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少し行き詰りました。
明日の朝までには続きを投稿できるようにします。
「腹減ったなぁ」
俺は牢屋で一人さびしくひとり言を呟く。
自分から懲罰を言い出したものの一日メシ抜きは思ったより辛い。
でも本来ならもっと厳しい懲罰をくらってもおかしくないのに、一日メシ抜きと合戦への不参加が懲罰ってのは甘い気がする。ってきり鞭打ちとかされるのかと覚悟してたんだけど……。
まあ何もすることなく牢屋で過ごすのはある意味拷問みたいなものか。
おまけにこの世界にも四季があり今はもう秋の中ごろ。夜となるとそれなりに冷える。それにこの牢屋は掘っ建て小屋を牢屋にした感じの作りで床は土だから余計冷たく感じる。
外からは今日の勝利を祝って宴会でもしているのか楽しそうな声がここまで聞こえてくる。
「ん?」
外の喧騒が聞こえる中、誰かがこっちにやってくる足音が聞こえてきた。
誰だろうか?
こんな騒ぎの中こんな牢屋までやってくるなんて懲罰を食らった俺にでも嫌がらせにでも来たのかな?
なんてことを考えていると掘っ建て小屋の戸が開かれる。
「はあい」
野太い声のくせに精一杯高音ボイスを響かせて小屋にやってきたのはオカマの朱美だ。
なぜここに!?
まさかここからが本当の懲罰なのか? それなら俺はなんとしてもここから逃げ出さなければ。
「何しに来たんだ?」
俺はすぐさま逃げれるように身体をほぐしながら訊ねる。
「あら? そんなに身構えなくてもいいのよ。今日はあなたに会いに来たお客さんを連れてきたのだから」
「客?」
今日は、という部分に若干の恐れを感じつつ聞き返す。
「ほら、入りなさい」
「は、はい」
と朱美に促されて入ってきたのは昨日村で侍に突っかかって行った村長の孫娘。こんな幼い子が俺に何の用だ?
「こ、これ!」
昨日侍相手に突っかかって行った威勢はどこへやらモジモジと恥ずかしそうに差し出してきたのは竹皮の包み。中に何か包まれているようだ。
「きのうはありがとう。じゃ!」
孫娘は早口でまくしたてるように言うと掘っ建て小屋から飛び出していく。
俺は何だったんだろうと不思議に思いながら竹皮の包みを開けるとまん丸い握り飯が入っていた。
「いいのかよ?」
俺は朱美を見る。俺は一応懲罰としてメシ抜きのはずなんだが。
「あら? 私は女の子の付き添いだから何も知らないわよ」
と可愛らしく小首を傾げてとぼけるがその姿はちょっと不気味だ。いや正直に言えば気持ち悪い。
「それじゃあ私はあの子を見送るからこれで失礼するわね」
そう言い残して朱美は孫娘を追いかけるように掘っ建て小屋をあとにする。
わざわざ俺なんかへのお礼のためにあんな小さい子がこんなところにやってくるなんてな。
なんだか気恥ずかしい気分になっているとまた誰かが掘っ建て小屋に入ってきた。