海鳴りのダンジョン⑨そして決着へ
「ノア、ライアンたちを殺す!最適解をくれ」
《向こうにはルシファーがいますね》
《涼さん、遂にライアンと直接対決ですね》
《深手を負っているとはいえ、敵は一騎当千の猛者2名です》
《残念ながら今回の最適解はありません》
《ーーーーーの作戦で最大勝率がようやく52%です》
《非常に危険ですがそれでも戦い(やり)ますか?》
サスケとリリアの脳内にも作戦が流れてる為、確認するが二人とも既に命を懸けていた。
ここを乗り越えないと意味がないと思った俺は、それでも戦うとノアに答えた。
《ご武運を》
―――5分後
岩床には雷神剣と雷切とエクスカリバーが重なり合う様に落ちていた。
俺の身体は背後の壁に叩き付けられ、ギルガメッシュが振るう妖刀『初代鬼徹』の凶刃が喉元へ迫る。
魔神の如き剛力を、俺はホーリーナイフ一本で必死に受け止めた。火花が散り、聖なる白刃が悲鳴を上げる。
一方、広間に流れ込んだ海水が腰まで浸かるエリアでは、ライアンが喉元に迫るカインの妖刀『村正』を予備の短剣で必死に受け止めていた。
そして――俺を押さえ込むギルガメッシュの腕を、リリアが斬り落とそうとしたその瞬間―――
《EMERGENCY(緊急警報)!》
《EMERGENCY!》
《警告!災厄級個体》
「「何っ!?」」
俺とカインが同時に驚く。
自分のスカウターの聞き覚えのある激しい警告音が広間に鳴り響いた。
『そこまでーーー!!』
女の声が、張り詰めた空気を切り裂き、入口側からコツコツとヒールの音が響く。
現れたのは、凄惨な戦場にはおよそ似つかわしくない、タバコを咥えた魅惑的な謎の美女だった。
「はいはい、そこまで。ライアンもあんたも死んだら全て終わりよ? 相討ちが一番無意味でしょ?」
「……メフィストか? 貴様何故ここに?」
「可愛い弟子がいたものでね。つい見に来てしまったよ」
「ひょっとすると、さっきの女魔法使いか?」
「さてね。……それにしても珍しい光景ねライアン。貴方がそこまで追いつめられるのを私は初めて見たよ」
「抜かせ」
ギルガメッシュに刃を突き付けられながらも強がって言った。
「俺たちはまだリリアがフリーだぞ!?」
「私の話を聞いていたかい? 私もライアンに救われた借りがある。まだ続けるというのなら――私も参戦になるが……あなた、『全 滅』がお望みかい?」
「……わかった(化け物め)」
そこからの話し合い――という名の、俺とライアンの泥沼の交渉戦の末、互いの戦利品を分かち合うことで辛くも手打ちとなった。
俺たちが『蒼海石』を3つ。ライアンは『イージスの盾』、ギルガメッシュには『三又槍』
そして、今日仇を取れず、悔しさに震えていたリリアに対しては、破損した形見の甲冑を修復できる可能性のある『ドワーフの舟屋』まで、メフィストが送り届けるという条件を俺が引っ張り出した。
「便利屋の涼、顔を覚えたぞ」
「ああ、こっちもだライアン」
こうして、俺とライアンの初めての激闘は意外な形で幕を降ろした。
メフィストの謎の魔術でライアン達とリリアの甲冑が煙と共に消え、俺たちは重い足取りを引きずりながら、皆が待つ広間に向かった。
道中、俺とカインのスケベコンビは激闘の後にも関わらず、下着姿のリリアに纏わりつき、競うように話しかけた。どうやらルークは恋人ではなく昔からの友人らしい。
既に何の罪悪感もなくスマホでリリアの下着姿を撮った俺は、前世なら盗撮犯で捕まる所だろう。
サスケたちの待つ場所へたどり着いた時には、エリスとレイナは既に宿へ送り届けられており、ルークだけが心配そうに待っていた。
結果を報告し、明日の朝ドワーフの舟屋での集合約束した。
ルークとリリアをサスケに送り届けて貰い、俺とカインは報酬を受け取るべくギルドマスターの所へ向かった。
そしてカウンターに到着するとなんと、ぶったまげる事に勇者ライアンがいた。
再び緊張に包まれ、臨戦態勢に入ったアサシンカインは宝刀二刀を抜くと、現場の周囲の人だかりがどよめいた。
だが戦闘態勢はとらず、ライアンが言った。
「涼よ、安心しろ。今日の所は見逃してやる」
俺は緊張しながらも精一杯の虚勢を張った。
「それはこっちのセリフだ」
「ところでそこのアサシン、そこそこ強かったが貴様の名前は?」
「カイン……カイン・ゾルティックだ」
「ふっ、やはりな。涼よ、どうやらこれからは私と貴様を中心に、この異世界が動きだすぞ」
「どういう意味だ?」
「敵に教えを乞うな。自分で答えを探せ」
(いるいるこういういやらしい奴!さんざ興味をそそらしといて、教えないみたいな)
「カイン、こんな若ジジイはほっといて報酬貰ってさっさと帰ろうぜ」
うちのグループはカインがMAXのBランク任務のた為【黄金大糞虫】捕獲任務だった。二匹提出すると報酬の金貨2枚を貰った。
(クソッ、本当はボスより強い奴らと戦ったってのに……てゆうか消費したポーション2本分じゃねーかよ)
Sランク任務をついでにこなして大量の金貨をモノにしたライアンはわざわざ俺たちの前を通り、
「プッ!金糞虫て。 さて、ドラゴンブーツが痛んだから、明日は西のハイブランド街でオルメス社のサラマンダーブーツでも買いに行くとするかー」
と嫌味な長い独り言をいいながら消えていった。
ふざけた勇者だ。
絶対に好きになれないタイプだ。
―――だが周りは
「あいつらが最近噂の、便利屋の涼とその一味だぜ」
「あの黒いの、アサシンじゃねーか?」
「勇者ライアン様と張り合うなんて正気じゃねー」
と勇者パワーで武勇伝に超ブーストがかかった俺達だった。
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