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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
― 第二次魔獣大戦 ―

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ルークの覚醒

――モンスタードーム内


 ドーム内には、天井や壁の至る所に世界中から集められたあらゆる鉱物が無数に張り付けられ、神秘的な輝きを放っていた。


「ゲド爺さん、約束のこれ」

 ルークは懐から取り出した蒼海石を、静かに手渡した。


 それを受け取った小柄な老人は、ふむと頷く。

「おお、そうじゃったな。これでルークのゴーレムをもう一回進化させてあげる約束じゃった」


 ゲド爺さんは蒼海石を光にかざしながら、不意に遠い目をした。


「……この前は、メフィストの奴に脅されて進化させてやったんじゃったな。まったく、自分のステッキだかなんだかの為にワシを利用しおって。

 あやつはギャル時代の十年前、ワシが通っておった東の風俗街のオッパブで知り合ったのじゃがな。あまりの可愛さゆえについつい指名したら、ロクに脱ぎもせんくせに脅すようにワシから貢がせまくって……まるで悪魔のようなジジイキラーホステスじゃったわ。

 辞めた後も相変わらずワシからたかるし……それで生活に余裕できたらタバコ迄吸い始めて臭いし……」


「ゲド爺さん。その話、前回も聞いたよ」

 ルークがツッコミを入れると、ゲド爺さんはコホンと咳払いをして、その顔からふざけた空気を消し去った。


「……わかっておる。アナキンの事じゃろ」


 ルークはもちろんだという目でゲド爺さんを見る。


「アヤツは変わってしまった。数年前から、急に自分と従魔の強さに異常なほど固執するようになってな。強大な従魔が一体ずつ増え、三体になった時は、正直ワシでもドン引きしたものじゃよ」


「……今回は、あいつは何をしたの?」


 ルークの問いに、深く重いため息を吐いた。


「お主も分かるじゃろ? ワシの希望した魔石を媒体にしたとて、あのレベルの強力な従魔をさらに一段階上へ進化させるなど本来は無理なんじゃよ。

 だから奴は……『精神と時の部屋』と呼ばれる場所を使った」


「精神と時の部屋……?」


「うむ。そこの入口にあるあのドアじゃ」


 ゲド爺さんが指差した先には、周囲の空間が不気味に歪んで見える一枚の扉があった。

 それはゲド爺さんに選ばれた召喚士のみが入る事ができる部屋の扉だった。


「あの中に入り、『時間を圧縮した修行』を行う必要があった。血の滲むような魔獣コントロールの精神修行を永遠と行うのだが、それはあまりにも危険すぎる。時には中で身体が動かせず植物人間のようになってしまったり、運良く出てこれたとしても精神崩壊して廃人になる者もいる。ワシは必死に止めたのじゃが……」


 ゲド爺さんは、化け物を見たかの様に身震いをした。

「普通の召喚士なら五分が限界じゃというのに、あやつは何と、一時間を耐え切り、『一年分』もの精神修行を終えて出てきおったのじゃ」


「一年分……」


「うむ。部屋から出てきたあやつは、すぐさまこのドーム内に自身の従魔三体を召喚しおってな。そして、その異常な精神力を得た状態で、ワシが魔石を媒体にして『魔獣進化魔法ビーストエボリューションスペル』を放った。するとどうじゃ……あやつはワシの魔法と同時に、鍛え上げた精神力で『超能力調伏フォース・ドミネーション』を叩き込みおったんじゃ!」


「超能力調伏……!?」


「進化のエネルギーで暴走しかける三体の意識を、あやつは『超能力調伏』で掌握しおったのじゃ。そのまま強靭な精神力で三体同時の進化を完璧にコントロールして『血の契約』を結んだのじゃ」


