2章 5話~亨Side 3~
ラストでほんの少しだけ性描写につながる表現があります・・・・ほんの少しだけ。
嫌がる綾乃を無理やり自宅のマンションに連れ去ると、まず綾乃がしたことはマンションを見上げてあんぐりと口を開くことだった。
エレベーターに引きずり込み、最上階に降り立つと更にごねた。
鍵を開けて、騒いでいると近所迷惑だから入るように言う。
『一部屋しかないじゃないですかぁ~~!!!!!』
そう怒りの声をあげる。
む・・・・・確かに。
ここの階には俺の部屋しかない。
でも、そんな事は構わず、手を引いて部屋の中に引き入れる。
なんやかんやと抵抗していたけれど、俺は7年待ったんだ・・・・もう限界。
この連休は、二人っきりで過ごすことに決めていた。
綾乃が好んで使っている化粧品も買って揃えてあったし、それは着替えも同様。
彼女が愛用している香水も、バッグもリサーチ済みで買い揃えてある。
だから着の身着のままでこうやってつれてきても、不都合はないに等しい。
そして、その夜・・・・おれは長年の想いを遂げた。
ちょっと卑怯な方法ではあったかもしれない。
夕食を食べながら、ワインをあけた。
俺が好んで飲んでいたハンガリー産の赤だった。
普段赤ワインはあまり飲むことはないようで、食事のあとはちょっとほろ酔い加減だった綾乃。
食後に別のワインを出してきて、二人で飲みながら営業部時代の話を色々していた。
こっちは綾乃もかなり気に入った様子で、ボトルを手にしてラベルを見ながら『これ、なんて読むんですか?』と聞いてきた。
「トカイ・アスー・エッセンシアだよ」
トカイはハンガリーの貴腐ワインで、手軽な3プトニョスから上質で糖度も高い6プトニョスまである。
エッセンシアは6プトニョスより上質で、あまり入荷することがない。
まさに天候次第ということだ。
度数はそんなに高くはないが、もう既にほろ酔いだった綾乃には効いたらしい。
・・・・・・・・・・・・まあ、昼間っから飲んでたしな。
だから・・・・・・うまくチャンスを物に出来たと思う。
姑息な手ではあるけるど、綾乃をこの手に抱くことが出来たんだから。
「綾乃・・・・」
『・・・・・ん・・・・・・ふ・・・・・』
何度も角度を変えて、綾乃の唇に自分のそれを重ねた。
そっと下唇に舌を這わせると、うっすらと開いたところに舌を滑り込ませる。
甘い彼女の舌を絡め取り、その行為を堪能する。
零れた唾液を舐め取り、嚥下する。
・・・・綾乃はどこまでも甘く、もう2度と手放すことは叶わないだろうと思った。




