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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
― 第二次魔獣大戦 ―

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49/50

堕天使NOAの告白

 夕日が落ちかかり、精神的にも肉体的にも疲弊しきっていた俺たちは、俺の提案で洞窟近くの湖畔にキャンプを張ることにした。


 カインが手早く調達してきてくれた野菜とホーンラビットの肉を使い、エリスに特性ポトフの作り方を教わりながら、夕食を完成させる。

 

【ホーンラビットのポトフ】

・ラビット肉はベーコンやソーセージの代用品として丁度良い。


 落ち込んでいた俺たちだったが、温かいポトフが胃に染み渡ると、少しずつ気力が戻ってくるのを感じた。

 元気が残っているうちにマジックポーチからテントを二つ取り出し、みんなで協力して立てる。

 珍しくレイナが不器用ながらも一生懸命に手伝ってくれたのには、成長を感じて嬉しかった。普通に可愛い。


 テントの設営が終わると、女性陣は湖へ身体を洗いに行った。


「絶対に覗くなよ!」というレイナのテンプレのようなセリフは、カインにとってはフリでしかない。

 案の定、カインが俺を覗きに誘ってきたが、俺は珍しくそれを断り、偵察がてら近くの小さな丘を登ることにした。

 一方、カイエンペッパーのせいで無駄に興奮状態だったカインは会得したばかりの【影道潜闇シャドウダイブ】を使ってリリアの影に潜り込んだが……影がほとんど無くなり、あっけなく見つかったカインは、リリアとレイナの二人にボコボコにされた。身をもって新技の弱点を知ったようだ。


 俺は丘の頂上に着くと、夜風に吹かれながらスマホを取り出した。


「ノア、二回目を使う」


《……涼さん、どうしました?》


 俺のいつもと違う声色に、ノアは敏感に感じ取ったようだ。


「なあ、ノア。そろそろ教えてくれないか。俺に色々話してない事があるだろう?」


少しの沈黙の後、スマホからノアの落ち着いた声が響いた。


《……そろそろ、その質問が来る頃だと思っていました。長くなりますが、一気に伏線を回収しますので、よく聞いて下さいね。双月のパワーが無くならないように、省エネモードで行きますから》


(自分で伏線回収って言うなよ……)


《お伝えしていない事がたくさんあるのは事実ですが、今までお話しした事に嘘はありません。まず、ライアン側にいる私のようなAI……彼は元々、大天使ルシフェル様です。そして私はというと、彼の事が大好きだった末端の天使でした》


(大天使て……ノアはただのミーハー天使じゃん)


《この世界の三大神はいつからか人間を忌み嫌うようになり、魔獣を配下として重宝し始めた時……魔獣増加反対派のルシフェル様は七人の強者たちと組み、三大神に逆らって戦争を仕掛けたのです。それが、十五年程前に起きた魔獣大戦です。戦力は互角になる予定でしたが、仲間の一人、ベルゼブブの裏切りで大敗を喫し……その力を失い、堕天してしまったのです。

 アテネやアフロディーテ様と互角の美貌を持っていた私は――》


「ノア、そういうの今はいいから」


《本当なのに……! コホン。とにかく、その後遅れて私も堕天し、陰ながら三大神を倒そうと決意したのです。ルシフェル様が選んだのがライアン。そして、私が選んだのが涼さんです。前世で死んだ数多の人間の中から、それぞれが一番だと思われる者を選んだのです》


「神も天使も、なんだか人間臭いな。前世の時は、何かもっとこう、崇高なる存在というか、手の届かないものだと思っていたのに」


《確かにそうかもしれませんね。三大神が人間を嫌い始めたのも、結局のところ、彼ら自身がそういう存在だからかもしれません》


「えっ!? ていうか、さっきルシフェルが好きだったって言ってたけど、ノアは俺の事が好きなんじゃないのか?」


《天使とはいえ、私は涼さんの事も大好きです。その辺りも人間と一緒で乙女心は複雑なのです》

《涼さんのHなところアレですが、私のタイプですし、仲間思いの優しい性格は、堕天する前のルシフェル様にそっくりなのです。外見もライアンなんかより全然いいです》


(ノアの突然の告白。喜んでいいのか微妙なラインだが、悪い気はしない。しかし今は堕天使のAIだから複雑だな)