 ゲド爺さんは恐怖を誤魔化すように、自らの腕をさすった。

「結果、奴らは キングベヒーモス、神龍しんりゅうリヴァイアサン、そしてバハムート・改へと限界を突破した……恐ろしく精緻(せいちで、狂気じみた所業じゃったわ」


 あまりにも企画外で、信じられないような話だったが、ルークの瞳には微かな揺らぎすら浮かんでいなかった。


 ルークは静かにゲド爺さんに背を向け、ドームの奥にひっそりとたたずむ『その扉』へと歩き出した。


「こっ、これ、ルーク! どこへ行く気じゃ!?」


「一年間分、修行して戻ってきます」


「は、話を聞いていたか?馬鹿はやめなさい! アイツは特別なんじゃ! お前が廃人になってしまったらワシは――」


 慌てて止めるゲド爺さんを振り返り、ルークは微かに笑った。


「心配しないでよ、ゲド爺さん。元々、あいつより能力値は僕の方が上だったんだ」


 ルークが次元の扉の奥へと姿を消してから、三十分が過ぎた。


 ゲド爺さんは落ち着かない様子で、ドーム内をウロウロ、オロオロと歩き回っている。時折、次元の扉の方をチラリと見てはため息をこぼしていた。


 そして、一時間が経過した頃。


 次元の扉が開き、酷く憔悴しょうそうしたルークが姿を現した。その顔には明らかな疲労が浮かんでいたが、まとう空気は先程までとは劇的に変わっていた。


「……どうじゃった?」


「自分でわかる。僕は遂に覚醒したよ」


 静かな声だった。だが、ルークから放たれる総オーラは、あのアナキンと同等と言えるほどの途方もない圧を秘めていた。

 あまりの優しい性格ゆえに、無意識に自身の成長を止めていたルークは、今、完全に覚醒を果たしたのだ。


「すぐにやろう」


「あっ、ああ……。本当に大丈夫か?」


「復活しなさい! アイアンゴーレム、ワイバーン!」


ルークの力強い声と共に、巨大な鋼鉄の巨人と獰猛どうもうな飛竜が顕現けいげんする。


(そうか、お前も二体同時召喚ができる天才召喚士だったんじゃよな……)


 ゲド爺さんは目を見張った。そしてすかさず、ドーム内の壁に張り付いた紅蓮と蒼銀の二種類の魔石に向かって杖を掲げた。


魔獣進化魔法ビーストエボリューションスペル!」


 二つの魔石が怪しい光を放ち、二体の召喚獣へと降り注ぐ。ルークもまた、アナキンと同様に『超能力調伏フォース・ドミネーション』を展開し、強大な力へと変貌していく二体を完璧にコントロールしてみせた。


 紅蓮の光を浴びたワイバーンは、その身に激しい炎を纏いながら巨大化し、威風堂々たる『フレイム・ドラゴン』へと姿を変える。一方、蒼銀の光を取り込んだアイアンゴーレムの重装甲は眩い輝きを放ち、より強靭な『ミスリルゴーレム』へと見事に昇華を果たした。


 その圧倒的な光景を見届け、ゲド爺さんは静かに、しかし力強い声で口を開いた。


「……お前がアナキンを止めたい気持ちはよく解る。ヤツらは本当の神に喧嘩を売ろうとしておるからな。だが今、アナキンを止めるには口で言っても無駄じゃ。同等の力がいる」


「…………」


「今まで誰にも言ってはおらんが……ここから更に北の地、アイスランドという氷河に覆われた土地に『フェンリル』という伝説の巨大な黒銀色の狼がおる。いまだに誰も従魔にできてはおらんが、ひょっとすると今のお前なら調伏ちょうぶくが可能かもしれない」


 言葉を切ると、ゲド爺さんはさらに声を潜めた。


「更に驚く事を教えよう。今、炎龍にまで進化したあのドラゴン……アヤツは元々『竜戦士』じゃ」


「何っ!?」


「そうじゃ。前回の魔獣大戦の時のメンバーの生き残りでな。身内の裏切りに遭い、人間とドラゴンがバラバラにされた。人間の方はどこかに幽閉され、ドラゴンも記憶が無い状態なんじゃ」


 ルークが息を呑む中、ゲド爺さんは悲しげに目を伏せた。


「力を抜かれ、ボロボロになって倒れていたベビードラゴン……それを拾って保護したのが、かつて心優しかったアナキンなんじゃよ」


「ゲド爺さん……僕は行くよ、アイスランドへ。かつての彼を取り戻す為に」


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