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3章 3話






結局、翌日も貴史は連絡も取れなかった。


どうやら、最近付き合い始めたらしい女の部屋に入り浸りなようで、あたしとしたら【やっぱり】って感じで。


『貴史が、もう女作らないなんて120%有り得ないものね。想定内のことだから驚きもしない』


でも自分の息子のことなのに・・・・・それを考えると憤りを感じぜずにはいられなかった。


あたしたちにもタイムリミットはあるわけで、これ以上待つ時間はなかった。


『お姉さん、やっぱり匠は希望通り連れて行きます。それで、貴史に連絡が取れたら、19時以降こちらに連絡するように言って下さい』


学校のほうは貴史の同意がないと転校させられないし、しばらくは亨さんの頼んでくれた人が勉強も見てくれることになった。



「お母さん!お帰り!」


『ただいま、今日は何してたの?』


亨さんの計らいで、少しだけ早めに帰宅できるようにしてもらっている。


こちらに転校すれば、もう少しましなのだろうが・・・・まだ貴史からの連絡はない。


どれだけ子供に対して無責任なんだろう・・・・・まさにこれって育児放棄でしかないと思う。


結局貴史と連絡が取れたのは、それから4日後のことだった。






「あー、俺。なんか匠の事で話があるって聞いて」


『今までどこで何してたん?散々留守電も入れたはずでしょ!』


「あー、悪い悪い・・・・・。女んとこおった・・・・・」


『もう女はいらんとか言ってたのは、いつの事でしたかね』


「まあなぁ・・・・・でも女がおってくれ言うし。そんで?匠がどうしたん?」


『東京に来たいそうなんだけど。っていうか、もう来てるわ』


「へ?姉ちゃんとこにおるんじゃないんか?」


『家出してこっちに来たの!一度話し合うのに連れて行ったけど・・・・肝心のあんたがいなかったのよ!』


どんどん苛々がつのる。


「そっかぁ?まあ、匠の好きなようにすればいいんじゃね?」


『そう。じゃあ好きにするから。いずれは養子の話も出るかもしれないから覚悟しといて』


「おお、まあその時はその時だろ。匠がしたいようにしてやってくれればいいから」


『そう、分かった。じゃあその話が出たら連絡します。学校の書類は早急に送って頂戴』


「分かった。じゃあな」


あっという間に切ってしまった。


匠に一言くらい、そう思ったがそれすらもなかった。


本当にあっけなかった。


それでも翌週届いた書類で、匠は近所の小学校に転入することが決まった。


元来の明るさで、初日から友達も出来たようで、楽しそうに通い始めたのが救いだ。


学校の近くに、2LDKの部屋も借りて引越しも済ませた。


亨さんは匠の通学に合わせて、シッター兼家庭教師を頼んでくれたので夕方以降も安心だった。


あたしは心配事も減ったおかげで、時間短縮はしているものの集中して仕事に取り掛かれるようになった。




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