六話 学校での一日目
1年3組の教室は日当たりが良く、窓からはグラウンドが見える場所だった。
俺は大神浩介という名前だから、右から二列目の一番前の席だった。
担任の先生は新任の若い女の人で、髪を1つくくりにした可愛らしい顔の先生だった。
初日ということなので自己紹介からまず始まる。一列目の自己紹介が終わって俺に自己紹介が回ってきた。
俺は少し緊張しすぎて若干噛んでしまって恥ずかしかった。
一通りの自己紹介が全員終わって、明日以降の行事の予定の連絡をしている時に後ろの席から
ちょっと訛ってる感じのやつが話しかけてきた。
「なぁなぁ、担任の白鳥先生めっちゃかわええよなー。あんたもそう思わん?」
「思うけど、、、てか誰だっけ?」
「さっきの自己紹介聞いてなかったんかー?俺の名前は海賀雄亮って言うねん。覚えといてなー」
「へー。あっ、俺の名前は大神浩介。よろしく」
「知っとるがな、さっき言っとったやん。まぁよろしくなー」
そう言って少し少年が残る笑顔で手を差し出してきた。俺はそいつの手を握り返した。
「そこの二人さっきからいい感じに友情が芽生えてるのはいいけど、まだ先生が話してるのだけど?」
「あっ」
伸忠と声がハモってしまった。俺は少し恥ずかしくて下を向いたが伸忠は後ろで言い訳を言っていた。
終礼が無事終わって俺は伸忠と一緒に駅まで行くことになり、
一緒に帰る予定だったしおりにそのことを伝えるためしおりの席まで行った。
「なぁしおり。俺一緒に帰るやつできたんだけど…お前どうする?」
「私も一緒に帰る人できたんだー。その子ねーこのクラスの高橋くんって子の幼馴染なんだってー」
「え、それって……」
後ろの方から言い合うような声が聞こえてきた。
「なんで、お前と帰らなあかんねん!?おかしいやろ!」
「あんたさ、朝言うたやん!今日行かなあかんとこあるから着いてきてって」
「そんなことも言ってたような、言ってなかったような…」
「言うた!」
「完全に忘れとったわ。でもどうしよ、浩介と帰る約束してもうた…」
「浩介って大神くんのこと?」
「おん、そやけど。知っとるん?」
「初めてやけど仲良うなったしおりちゃんって子の幼馴染やねん」
「しおりちゃんって誰や?」
「あんた自己紹介聞いてなかったんか?」
「なんか同じこと浩介に言ったな…そんなことよりもやしおりちゃんにも一緒に帰ってもらったらええやん」
「最初から一緒に帰るつもりやけど?」
「それを早く言えやぁぁぁぁぁぁ」
このやり取りを教室に響くぐらいの声の大きさで数分間やっていた。周りの目も気にしないで。
やり取りが終わったところで二人がこっちに来た。
「あのな、浩介…」
「知ってるよ、その子も一緒に帰るんだろ?俺は別にいいよ」
「あんたわかってるな!私は高橋九美!浩介くんあめちゃんあげる!しおりちゃんも!」
「あ、ありがとう」
「わーい、九美ちゃんありがとー」
「こんなんやけど、よろしゅうな」
「こんなんって何!?こんなんって!」
また二人の喧嘩?が始まった。呆然としている俺の隣でしおりが
「二人とも仲良しさんだねー」と呑気なことを言っていた。
しおりの言葉に喧嘩していた二人がばっとこっちを向くと
「「仲良くないっっ!」」
「あはは、仲良しさんだー」
日常に騒がしさが加わった。
俺はふうとため息をついて窓から見えるグラウンドに目を向けた。
(今日も平和だなぁ…)
と現実から逃げるようにそんなこと考えていた。
私情により更新が遅れてしまいました…すいません!
話を書こうにもスマホはなくなるわパソコンは壊れるわでてんやわんやでした。
この話以降は毎週土曜更新にしていきますので、よろしくお願いします。
もう1つのシリーズもお願いします。