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Walk Hand in Hand  作者: 阿瀬 ままれ
第八章 騎士として、父親として
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 いつまでも空を眺めていても埒が明かないので、ラース達はひとまずアルテリア帝国に引き返すことにした。クロム国王に状況を報告しなければならないし、何より悪事を犯したクリードとアールを牢獄に監禁しなければならない。

 気絶しているレミーをクレスが預かり、ジュード達が魔法の縄でアールを拘束していたところ、突然セラがクリードの方に歩み寄った。そして、ディアナの治癒能力で千切れた右腕を治すから傷口を見せてほしいとクリードに言った。「同情のつもり?」とあかねが問うと、態度こそ冷淡だったものの、見ていて痛々しいから放っておけないとセラは答えた。

 肉離れで曲がらなくなっていた自分の右腕に左手をかざして先に治癒すると、セラは右手をクリードの傷口にかざし、大きな光を灯した。光が完全に消えたときには、いつの間にかクリードの千切れた右腕は再生し、元の状態に戻ってしまっていた。


「感謝の言葉は要りません。然るべき報いを受けてください」


 軽蔑の眼差しを向けながら言うセラに対し、クリードは何も言わず憎たらしそうに睨みつけた。それを無視し、セラはジュード達にクリードの右腕を縛り直すようお願いした。神の魂を宿したラースとセラの監視のもと、ジュード達の手によってクリードはまたしても魔法の縄で身動きを取れなくされた。


「ジュード騎士団長、キルバード。アールとクリードを連れて、先にアルテリア帝国へ向かっていてくれないか? 俺達はルクラーカで待っているりんを助けに行く」


 ラースがそう願い出ると、ジュードは「いいだろう」と言ってうなずいた。キルバードが口笛を吹いて巨鳥トトを呼んでいる間、クリードは苛立って悪態をついていたが、その一方でアールは一言も喋ることなく神妙にしていた。

 トトがこちらへ飛んでくると、ジュードとキルバードは早速アールとクリードを引っ張って運んだ。アールとクリードは、二人とも魔法の縄を口にかませられていたため、呪文を唱えることができないまま、大人しくジュード達に放り投げられてトトの背中に乗せられた。ジュードとキルバードが続いてトトの背中に乗ると、トトは大きく翼を広げ、アルテリア帝国に向かってまっすぐ飛んでいった。


「セラ、悪いがりん達の傷も治してあげてほしいんだ。ルクラーカっていう村でクリードに襲撃を受けている」


 ラースのお願いを聞き、セラはこくりとうなずいてみせた。気絶しているレミーをクレスが抱きかかえ、セラがディアナの力でラース、クレス、あかね、レミー、そして自分自身をルクラーカへと転送させた。




 ルクラーカの牧場には人だかりができていた。その方へ向かい、そして凄惨な光景を目の当たりにしたセラ、クレス、あかねの三人は絶句した。牧舎は黒焦げになり、多くの羊達がひっくり返って焼死しており、羊飼いの老人に至っては五体が吹き飛んでばらばらになっていた。クレスは怒りのあまりわなわなと震え、セラは理不尽に殺された悲しみのあまり一筋の涙を零した。


「お姉ちゃん!」


 りんを発見したあかねが叫ぶ。ラース達が視線を向けると、りんが地面に両膝をつき、クリードに吹き飛ばされた左腕の傷口からどくどくと血を流しながら、苦痛に表情を歪ませていた。

 涙で濡れた頬を拭い、セラが走って牧場へと向かう。そして胸に手を当ててひたすらに念じ、牧場が包み込まれるほどの巨大な光を発した。巨大な光が消えてなくなったときには、りんの傷口から流れていた血は一滴残らずなくなり、吹き飛んでいた左腕も元通りにくっついてしまっていた。