「で、帰還率が100%になれば、俺は本当に前世に帰れるのか?」


《はい。それも嘘ではありません。それと、もう一つ重要な事があります》


《現在、涼さんの帰還率は約35%で、対するライアンは約74%で現在殆ど増えていません》

《そしてライアンは、雑魚を倒しても帰還率がもう、ほとんど溜まりません。彼の戦闘力はどんどん増え続け、ジョブランクも遂にSからSSのMAXまで上がってしまったからです》


「じゃあ、どうやって100%にしようとしてるんだ?」


《三大神です。実はスカウター数値自体が、全てこの世界最強のゼウスを基準とされていて、ゼウスはLVが100、戦闘力が10000なのです》


「何ー!? すげーな、流石は神 ちゅうの 神!」


《戦闘力はポセイドンが約8000、ハーデスが6000前後でしょう。そして、ライアンが彼らを倒した際に得られる帰還率は、ゼウスで約10%、ポセイドンで9%、ハーデスで8%位です》

《ちなみに、ライアンの戦闘力は前回対戦時で約2000位でしたが、イージス盾を手に入れた事もあり、今はさらに増えている事でしょう。もう人知を超えています》

《つまり、ライアンは今後強魔獣を求め探し回って倒さなくてもルシフェル様の目的でもある三大神さえ全て倒せば届く計算です。涼さんには申し訳ないですが、元々そういうバランスなのです。だからこそ、涼さんにも逆転のチャンスが残されているんですよ》


「それじゃ、クイズ番組の最後でよく見る大逆転問題と一緒じゃねーか!?」


《そうかもしれません。そして、IQ300のライアンはその事をとうに気付いています。恐らくもう、ライバルである涼さんの事も侮ってはいないでしょう。彼は自分の帰還率を100%にする為に、ルシフェル様と最大効率の行動をとっているはずです》


(不気味なのはそこだ。俺が奴でも同じ事を狙うだろう。七武神と共に作戦を練っているに違いない。強魔獣でも帰還率が増える事を逆算すると、三大神のうち二神倒されると危険だ。逆に俺が倒せばとんでもない位の帰還率が増えるだろう)


(これは人間が神を何体倒せるかのデスゲームだ)


(果たして今の俺に本当に神等倒せるのだろうか?)


《ところで涼さん、今日はあなたの三十一歳の誕生日ですね。おめでとうございます》


「あっ……俺、今日誕生日だったのか。ノア、お前覚えててくれたんだな」


《スマホカレンダーに出てるので》


「ノア、それは言わな方がいいやつ……」


《実は私から涼さんに、プレゼントがあります。スマホのカバーを開け、動力バッテリーの所に手持ちの黄色の小さな魔石を代わりに嵌め込んで下さい》


 言われた通りにポーチから黄色の魔石を取り出し、スマホカバーを開け、指定箇所ににカチリと嵌め込む。


《……アップデート完了。これからは、ライアンのように口頭で私を呼び出せるようになります。それと、対象物を目視して、スカウター起動と言えば、完全リンクした脳内にターゲット情報を流します。今後はスマホ画面をタップする事なく、敵や食べ物、鉱物等の情報を一瞬で知る事が出来ます》


「おぉっ! それはすごいな!」


《モアチートです》


「だから自分で言うのもどうかと……」


《激戦が予想される今後は、情報の伝達スピードの効率化、その一秒が運命を分ける可能性があります》


「正直、俺もスマホを出して『ノア!』って言いながらいちいちタップするより、ライアンみたいに口頭だけで格好よく起動したかったんだよ」


《性能も少し上がったので強者でもデータ表示できる時があります》


《そろそろ限界です。落ちますね。涼さん、おやすみなさい》


(ノアおやすみ)



「……涼さん、大丈夫ですか?」

「うわっ!びっくりした」


 不意に背後から声がして振り返ると、水浴びを終えたエリスが迎えに来てくれていた。

 夜風に揺れる濡れた髪と、俺を心配そうに上目遣いで見つめるその優しい瞳。


 俺は今日の色々な出来事と、今後のプレッシャーのせいか、その優しさに触れ、自然と涙が溢れそうになった。


「ああ……大丈夫だよエリス。みんなの所へ戻ろう」

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