4章 2話
たっぷりの野菜は、韓国製のスープメーカーでポタージュにした。
韓国式のおかゆも出来る、優れものだ。
食欲のない時、体調の悪い時、このスープメーカーにお世話になってきた。
野菜の繊維も細かく粉砕されて、最後に調味と牛乳を入れることで栄養たっぷりのスープになる。
ブイヨンを使うことで、野菜の青臭さもない。
これなら匠もきっと飲んでくれるだろう。
メインはトマトソース煮込みのハンバーグだ。
大好きなメニューなら、違和感なく嫌いなものも食べられるはずだと思う。
「お母さん、お腹すいた・・・・。夕飯、まだ?」
『ごめんね、もうちょっと待って。亨さんも来るんだって』
「何時に来るん?」
『ん~?7時半くらいだって言ってたけど』
あと20分ほどで、その7時半だった。
「そっか、ならもうちょっと我慢する」
結局、亨さんがやってきたのは、7時半を少し回った7時40分ごろ。
「おじさん、遅いよ~。僕、餓死するとこやった・・・・・・」
『・・・・大袈裟すぎでしょ』
「ほんとだよ!」
『はいはい』
「まあまあ・・・・匠君、遅くなって悪かったな。デザートを買ってたら遅くなったんだ」
『デザート?』
「ええ!何?何?」
「勿論、ケーキだ」
「やったー!」
「その代わり、夕飯をきれいに食べたら・・・・の話だぞ?」
『当然だわ、それは』
「大丈夫!今夜は好きなものばっかだから」
・・・・・・・・・・・・・・たっぷり野菜、使ってますけどね。
気が付いてないのは匠だけだ。
凄い勢いでパクパクと口に運んでいく。
気付いた様子はまったくないのが、本当におかしかった。
今夜はコーンポタージュ風だけど、コーンはそんなに入ってないのだ。
ケーキを食べる前に、スープ内容を伝えると唖然としていたのがおかしかった。
食後に匠がお風呂に入りに言った時、これがチャンスだと思ってあたしは口を開いた。
『あの・・・・聞きたいことがあるんですけど』
「ん?」
『あたし・・・・・確かに亨さんに告白はされたし、ベッドも共にした。でもなんで婚約者なんです?』
「・・・・気が早いと言いたいのか?」
『そうじゃないですけど・・・・・・・でも・・・・・・プロポーズはされた覚えないですし、応えた覚えもないんですが』
でもそれが事実だ。
意味も分からず、ただ話ばかりが進行していって、正直戸惑っているのだから。