「りんさん!」


 人だかりから驚嘆の声が飛ぶ中、セラ達がりんのもとへ駆け寄る。りんも驚きを隠せない様子だったが、神の力によるものだと理解するなり、すぐに平静を取り戻して言った。


「ありがとう、セラちゃん。私はもう平気。だけど、おじいさん達が……」


 一同が老人の方を振り向く。セラの発した巨大な光は、羊達の火傷やばらばらになった老人の体をも治癒していたのだが、ディアナの力では死者を蘇生することができない。無傷の体に戻ってもなお、羊達や老人は地面に倒れたまま息をしていなかった。


「じいさん達を埋葬しよう。それが俺達にできる唯一の償いだ」


 ラースの提案に、一同は無言のままうなずいた。ラースが竜の腕で穴を掘り、穴の中に老人と羊達の遺体を丁寧に埋め、「心優しき老人と愛された羊達、ここに眠る」と墓標を立てた。




 セラが再びディアナの力による転送を行い、ラース達はアルテリア城へ飛んだ。そして駆け足でクロム国王の部屋へと向かった。部屋にはクロム国王だけでなく、コナン帝国のアルマン国王、ウィザブール帝国のロズモンド国王、そしてバルドロス帝国のエドウィン国王が集まっていた。


「君達が戻ってくるのが早かったか。無事でよかった」


 そう言って安堵するクロム国王に対し、クレスは怪訝な顔を浮かべて尋ねた。


「ジュード騎士団長とキルバード殿は、まだ戻られていないのでしょうか?」


 クロム国王は深刻な面持ちでうなずいた。


「もしやとは思うが……いや、何でもない」


 首を横に振ってはぐらかし、クロム国王はクレスに尋ねた。


「クリードと研究員は捕まえたか? それと、空に浮かぶあの巨大な隕石は一体何だ? 知っている限りのことを教えてほしい」

「承知しました」


 クレスはうなずき、そして一部始終を話した。クリードとアールは既に捕縛しており、ジュード騎士団長達が今まさに連行している最中であること。巨大な隕石はアールが神の力を利用して発動した魔法であり、セラが破壊を試みたものの失敗に終わったこと。自分達は隕石を破壊する他の策を講じる必要があること――。

 一通りを聞くと、クロム国王はまた深刻な顔をしてうつむいた。恐らくは、クレスの言った通り、隕石を破壊する策でも考えているのだろう。だが、すぐに名案が浮かばなかったのか、クロム国王は肩を落としながら口を開いた。


「隕石を破壊する策は、ジュード達が戻って来てから本格的に考えるようにしよう。セラ……いや、セシリア様。お願いがあります」

「は、はい!」


 クロム国王が敬語を使うとは思わず、セラは動揺しながらも返事した。


「あなたの中に宿るディアナの力で、病院にいる負傷したバルドロス兵を治していただきたいのです。元々敵だった者達を治癒するのは気が引けるかもしれませんが……」


 遠慮するクロム国王に対し、セラは決然たる顔でうなずいてみせた。


「大丈夫です。噴水広場で彼らを見かけたときに、治してあげられなかったのが気がかりでしたから……。今度こそ彼らを治してみせます」

「感謝します、セシリア様」


 クロム国王はそう言って安堵の表情を浮かべた。セラが意気込んでいる一方、ラースは罪悪感のあまり視線を落としていた。理由は言うまでもなく、自分がバルドロス兵を負傷させた張本人だからだ。中には自分のせいで命を落とした兵も何人かいることだろう――。


