海鳴りのダンジョン③宿敵ギルガメッシュ
俺の心臓が、早鐘のように打ち鳴らされる。
焦りか、あるいは本能的な恐怖か。
「……みんな、飯は終わりだ。片付けるぞ」
俺の声のトーンが変わったのを察したのか、カインとレイナが真剣な表情で立ち上がる。
「兄貴、いよいよヤバいのが近くにいるんだな?」
「ああ。どうやら先行してる勇者サマ一行は、魔獣で遊ぶような、とんだサディストらしい」
「カイン、ここから先は更に鼻と耳を研ぎ澄ませろ。少しでも魔力の揺らぎ・血・武器の匂いを感じたら即座に知らせてくれ。
それと……あの目障りな目玉を今すぐデリートだ」
「了解」
言った瞬間に、カインの身体は偵察使徒の目前にあった。
横一文字に青い血が噴き出た時には、着地したカインが村正を鞘に戻していた。
「エリスもレイナもすまんがここから先、過去一の修羅場になるのを覚悟してくれ。いざとなったら俺の責任だ。後衛にいて命が危ない時は俺を捨ててでも、この広場迄なんとか戻るんだ。」
俺が指笛を吹くと、光の差す天井からサスケが舞い降りてきた。
「呼びましたか、涼殿」
「サスケ、ここで待機して雑魚魔物が俺たちの背後をとらないようにしてくれ。脱出経路を守るんだ。ふざけてる場合じゃなくなった。後続の全ての冒険者達も引き返させるんだ。来れば間違いなく死ぬ。エリスとレイナが避難して来たら、今来た天井から脱出してくれ。今のお前なら男なら二人、女なら三人迄乗せられるはずだ」
「かしこまったでござる。それとここから先、一キロ程の地下から地震位の揺れが起きていたでござる。恐らくダンジョンの大ボスクラスかと」
「了解した。そもそもボス魔獣を侮ってはいけなかったな。そうだ、これカニ飯だ。体力をつけといくれ」
「涼殿、有難いでござる」
ここから先は、遊びじゃない。
俺たちは魔導マグライトの出力を上げ、さらに苛烈な魔力が渦巻く『深層』へと、歩を進めていった。
――――五百メートル先
「ちょっと待ってくれ。ルークが今倒した、この迷彩大蛸の足の切断面を見てくれ。何か気付く事は無いか?」
「いや、私は剣士ではないからな……」
『ちゃんと見ろ、ルーク』
右肩のベビードラゴンが言った。
「切断面の形状が、三本とも僅かに違うんだ」
「どういうことだ?」
「コイツを斬った武器は、少なくとも三種類あるという事だ」
「何?」
「そして……恥ずかしながら言おう。さっきから俺の身体は震えが止まらん。
それだけではない――この俺の大剣、『ドラゴン・スレイヤー』までもが震えているのだ」
「一体何に反応してるんだい?」
「……ようやく理解できた。 私の父を殺して『グラム・スレイヤー』を奪った男―――」
リリアが奥を睨んだ。
「『ギルガメッシュ』がこの先にいる!」
「ほっ本当か!?」
「俺が今回、お前と組んだ理由だ。奴がいる可能性が高いと踏んでいたからだ」
「……わかっているさ」
『おーい、ダンジョンボスも忘れるなよー』
「ルーク、エクスポーションはあるな?」
「ああ、問題ない」
「激戦になるぞ」
闇の奥から響く地鳴りは、さらに激しさを増していく。
リリアは大剣を引き抜き、宿敵が待つであろう最深部へと踏み出した。
――――更に五百メートル先の最深部大広間。
壁を覆う蒼い発光鉱石が、空間全体を不気味なほど青白く照らし出している。
「貴様がラスボスで合ってるか? イージスの盾を持ってるだろ。 今すぐ出せ」
『お前は勇者か? 舐めてるとブチ殺すぞ?』
深海守護者がブチ切れる。
「拙者も早めに『参った!』をお薦めするでござる。そして、お宝頂戴!」
ギルガメッシュが二刀の宝刀を抜いた。
――――涼達到着まで、残り一キロメートル
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