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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
【便利屋の一味の大冒険】

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再会――ルークとアナキン、交わらぬ道

 ――ドワーフの洞窟前。

 

 隊長のサウザーを瞬殺したカインの得体の知れない強さに、残された黒ひげ海賊団の団員たちは完全にビビり散らし、戦意を喪失していた。

 武器を放り出し、恐怖で顔を引きらせながら後ずさる男たち。


 その時だった。

「グルルォォォォォッ!!」

 血の匂いに引き寄せられたのか、森の方から巨大な影が飛び出してきた。

 紫色の禍々しい体毛に、先端から猛毒を滴らせるサソリの尾。ギルドで討伐依頼を受けたAランク魔獣『ヴェノム・マンティコア』だ。


「ひぃぃっ! Aランクの化け物まで出たぞぉっ!?」

 海賊たちが絶望の悲鳴を上げた、次の瞬間。


――シュパァンッ!!


 目にも留まらぬ速さでカインの姿がブレたかと思うと、マンティコアの巨大な首と、討伐証明部位である『毒の尻尾』が、宙を舞っていた。

 Aランクの凶悪な魔獣が、悲鳴を上げる間もなく一瞬でダルマにされた。

 ドサリと崩れ落ちる巨体を背に、カインは返り血ひとつ浴びずにゆっくりと振り返った。


「スマン兄貴、うっかり最後迄殺っちまった」


 正直言うと、仲間である俺でさえ、カインの急激すぎる成長には恐怖を抱いていた。


「兄貴……次はどいつを殺ればいい?」


 圧倒的な恐怖に呑まれ、海賊たちは動くことすらできない。

 動いた者から殺される――そう本能で悟っているのだ。

 暗く濁った瞳で尋ねてくるカイン。

 放っておけば、このまま団員を皆殺しにするだろう。

 俺は咄嗟にカインの肩を掴み、なだめた。


「いや、もういいカイン。戦意を失った奴らをこれ以上殺る必要はない」


 俺の心の中には、強い葛藤があった。

 本当なら、俺自身が奴らを始末して『帰還率』を稼ぎたいところだ。だが、それ以上に……戦意を失い無抵抗になった人間を、仲間に、ましてや弟分のカインにこれ以上無意味な殺戮をさせたくないという気持ちが勝っていた。


 ふと、こういう時、あの勇者ライアンなら容赦なく全員の首を刎ねるのだろうな、と思った。

 自分の甘さを、知らないうちに絶対的な強者と比較して自嘲してしまう自分がいた。


「命拾いしたな、お前ら。さっさと消えろ!」

 俺が一喝すると、海賊たちは蜘蛛の子を散らすように森の奥へと逃げていった。


 しかし、海賊たちが逃げ去った後も、カインはまだスッと目を細め、静かに危険な殺気を漂わせたまま立ち尽くしていた。

 俺は大きくため息を一つ吐き、奴の後頭部をスパーン! と引っぱたいた。


「いっててててっ!? な、なにするんだよ兄貴!!」


 カインが涙目で頭を抱えてしゃがみ込む。


「お前、さっきから顔が怖いんだよ。バカインのくせに、一丁前にシリアスぶってんじゃねえ!」

「バ、バカイン言うな!」


「さっきの兄貴にまた会いたいんだろ? こっちの兄貴はライアンと再戦予定だ。俺にくっついてれば必ずまた会える。だから元気だせ。そんな変な顔をしてたら会えるものも会えなくなるぞ?」


 カインは嬉しそうに返事をした。

「俺は元々元気だ!顔も変じゃない!」


「それでこそ、いつものカインですわ」

「Hなあんたには戻らなくていいからね」

「カインはHなのだな」


 女性陣が優しく?フォローを入れると、カインはようやくいつもの元気を取り戻した。


 カインが元に戻り、気が緩んだ俺は、急に指の痛みが戻った。

「痛いよー痛いよー、エリスー、バカインのせいで生爪が剥がれたよー」

「それは大変ですわ。

 涼さんのー、痛いの痛いのー、飛んでけー」

「わーい治ったー♪」

「良かっですわね♪」


「おい、レイナ。ひょっとして俺は今後もあんなのを見せられなきゃいけないのか?」

「アホくさっ!」

レイナはご機嫌斜めだった。


 こうして俺たちは、ヴェノム・マンティコアの討伐証明部位まで回収し、邪魔者の消えたドワーフの洞窟へと悠々と入って行った。



――同時刻・ドワーフの洞窟から北へ約二百キロの上空


 ルークとサスケは、三体の凶悪なグリフォンに取り囲まれ、絶体絶命の危機に陥っていた。


(まずい……まだワイバーンが復活していない!)


『ルーク殿! 拙者一人で主殿を乗せたまま、あの三体との空戦は無理でござる!』

 サスケが焦りの声を上げる。


 だがその時、襲い掛かってくるはずの三体が、突如として怯えたように逃げ出そうとするそぶりを見せた。


『【滅界爆炎メガフレア】!!』


 南側遠方から放たれた極大の爆炎が、逃げようとした三体のグリフォンを同時に消し飛ばした。


 凄まじい爆風の中、ルークが見上げると、そこには巨大なバハムートが悠然ゆうぜんと羽ばたいていた。

 背に乗っているのは、幼馴染のアナキンと、ゼインだ。偶然にも、同じ魔物使いのモンスター爺さんの所へパワーアップに向かっていたアナキンたちが追いついて来たのだ。


 お互いにハッとし、視線が交差する。


「……久しいな、ルークか。ドラゴはどうした?」


「やられてしまったんだ……。すまん」

 ルークが謝ると、アナキンは呆れたように言った。

「情けない奴だ。誰にやられた? 俺が殺しに行ってやる」

「勇者ライアンだ」


 その名を聞き、アナキンの顔に驚きが走る。

「何!? お前、まさか戦ったのか?」


 信じられないという様子のアナキンに対し、ルークは問いかけた。

「アナキン……やはり君も、最近恐れられている『七武神』なのか?」

「それは他人が勝手に呼んでいる呼称に過ぎない。お前はこれ以上俺たちに関わるな。死ぬぞ」


「俺はアナキンを止めたい!危険な事はやめて、また昔みたいに従魔とみんなで一緒に仲良く暮らそう!」


 ルークの提案を、アナキンは完全に無視した。


「この方角はひょっとして……お前もゲド爺さんの所に行くのか?」

「ああ、そうだ」

「悪いが、俺が先行させて貰う」

 それだけ言い残すと、アナキンたちはバハムートを加速させ、ルークたちを置き去りにして北へと飛び去って行った。


「とりあえず助かったが、拙者はアナキンが苦手でござるよ」

「だろうね」


 ルークは胸のざわめきを押し殺し、このままモンスター爺さんの元へ向かう決意を固めた。

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