「そうだ、ラース・オルディオ。お前のせいで多くの人間が死傷したんだ。俺の親父も含めてな」


 ラースの心中を読み取ったかのように、エドウィン国王がラースに向かって口を開いた。


「どんなに屑でも、俺にとってはたった一人の肉親だったんだ――」


 そう言ってつかつかとラースの前に歩み寄ると、エドウィン国王は突然、ラースの頬を一発ぶん殴った。思い切り殴られた反動で、ラースは床にどさりと倒れ込んだ。


「何をする、エドウィン!」


 クロム国王が叫ぶ。クレスとりんがエドウィン国王を取り押さえようとしたが、ラースが「止めろ!」と叫んで二人を制止させた。


「例え味方だとしても例外はない。隕石を破壊した暁には、クリード達と同様に法の裁きを受けてもらうぞ」


 厳格に言うエドウィン国王に対し、ラースは口から垂れた血を拭いながら立ち上がり、口を開いた。


「そのつもりだ。俺がどれだけの罪を犯したか、分かっているつもりだよ……。本当にすまなかった……」


 ラースはエドウィン国王に対し深々と頭を下げて謝罪した。ラースの誠意が少しでも伝わったのか、エドウィン国王はラースに背を向けて元の場所へ戻りながら言った。


「顔を上げろ。今は隕石をどうにかして破壊することが先決だ」


 ラースは「ありがとう」と礼を言った。エドウィン国王がそれ以上言葉を返すことはなかった。


「わ……私、病院へ行ってバルドロス兵達を治してきます!」


 ラースとエドウィン国王のやり取りが終わるなり、セラはそう言ってそそくさと部屋を出ていった。


「あ……セラ! ちょっと待ってくれないか?」


 慌ててラースも部屋を出て、セラを呼び止めた。セラは廊下で立ち止まり、くるりと振り向いて首を傾げた。


「またディアナの力を使うなら、この際だ、ディアナの封印を解いてあげた方がいい」

「ディアナの封印……ですか?」

「あぁ。俺の中に宿る神――マーズは、鎖で縛られてまともに力を発揮できない状態にあった。もしディアナも同じように鎖で縛られている場合、それを外してあげれば、セラもディアナの力を意のままに操ることができるようになるかもしれない」


 近くにいたアルテリア兵に城の玄関ホールまで案内してもらいながら、ラースはセラに神の封印について詳しく説明を始めた。まず神と対峙するには眠ることが大前提であること、死者の魂がその気になれば鎖の魔法で神の魂を封印することができること、その封印を解くことで神の力が真に解放されると共に、封印していた死者の魂が成仏されること――。

 一通りの話を終えたタイミングで、ラース達は丁度良く玄関ホールに辿り着いた。まずはセラを眠らせる必要があるなと思い、誰か催眠の魔法を扱える人間がいないか探そうとしたところ、気絶していたはずのレミーがこちらへやって来るのが見えた。迷路みたいな道のりをどうやって迷わずに辿って来れたのかとラースが問うと、「ラースさん達の魔力を探知しながら後を追いました」とレミーは答えた。


「丁度良かった。レミー、急で悪いがセラを魔法で眠らせてあげることってできないか?」

「今からですか?」


 ラースの言葉にレミーは目を丸くしたが、セラも「お願いします」と頭を下げたので、レミーは快く了承した。レミーがセラに手をかざして呪文を唱えると、セラの意識が途絶え、隣にいたラースにもたれかかりながらすうすうと寝息を立て始めた。


「ところで、レミーは何でここに降りて来たんだ?」


 ラースがセラに膝枕をしてあげながら尋ねる。


「監禁されているアールさんと話がしたくて」


 レミーは思い詰めた表情をして答えた。ラースはそれを聞いて怪訝な顔を浮かべた。


「アール達はジュード騎士団長とキルバードが連行しているはずだぞ? 二人の姿が見えないってことは、まだこの城に連れて来てないってことじゃないのか?」


 今度はレミーが怪訝な顔を浮かべる番だった。


「それ、クレスさん達も同じことを仰っていましたけど、確かにアールさんの魔力はこの城の中に存在していますよ。既に連行されているんじゃないんですか?」

「何だって?」


 ラースは耳を疑った。レミーは魔力を探知する魔法を扱うことができるので、決して嘘を言っているわけではないのだろう。だがその場合、ジュード騎士団長とキルバードの二人は今どこにいるのだろうか?

