人生のエピローグから、プロローグは始まる。
大部分がシリアスです。しかし、続編(ぶっちゃけ続編が本編)はギャグにしようと思ってるので、コメディーに入れました。
私の名前は、本田絵里。
私は今、宙に浮いている。
言っとくけど、幻覚を見ているわけでも、ましてや、私が超能力者なわけでもない。
視界を下におろす。
そこには、私がみるも無残な姿で横たわっていた。
頭からは血が大量に噴き出し、腕や足は不自然な方向に向いている。着ている服は、元から赤い色なのかと見間違う程だ。
私はトラックに引かれてしまったらしい。
トラックの運転手は慌てて私に駆け寄る。
「おい!だっ、大丈夫か!!」
大丈夫じゃないって。
魂抜けてるって。
「き、救急車!救急車だ!!」
無駄だと思うけどな…。
私は、下の慌ただしい喧騒をボーッと見ていた。
今日は用事があった。
私の片思い、クラスメイトの小坂君と映画をみる予定だった。
デートにこじつけるまで、相当努力した。
話をするだけでも緊張するのに、デートに誘ったのだ。緊張どころの騒ぎじゃない。
この日のために髪型変えて、服も新調して、メイクもカンペキにこなしたのに……。
髪の毛は血だらけ。
服もタイヤに巻き込まれて、もはやパンク系だ。
メイクも青い顔には意味をなさない。
もうどうでもいいや……。死んじゃったんだし。
でも、なんで成仏できないんだろ。この世に未練なんてないのに。
……いや、あるか…。
小坂君に告白できなかった。小坂君と付き合いたかった。
たぶん、私は死んでもこの世にいるだろう。
小坂君にくっついて、いつまでも未練たらたらでいるのだろう。
一生、この思いを告げられずに。
……フ…それも詩的でいいじゃない。
「よかないよ。」
背後からの声に驚き、振り返る。
そこには、一人の男が立っていた。
その男は、精悍な顔立ちなのに、どこかやる気の無さそうな印象を受ける。
「だ…誰……?」
「俺か?俺は氷室耕一。成仏屋だ。」
男は、優しく微笑んだ。
そこから、終わりだと思っていた私のストーリーは、始まりを告げた。