コンゴウフグのチェリーピンクちゃん
ミドリフグがUFOキャッチャーの景品だったことがある。
ポットの中に真水で水草を浮かべてミドリフグが入れてあった。
ゲットして飼い方を聞くと、変な水とフレーク状の餌を渡された。
しばらくそれで飼っていたが、元気がなかったのでホームセンターの熱帯魚コーナーに行ってみた。
店員が「こんな飼い方じゃだめです!」
と、水槽や海水の基や冷凍アカムシと比重計と温度計とブクブクを薦められた。
アカムシを与えると食い付きがすごかった。
黒い点の模様が、額のところだけハートマークだったのでハートさんと呼んでいた。
ハチノジフグのハッチーやシマキンチャクフグのシマちゃんなど、仲間が増えていった。
「コンゴウフグ欲しい」
夫におねだりした。
ハコフグの一種だが角がある魚だ。
ホームセンターにいくと、ちっちゃな黄色地に黒い点のコンゴウフグがいた。
「これが欲しいの?」
夫が水槽の壁を指差すと、コンゴウフグがチュッと指の辺りにキスをした。
私はこのときかわいい!と舞い上がっていたが、実はコンゴウフグは攻撃性が強くて、多分このとき夫の指に噛みつこうとしたんだった。
寝床の頭上辺りに水槽が並んでいて、真水の水槽、汽水の水槽、海水の水槽と分けていた。コンゴウフグは海水濃度だった。シマちゃんとあおいちゃんと一緒に入れていた。
1年くらい問題なく過ぎたが、ある日突然コンゴウフグのチェリーピンクちゃんはシマちゃんとあおいちゃんにガツンガツンと攻撃した。
シマちゃんは泡を吹いて死んだ。あおいちゃんも動かなくなった。
私は、真水をチェリーピンクちゃんの水槽に注いで、数日放っておいた。
死骸を片付ける時、どうして現実ってこんなことがあるのだろうとボロボロ泣いていた。