 ラースが首を傾げていたところ、恐らくは同じ疑問を抱いたのだろう、クロム国王が駆け足で階段を下りてやって来た。


「レミー。君の言葉が本当であるかどうか、私も一緒に確かめさせてほしい。構わないか?」


 クロム国王は深刻な顔をしてレミーに言った。特に断る理由もなく、レミーは「は、はい」と声を上ずらせて返事した。

 クロム国王とレミーが足早に地下牢へと向かっていったところで、セラが唸り声を上げながら目を覚ました。「起こしちまったか?」と見下ろしながらラースが声をかけると、セラはラースに膝枕をしてもらっていることに気付き、「ひゃあ」とびっくりしながら上半身を起こした。


「そんなに驚くことはないだろ……で、どうだった?」


 ラースの問いに対し、セラは変な声を上げたことに頬を赤らめながら答えた。


「ディアナと会うことができました。ラースさんの言う通り、確かにディアナは体を鎖で縛られていました。鎖を外してあげられたので、今ならディアナの力を意のままに扱うことができると思います」

「鎖を外したとき、誰か、死者の魂が現れなかったか?」


 セラはこくりとうなずいた。


「私の両親が現れました。そして、私の正体がアルテリア帝国の王女であること、それと十五年前のことを話してくれました。ディアナの魂が宿った私をバルドロス帝国から守るために、記憶を消してアルテリア帝国から逃がしてくれて、その間私の両親達はアルテリア城で囮になってくれて……。精一杯感謝の気持ちを伝えました」

「そうだったのか……。きっとお前に似て、優しい人達だったんだろうな」


 ラースがそう言うと、セラはくすりと笑って、玄関ホールにある大きな噴水彫刻を指差した。クロム国王と同じマントを身に着けた青年に肩を抱かれながら、優雅なドレスを着た少女が、手にしている壺で清らかな水をぽとぽとと注いでいる。この二人こそがセラの両親なのだとラースは理解した。

 セラが立ち上がり、改めてバルドロス兵を治癒しに病院へ向かおうとしたとき、それよりも先に、クロム国王が慌ただしい様子で走ってきた。


「彼女……レミーの言っていたことは本当だった。確かにクリードと研究員は地下牢に監禁されていた」


 クロム国王の言葉を聞き、ラースとセラは目を丸くした。


「そうなのか。じゃあ、あの二人はどこかで道草でも食っているのかな」

「事はそんな単純な話じゃない」


 呑気な想像をするラースに対し、クロム国王は相好を崩すことなく首を振った。


「ジュードとキルバードはあの男と接触している可能性が高い。ローベルト・ハーヴィー――君らと同じ、ユピテルという神の魂を宿す者だ」


 クロム国王の言葉を聞き、ラースははっと息を呑んだ。ユノの魂を宿す者――リックとの会話を思い出したからだ。


 ――なぜこのような真似をするのか、意気消沈しながら尋ねたら、男は見定めるためだと答えた。ユピテルの言葉によれば、人間は放っておいてもいずれ死滅する。そんな人間共に神の能力を授ければ、自分達のみならず、下界に住む他の生物達も命の危機に瀕することだろうと。それが本当なのかをこの目で確かめたいと男は言ったんだ。

 ――ユピテルの魂を宿す者は、まだ人間を滅ぼそうと考えてはいない。俺達人間が下界を滅亡させないか、きっと今も見張り続けているんだ。


「ユピテルの魂を宿す者は、人間の手によってこの世界が滅亡しないか見張り続けていた……そして世界が滅亡しかかっている今、その男は人間を滅ぼそうと行動に出るはずだ」

「ラース、ローベルトのことを知っているのか?」


 クロム国王の問いに対し、ラースも深刻な表情になってうなずいた。

 ラースには心当たりがあった。今は亡きルクラーカ村のじいさんですら知り得なかった、リックが生活している洞穴の存在を知っていた人物がいる。その人物は、洞穴のことをとある男から聞いたと言っていた。そのとある男がユピテルなら合点がいくのだ。この推測が正しければ、ユピテルの魂を宿す者――ローベルト・ハーヴィーはあの男で間違いない。




