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110-2

歯痛がつらくて文章が少ないです。

明日にはいつもぐらいの文量で書けると思います。

「この音は?」


「法螺貝か?」


「……なぜ?」


 一階で奮闘している綾、那美、玲の三人娘の耳に法螺貝の音が響いてくる。それも一度ではなく間を空けて四回。


 その音の意味が三人娘にはわからなかったが、さっきまで勇んで攻撃を仕掛けてきていた敵には意味が理解できたようで、音を聞くなり次々と武器を取り落としその場に泣き崩す者や呆然と立つ尽くす者が現れる。


 そんな敵の様子を見て三人娘も何が起こったのかをなんとなく察する。


「え? 嘘……」


「もしかして……」


「……勝った?」


 法螺貝の音を聞いてもう自分たちに攻撃を仕掛ける者がいないということはそういうことなのだろう。


 そうとわかると三人娘はお互いの背中を預け力が抜けその場にへたり込んでしまう。


「……はは」


 綾は力なく笑う。


「……ししし」


 綾につられて那美も笑う。


「……ふひひ」


 二人につられて玲も不器用に笑う。


「そっか。わたちたち生き残ったんだ」


「まさか本当に勝っちまうなんてな」


「……奇跡」


 三人娘たちは自分が生き残ったという奇跡に感謝をしながら笑った。







「この法螺貝の音は……」


 痛みを堪え背を壁に預ける栞那の耳に法螺貝の音が聞こえてきた。


 それからしばらくして喧騒とした城内に静けさがやってくるのを感じて。大和が勝ったのだと栞那は確信する。


「大和は……やったよう……ですね……。なのに……わたしときたら……」


 栞那は自嘲する。


 栞那はくノ一の珠を仕留めることができなかった。腕を掴んで逃がさないようにして刀を振り下ろしたのにかわされた。珠が咄嗟に関節をはずして回避したのだ。


 とはいえ完全に回避はできなかったようで手傷を負わせることには成功した。だが結局逃げられてしまったのだ。


「どうやら大和との約束は守れそうにないかもしれませんね」


 自分の腹から流れ出る血を見て自分の命はそう長くないと判断する。幸い内臓を痛めてはいなかったが血が止まらないのだ。このまま血を流し続ければ命は長くはない。


「大和にもっと言いたいことがいっぱいあったんですけど……」


 もうそれも無理かもしれない。そう思う栞那の顔に影が差す。


「……」


 栞那が顔を見上げるとさっきまで死闘を繰り広げた珠の顔があった。


「わたしに……とどめを刺しに来たのですか?」


「……」


 首を横に振って否定する珠。


 そして珠は懐から止血用の包帯と軟膏を取り出すと栞那の目の前に置く。


「使え……ということですか?」


「……」


 コクリと頷いて肯定する珠。


 さっきまで殺し合っていた者に情けをかけるということにどういう真意があるのか顔を見るが相変わらずの無表情で何を考えているのかわからない。


「……どうして……と訊くのも野暮でしょうね。ありがたく使わせてもらいます」


 栞那が包帯と軟膏を手に取ると珠の姿はもうなくなっていた。


 栞那は大和が助けに来るまで応急処置を行うことにした。


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