おかしいよ!このステータス!
目がさめると、そこは異世界だった。多分。
いや、だって、分かんないじゃんここが異世界かどうかなんて。
痛って、頭痛がする。
頭がズキズキ痛む。痛みに悶えて数秒たつと、頭の中に生まれてからここまでの記憶が流れ込んできた。すると、頭痛が収まる。
どうやら、この世界は確かに異世界らしい。小さな頃から、親が魔法使ったりしてる。両親の方針では、ステータスカードがもらえるまでは、剣も魔法も教えないらしい。まあ、それまでどんなスキルかもわからないから、そうするのが効率的だ。
俺の名前は、この世界ではヒイラギ・リーフ・ウッドと言うらしい。うん、明らかに神の悪意を感じる。両親は、クスノキとヤシノという名前だ。なんだよ、この樹木一家は。近所の人とか、ウッドさんちのヒイラギくんとか呼んでるんだぜ、イジメだろこれもう。
はい、てなわけで、今日はそんなウッドさんちのヒイラギくんの七歳の誕生日です。誕生日パーティーなんてものはありません!家の中で両親とささやかにお祝いをして、念願のステータスカードです。
自室のベッドを降りて、リビングのドアを開きます。すると突然
「ヒイラギ!誕生日おめでとー!」
両親が、叫びました。
ありがとう、と俺が返すと。
「さあ!今日は七歳の誕生日、さて、七歳の誕生日にはなにがあるかなー?」
父が楽しそうに訪ねてきます。
「ステータスカードが貰えるんだよね!」
はい、俺もとてもテンション高めです。しょうがないよね!異世界デビューだもん!
「その通り!そして、これがヒイラギのステータスカードです!お前がこれに触ると、そこにステータスが登録されるんだ」
「どんなステータスになるか、楽しみねー!」
そう言って、父が俺にカードを渡した。
さて、どんなステータスになるかな。
俺は、目を瞑ってカードを受け取り、そして、目を開いた!そこには、俺のステータスが書かれていた。
「え?」
父、母、俺の声が重なる。
そのステータスカードには、こう書かれていた。
ーステータスカードー
[名前]
ヒイラギ・リーフ・ウッド
[能力]
体力……1
力……1
魔力……1
俊敏性……1
耐久力……1
魔法耐久力……1
[スキル]
不明……条件達成後に公開
え、ステータスが全部1なんだけど……あっ、もしかして、最初は1スタートなのかな。そう思い、両親の顔を見る。
「1……全部1……ありえない」
「私、なにか育て方を間違えたかしら」
あー、うん、これは絶対おかしいわ。それに、スキル不明ってなんだよ!あの神!嫌がらせにもほどがあるだろ、どんなスキルにしたんだよ!
「ヒイラギ」
「なに、クスノキ父さん」
「お前は、これから大変な人生を歩むだろう。しかし!俺たちはなにがあっても、ヒイラギを守るからな!」
「そうよ!私たちはなにがあってもあなたの味方よ!」
「よし、そうだ!明日から、筋トレを始めよう!鍛えれば、ステータスなんてあっという間に伸びるさ!」
「そうね!魔法も少しずつ学びましょう!きっと、できるようになるわ!」
「ありがとう、父さん、母さん。俺、頑張るよ!」
でも、どうしてだろう。この場にいる三人、だあれも、笑ってないよ。
辛いわ、これは辛いわ。チート転生は、どこにいったのかな。