 * * *




 キルバードの合図に応じ、巨鳥トトは優雅に羽ばたきながらゆっくりと降下していく。トトが草原の上に降り立つと、トトの背中からジュード騎士団長とキルバードの二人が飛び降りた。キルバードがトトの頭を一撫ですると、トトは甲高い声で鳴き、地面を蹴って二人から離れるように飛び去っていった。

 ジュード騎士団長とキルバードが到着した先は、バルドロス帝国の前だった。エドウィン国王がアルテリア帝国に滞在している今、バルドロス帝国の総門には見張りの兵がいないようだった。これからのことを考えると、警備が薄れているのはかえって好都合だと二人は考えた。今会おうとしている人物ともし戦闘が始まった場合、ほぼ間違いなく巻き添えを食らってしまうからだ。


「思い出すな、十五年前のこと」


 後頭部で両手を組みながら、キルバードがジュード騎士団長の背中に向かって口を開く。


「嫌でも思い出すよ」


 ジュード騎士団長は振り向くことなく言った。


「俺達はここで、バルドロス兵数百人との戦闘を余儀なくされた。大切な人を守り抜くことができないまま、幾度もバルドロス兵を斬り捨て、この手を血に染めた」

「……そうだな」


 キルバードはうつむきながら返事した。


「それで、バルドロス城の前まで来たところで、奴は――ローベルト・ハーヴィーは現れたんだよな。……その手にバルドロス国王の首を持って」


 無言のままうなずくジュード騎士団長に対し、キルバードは言葉を続けた。


「奴は俺達のことを、同じ『世界の調和をもたらす者』だって言ってた。だから俺達に世界の命運を託す。俺達のような良識ある人間が世界の平和を守れるかどうか、見届けさせてもらうって」


 おぞましいものでも見たかのように、ジュード騎士団長は拳をぎゅっと握り締めながら言った。


「奴はとうに人間の姿じゃなくなっていた。ラースやセシリア様と同じ、神の魂を宿す者だった。奴はその気になれば、いつでも人間を滅ぼすことができる。その命運を俺達に委ねたんだ」

「そして……」


 赤一色の空から落下し続けている巨大な隕石を見上げながら、キルバードは眉間にしわを寄せて言った。


「守れなかったってわけだな。俺達は」

「あぁ」


 ジュード騎士団長がキルバードに顔を向け、深刻な表情のまま言った。


「ローベルトは人間を滅ぼしにかかるだろう。それだけは何としても阻止しなければならない」


 後頭部で両手を組むのを止め、キルバードはうなずいて言った。


「例え刺し違えても、な。十五年前、俺達はそう決心したんだよな。それが俺達のけじめだって」


 キルバードの言葉を聞いて、ジュード騎士団長は再び正面を向き、うつむきながら黙り込んだ。


「ルーク」


 キルバードが口を開く。そして、ジュード騎士団長を真の名で呼んだ。


「今ならまだ引き返せるぞ。お前は俺と違って、守るべき存在がまだいるだろ」

「キル、俺の意思は変わらないよ」


 ルーク・オルディオは自嘲しながら答えた。


「俺はリアを守ることができなかった。父親失格だよ。今更あの子達に父親面するのは、俺自身が許せない」

「相変わらず頑固な野郎だな――」


 反発するキルバードを、ルークが右手を横に広げて制止した。


「お喋りは終わりだ――来たぞ」


 キルバードが息を呑み、ルークと同じ方に視線を向けると、確かに目的の人物がやって来るのが見えた。

 闇夜を思わせる黒いマントを身にまとい、その腰には身の丈ほどはある長い太刀が一本。肩甲骨の辺りまで伸びた黒髪をなびかせながら、その男はゆっくりとした足取りで徐々にこちらへ近づいてくる。

 ルークとキルバードの前まで来たところで、男はようやく足を止めた。二人に向けられた男の目には、静かな殺意が込められていた。

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