすれば長期間の保存ができるので、基本的に乾燥したものを使用しております」


「今回購入するイナズマイモリも、乾燥した状態で媒体として取り込むのですか?」


「勿論です」


イナズマイモリの干からびたものを薬草とは別の買い物かごに入れる。

なんでも臭いが移ってしまいやすいので、かごを分けて買うのだとか…。


媒体にするなら一緒でも大丈夫かと思ったが、どうも一度に全部の媒体を入れてしまうと杖や魔導書の効力などが弱まってしまうそうだ。

フームさん曰く、魔法とは料理と同じなのだそうだ。


「魔法は料理と同じです。しっかりと手順を踏んでから順番にやる。料理もそうです…料理の材料を一度に鍋に入れて煮てしまうと大抵失敗しています」


「確かに…では、別々にやるのも効果などをあげるためにやるのですね」


「その通りです。時間こそかかりますが、精度の高い魔法を使うにはそうした地道な努力が必要不可欠です」


買い物かごを2つ。

それぞれキメハッカとイナズマイモリの2つを持って会計所に行く。

会計所の店員がそれぞれ臭い移し防止の包装紙に包んでくれた。


「ええっと…キメハッカ1キロ…イナズマイモリが5匹…合計3000テルンになります」


「3000テルンですね…どうぞ、お確かめください」


フームさんの財布から1000テルン銀貨3枚を店員に渡す。

渡された銀貨をまじまじと見つめる店員。

1分ほどして、銀貨を確認した店員は包装紙と共に商品を渡してくれた。


「確かに…3000テルン頂きました。またのご利用お待ちしております」


「どうも」


店員にペコリと礼をしてから俺とフームさんは王国統合薬屋本店を出た。

銀貨3枚確認するのに1分は長すぎる。

しかし、慎重にならないといけない原因があったようだ。


「…最近は偽装銀貨が出回っているという噂がありますからね…慎重に見ていたのでしょう」


「偽装銀貨ですか…?」


「ええ、噂では隣国が王国の経済を弱らせるために意図的に流通させているのではないかと言われています…ただ、証拠となる偽装銀貨が発見されていないので何とも言えませんが…」


王国は隣国の共和国とはあまり仲は良好とはいえない。

過去100年の間に3回ほど戦争を行っている。

国境地帯の紛争を含めたら7回になる。


共和国は質の悪い偽通貨を王国で流通させて経済を混乱させようとしている。

そんな噂が流れているらしい。


「偽装銀貨…事実だとしたらとんでもないことですね…」


「全くです…ですがまだ噂なのであまり色々と言わないのが吉です」


たしかに、これ以上この話題を言うのはやめたほうがよさそうだ。


「そうですね…さ、これで全部揃いましたね!」


「はい、これで媒体を杖に取り込めば準備は完了します!」


いよいよこれで素材はそろった。

後は準備を行うだけだ。

そこで冒険者ギルドに戻って宿を探すことになった。

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