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2章 4話~亨Side 2~





時々社内で見かける綾乃は、いつも溌剌としていていつも「主婦らしさ」を見せることはなかった。


実際は週末婚ってやつだったようで、平日は一人暮らしのままだったらしい。


そんな彼女の様子がおかしくなり始めたのは、結婚後2年ほどしてからだった。


とにかく仕事がすべてだとでも言うように、平日も週末も仕事仕事の毎日で。


離婚して、しかも相手の残した莫大な借金を抱え込むことになってしまったらしい。



・・・・・何かしてやりたい。



でも、押し付けるわけには行かないし、綾乃の現在の状況を知っておいて困ったことになったら助けよう・・・・・そう決めた。


日々仕事に邁進して、成績もよく・・・・・同期の男なんか足元にも及ばない。


入社して4年目には、大きなプロジェクトにも参加した。


それには俺もかなり関わっていて、綾乃と接することもまた増えていった。


毎日のようにミーティングで顔を合わせ、意見交換をした。


そのプロジェクトが成功し、俺は専務になり、綾乃は営業部の主任になっていた。


女性はどうしても出世しにくいから、仕方がないのかもしれないが・・・・その分、大きなプロジェクトにはよく関わっている。




俺も年齢的なこともあって、アレコレと縁談が持ち込まれた。


一応相手や紹介してきた上司や取引先の顔を立てて、見合いまではこなすようにしていた。


でも、それでも・・・・・綾乃以上に惹かれる女性に出会うことはなかった。


見た目だけなら、綾乃以上の女性もいた。


でもそういった女性はあまり仕事への理解もなく、自分を優先してくれることを望む。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺はそうゆう女は、冗談抜きで嫌いだった。


自立していて、仕事上でも輝いているかのような綾乃のような女のほうが好きだ。


というより、諦め切れていないのが真実だったが。


綾乃が20歳で入社してきた時、俺は27だった。


それなりに欲望だってあったし、でも他の女で紛らわせるよりやっぱり綾乃が欲しいと思った。


その代わり、手に入れたら・・・・・・・・・・そのことだけを考えようと決めた。


でも結局、何年経っても隙が出来ない。


仕方なく、自分から動いたのは7年目。


彼女の頼んだ司法関係者に、自分の友人の弁護士を通じて連絡を取り、残っていた負債をきれいさっぱり清算した。


残っていたのは、およそ400万。



それを綾乃に知らせたのは、連休初日に綾乃のマンションを訪ねたときのことで。


めんどくさそうに出てきた綾乃は、微かにアルコールの匂いがした。


部屋に入ってみると、昼間から飲んでいたのか・・・・テーブルにグラス半分くらい残ったものがあった。


それだけでも、今は特に誰もいないのは分かる。


じゃあ、俺の付け入る隙もあるだろう。


いや、7年も待っていたんだから・・・・・・・今度こそ手に入れる。


少しくらい強引な手を使ってでも、きっと許してもらえる。


俺は綾乃以外は要らない。


だから、今から本気を出すから・・・・・・・綾乃、覚悟しろ?


呆れたような・・・・いや、あれは『何言ってんだ?こいつ』って顔か?


ひたすら耐えてきた7年が一気に面白いものに変わったようで、俺はきっと意地の悪い笑顔を見せていたんだろう。




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