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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
【便利屋の一味の大冒険】

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34/50

海鳴りのダンジョン⑥勇者のチート能力

 ライアン、ギルガメッシュとガーディアンが俺の存在に気付く。

「何者だ?」

「何奴……」

『また人間が増えたか。上の奴らは一体何をやっているんだ』


「カイン、上出来だ。よく拾ってくれた。 

  って何だこのめっちゃ怖いワイバーンは!?」


 『頼む、ルークを救ってくれ』


 足元には、血に染まった友のルークと、甲冑に包まれた戦士が横たわっている。 


「ルークの従魔か? エリス!急いでそこの召喚士の治癒だ。 同時に俺たちの時と同じ物理と魔法の二重障壁を二人に張ってあげてくれ」


「は、はいっ! 」


 エリスの温かな治癒の光が瀕死のルークを包み込み、同時にルークとリリアを二重の魔法障壁が優しく包む。

 最低限の安全が確保されたその数秒の間に、俺は、虚脱状態のリリアの元へしゃがみ込み、甲冑のマスクを上にあげた。

 そこには、汗と海水が混じった泥にまみれてなお美しい、彼女の素顔があった。


「……あ……ルーク……すまん……」  

 焦点の合わない瞳でうわごとを呟くリリア。

 深傷はないが、精神の摩耗と絶望が限界を超えていた。


「リリア、口を開けるんだ」  

 マジックポーチから、見慣れない瓶を取り出した。

 それは道中で集めた素材を調合し、密かに作り溜めていた『自家製エナジードリンク』だった。それをリリアの口元へ強引に流し込んだ。

「ごくっ……、げほっ、苦っ……」

「味わうな、飲み込め」

 身体の芯から焼けるような熱さが、リリアの霞んでいた意識を強制的に現実へと引き戻す。

「はぁっ、はっ……!」  


「元気が出たか? 安心しろ、ルークの命はエリスが繋ぎ止めた」

 背後から膨れ上がる殺気を感じ取りながら、静かに立ち上がった。  

「お前たちは少し休んでいろ」


 そう言い残して振り返り、俺は勇者に向かって大声を張り上げた。


「おい、ライアン!お前と会うのは初めてだから、お前の事はよくわかんねーけどよ!ここで二人も人間が死にかけてた。勇者は人を殺してもいいのかよ?」


 ライアンが返答する間、ギルガメッシュがライアンと魔獣達との間に入り威嚇している。


「小僧、貴様が最近私のデーター横に頻繁に表示されていた便利屋か。ならば答えてやろう。そもそも私は異世界人などに興味が無い。殺生する時は、私の帰還目的に必要な場合と、邪魔する者を払う時だ」


「俺はお前と同い歳だおっさん! どうやら俺とお前では、根本的に考え方が違うようだな!俺も悪人とは戦うぜ。

 ……それでどうするよ? 今から俺とお前で殺し合うか? あ゛ー!?」


「私の帰還の邪魔をするというなら、そうなるだろうな」


「そうかい……おい、そこのガーディアン!」


『糞人間風情が何用だ!?』


「勇者たちに気圧されてるじゃねーか。お前も強いなら強敵を倒す時の鉄則位わかるだろ?」


『人間ごときに教わる我では無い』


「わかってねーから教えてやるってんだよ!まず、敵の敵は味方になり得る。そして、悔しいが恐らくこの中で一番強ぇーのが、あの勇者だ」


『我らの方が強い』


「じゃあ、尚の事いいじゃねーか、俺たちと今から組んで、まずは全員であの勇者共をぶっ潰すんだよ!その後は、お前らが本当に強ぇーなら俺たち位楽勝だろ?」


 先程迄勇者と対峙していた海骸重騎士マリナー・ドレッドナイトが加勢する。

『それで()らせてくれ、ガーディアン様!自分もあの偉そうで余裕の態度の勇者が心底気にいらん』


『……わかった。勇者を殺して、その血でポセイドン様と祝杯をあげよう。お前にはこのイージスの盾をやろう』

『有り難き』


 ライアンが眼前の敵数を指で数え始める。

「……強魔獣三体に、召喚獣二体、人間が一、二、……六人か……貴様らは卑怯者の集まりだな!

 ふう、私とした事が最弱大陸と侮り、連中を置いて二人だけで潜ってしまった。

 ……久しぶりだな、私の命に指が掛かるのは。

 ……そうだ!この世界に来た初日に、ギルガメッシュ!貴様と戦った時以来ぞ」


「あの激闘は拙者も懐かしい思い出でござるよ」


(なっ、何だってーー!?)


 今迄の人生において、これ程の驚きを経験したことはなかった。

 自分が初日にゴブリン相手に苦戦した経験と、ライアンが初日にギルガメッシュと戦闘して仲間に加えた事実同士を結びつける事が、どうしてもできなかったのだ。

 そして、ギルガメッシュクラスの仲間がまだ他にいるとでも言うのか――。

 俺の膝は自分でも気づかないうちに、ガクガクと震えていた。


「血湧き肉躍るとは、このことか。面白い……久しぶりに、本気で戦えそうだ」


 こちらの方を振り向いたライアンの顔を見て、俺は更に驚愕した。

 左目にゴーグル、口元にはマイクのような、この世界には絶対にあり得ないデザインのギアが装着されていたからだ!

 

 ライアンがマイクに向かって呟く。

「スカウター始動!」


 虚空を見つめ、見えない何者かと話し始めた勇者の姿は不気味だった。


■ SCAN・SYSTEM ― START■

《空間魔力波形スキャン……完了》

《対象:強魔獣3体・召喚獣2体・人間6名》

《水属性と盾持ちにより魔獣LV上昇有り》


■ TARGET ANALYSIS(対象分析): DEMON BEAST(魔獣) ■


▶【深海守護者アビス・ガーディアン:LV41(+3)】

 ┗属性:水/深海 、弱点:雷属性


▶【 海骸重騎士マリナー・ドレッドナイト:LV30(+8)】

 ┗特性:物理耐性・即死斬撃、弱点:雷属性・聖属性


▶【 深海死神アビス・リーパー:LV30(+3)】

 ┗特 性:重装甲・水属性無効、弱点:雷属性


▶【召喚獣:ワイバーン(特異進化個体):LV32(上昇中)】

 ┗属性:火/飛行 、特性:狂化状態・主への執着


▶【召喚獣:アイアン・ゴーレム:LV22】 

 ┗属性:鋼/地 、状態:損壊率78%(機能停止寸前)


■ TARGET ANALYSIS(対象分析):HUMAN(人間) ■

《脅威度が魔獣以下につき戦闘力のみ略式表示》


▶【便利屋:150】

▶【ローグ:290】

▶【重戦士:360】

▶【召喚士:330】

▶【魔法使い:320】

▶【僧侶:30】


 敵対戦力データがライアンの左目レンズ内に次々と流れ、表示される。

 

 カインの地獄耳がライアン方向の聞き覚えのある音を捕捉した。

「兄貴!今僅かに兄貴が持ってる機械と同じ電子音が聞こえたぜ?」


「何だって!?」


(待てよ? ひょっとして……ひょっとしたらやつは……ノアも言ってた気がする。

 そうだとしたらマズイ!下手すりゃ全滅迄あるぞ!?)


「みんな気をつけろ! ヤツは俺と同じ機械を持っている!!」


「「「え?」」」


 ライアンがマイクに向けて誰かに命令した。


「そのまま来い、ルシファー!!」

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