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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
【便利屋の一味の大冒険】

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初Aランク依頼




朝。

 俺たちはホテルのレストランコーナーに集まり、朝食をとっていた。


「この大人数で旅を続けると、金が持たないな。じゃあ、エリスパパに早速連絡をして、多めに仕送りをお願いする……」

 一同からの冷たい視線が突き刺さる。

「……とか甘い考えは駄目だぞ、カイン」


 俺の苦しい責任転嫁に皆が笑うが、カインはいつもより真面目な口調で身を乗り出してきた。


「兄貴。ギルドへ行って仕事を貰わねえか? 俺、もっと強くなりてえんだ」

 既にアサシンまで進化しているカインが、珍しく焦りを見せている。

 その必死な様子を見て、俺は察した。恐らく昨夜の俺とルークとの話を聞き、アナキンと共に故郷を出ていった兄のことを意識しているのだろう。


(……だが、本当に一番焦っているのは俺自身なんだけどな)

 仲間たちには内緒にしているが、前世に帰るための『帰還率』を、ライアンより先に貯めなければならない俺にとって、のんびりしている暇など本当はないのだ。


 俺は小さく息を吐き、仲間たちの顔を見渡した。


「みんな、聞いてくれ。突然、黒ひげだの、七武神だのって話を聞かされて、焦る気持ちは俺もよくわかる。実際、俺もワケありで焦ってるからな」

 俺の言葉に、カインやルークがハッと顔を上げる。


「だが、焦り過ぎるのは俺の経験上、絶対に良くない。強くなりたいという意思はそのまま保持して、皆で一段一段確実に階段を上がっていこう」


 静かだが力強い俺の言葉に、メンバーの目の色が落ち着きを取り戻す。


「ルーク。それでもお前はモンスター爺さんの所へ行くんだろ? 以前メフィストの依頼を受ける時に、この大陸に来てるから俺よりは詳しいと思うが、ここは魔獣の平均レベルが高い。だから、サスケに乗って空から向かうのはどうだ?」

「……なるほど。確かにその方が早いし安全で助かります」


 ルークが納得して頷くのを見て、俺はサスケ分の食料を取り出して手渡した。


「よし。残りのメンバーは、みんなで情報収集後、この街近郊のドワーフの洞窟へ行く。リリアの甲冑を直しにな」

「……私はAランク重戦士だ。一人でも行ける」

 リリアが強がるが、俺は即座に首を振った。


「俺の話を聞いていたか? リリアは今、防具も無しでこの新大陸にいるんだ。エリスを狙ってくる奴もいるだろう。だから逆に、みんなで固まって効率よく動くんだ」

 俺の正論に、リリアが小さく頷き、仲間たちの顔つきも頼もしげに引き締まった。


 完璧なリーダーシップだ。


「あ!それと、みんなに一つだけお願いがあるんだよねー。 ノア関係の都合上?……魔獣のトドメだけは、極力ぼくに刺させて下さい!」

 俺は、勢いよく床に額を擦り付けた。


 さっきまでの名演説を完全にぶち壊す俺のジャンピング土下座に、一同爆笑した。


 食後、別行動となったルークは、港に停泊している魔導船へと戻っていた。


「サスケ、お待たせ」

『おお、ルーク殿! 皆は一緒ではないのでござるか?』


 船の番をしていたサスケに、ルークは事情を説明しながら、涼から預かった朝食と道中の食料を手渡した。


「それと……涼さんが、サスケの背に乗りやすいようにと、これを作ってくれていたんだ」

 ルークが取り出したのは、丈夫な革で丁寧に編み込まれた新しい手綱レインだった。


『なんと……涼殿は本当に気が利くお方でござるな』

 とサスケは感心した。


 ルークは手綱をしっかりとサスケの体に装着し、港の管理人に駐船料を支払った。


「よし。頼むぞ、サスケ。目指すはモンスター爺さんのいる山だ」

『承知したでござる! しっかり掴まっているでござるよ!』


 サスケが大きく翼を広げて羽ばたくと、強風が巻き起こる。

 巨大な鷲の背に乗ったルークは、ポルト・マリナーズの港から大空へと勢いよく飛び立っていった。


 街でドワーフの洞窟についての情報収集を……始める前に、俺はピタリと足を止めた。


「待てよ。わざわざ街の連中に聞いて回ったり、情報屋に金を払う必要なんてないんじゃないか?」

 「兄貴、どういうことだ?」

 首を傾げるカインたち。


「ギルドに行くんだよ。そこで『ドワーフの洞窟周辺の依頼』を探して受注すればいい」


「……なるほど」

 リリアがその意図に気付いてうなづいた。

「依頼を受ければ、ギルドからタダで正確な行き方の地図を渡されるというわけか」

「その通り。しかも依頼をこなせば報酬の金も入るし、本来の目的であるリリアの装備の修理に行ける。おまけにカインの修行にもなるし、俺もトドメを刺しまくれる。まさに一石五鳥ってやつだ」


 合理主義を地で行く俺であった。


「さすが、涼さん!」

 エリスも目を輝かせて拍手をし、レイナは「いかにも涼って感じ」と感心していた。

 どうやら、エリスもレイナも俺の頭のキレは尊敬してるようだ。


「へへっ、さすが兄貴だぜ! さっきの土下座の情けなさが嘘みたいだぜ!」

「一言余計だ、バカイン」

 俺はカインの頭を軽く小突いて、意気揚々と冒険者ギルドへ向かった。


 港町ポルト・マリナーズのギルドは、朝から荒くれ者の冒険者たちで活気に満ちていた。

 どうやら、この街にはまだ俺たちの誇大噂は伝わっていない様子だ。変に注目を浴びずに済むのは助かる。


 それにしても、さすがは新大陸。今までのギルドに比べて、たむろしている冒険者たちのレベルが明らかに一段階上がっている。

 巨大な戦斧を背負った【大斧士アックスバトラー】に、魔法の光を帯びた鎧を着込んだ【魔装騎士マジックナイト】、杖から魔力を漂わせる【導師ソーサラー】……。前の大陸ならギルドの主力級を張れそうな熟練の冒険者たちが、そこら中にゴロゴロいた。


 俺たちはそんな歴戦の冒険者たちの間を抜け、掲示板の前に立ち、ドワーフの洞窟絡みの依頼を探す。


「お、あったぜ兄貴! 『洞窟周辺に棲み着いたAランク魔獣【ヴェノム・マンティコア】の討伐』だ!」

「報酬は……金貨十枚! これなら当分の旅の資金としては文句なしだ」


 Aランク依頼だが、カインとリリアがAランクの為、問題はない。

 俺はカインが見つけてきた依頼書をひっぺがし、そのまま受付嬢のカウンターへ持っていく。


「この依頼を受けたい」

「はい、カイン様とリリア様のランクを確認いたしました。受注可能です」

 にっこりと笑う受付嬢は、カウンターの奥から地図を取り出した。


「目的地であるドワーフの洞窟は、街の近郊にある黒鉄の森の奥です。道が入り組んでいるので、こちらのルートを記した地図をお持ちくださいね。それと、マンティコア討伐の証明として、奴の『魔石』と特徴的な『毒の尻尾』を忘れずに切り取って持ち帰ってきてください」


「よし、地図も手に入ったし、上々な滑り出しだ」

 俺はギルドを出ながら、地図を広げてニヤリと笑った。

「さあ、出発するぞ! 目指すは黒鉄の森のドワーフの洞窟だ!」

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