サスケの超進化と黒ひげの情報
あの謎の召喚士が見せつけた次元の違う強さに、俺たちは完全に打ちのめされていた。
そしてサスケの容態はひどかった。
「ウ……ウゥゥ……」
召喚士と対峙した時に受けた、圧倒的な魔力の余波により、翼はボロボロでピクリとも動かない。
「サスケ! こんな傷じゃ、もう飛べないよ……!」
エリスが悲痛な声を上げ、取り戻したばかりの『ホーリー・ロッド』を強く握りしめた。
「お願い、治って……『ヒール!』」
ロッドの先端から眩い光が溢れ、瀕死のサスケを包み込む。だが、光の様子がおかしい。
新ロッドの力で増幅された治癒の光に、召喚士が残した高密度の魔力が混ざり合い、異常な光の奔流となって渦を巻き始めたのだ。
「な、なんだ!? 治癒魔法が暴走して……いや、違う!」
俺たちの目の前で、サスケの体が漆黒の光に包まれ、一回り、いや二回りも大きく変貌していく。
鋭い嘴、力強い鉤爪、そして五、六メートル程もある立派な両翼に形成されていく。
バサァッ! と巨大な翼を広げ、サスケは力強く空高く舞い上がった。
すっかり傷が癒えただけでなく、その姿は以前の『シャドウ・ファルコン』から、より力強い『ファントム・イーグル』へと異次元の進化を遂げていた。
「――素晴らしい力だ。エリス殿。再び我を救ってくれたこと、深く感謝する!」
「良かったなサスケ!これで二人乗せても余裕で覗けるようになったな」
「涼殿、これ以上女性の前で勘弁して下され」
「……ってカインが言ってた」
「兄貴、勘弁してくれ」
「涼、キモッ」
「みなさんで何を覗くんですかー?」
「「「……」」」
「よし、サスケも大復活したし、早速船でも手に入れに行こうぜ」
港町を目指そうと歩き出した、その時。
「……待て」
瓦礫の陰から、血塗れの男が這い出してきた。海賊団の船長、黒ひげティーチだ。
ベヒーモスの一撃で吹き飛ばされる瞬間、あろうことか味方の副隊長を肉の盾にして即死を回避していたのだ。
「……ハァ、ハァ……そ、そこの僧侶。今すぐ俺を治療してくれ。頼む、この通りだ……そうだ! お前らに役に立つ情報をやる。それと交換だ」
「はあ!? 誰がアンタなんか治癒するかよ!」
ロッドを盗んだ挙句、殺そうと迄してきた敵だ。レイナがぶち切れるのも無理はない。
「待て、レイナ。……どんな情報だ? 内容によっちゃ助けてやらない事もない」
「ハァ……話してから殺すのは無しだぜ?」
「俺たちはお前たちとは違う」
「ハァ……ハァ……二つ情報をやろう。次の港町から先に行くには絶対に船が必要だ。高過ぎてまともに買うのは無理だが、裏ルートがある。俺様の知り合いがやってる舟屋の依頼条件を満たせば無料で手に入る」
「確かに役に立ちそうな情報だ。だが、それだけじゃ割に合わない。もう一つの方も聞かせてくれ」
「……さっきの戦闘中、気付いた事がある。化け物はアイツだけじゃねえ。各大陸の『災厄級』の奴らが集結し始めているって噂がある。ハーデス軍団とやり合おうとしているのかも知れねえが……かと言って正義の味方でもねえ。ヤツラにとって今の俺達は道端に転がっている石ころと同じだ。ガハッ」
ティーチは血を吐きながら必死に続ける。
「この先旅をするなら、奴らと接触前にさっきみたいにとにかく全力で逃げろ。助かる道はそれしかねえ。……ハァ、ハァ、さっさと治してくれ!」
「エリス、悪いが交換条件だ。治してやってくれ」
「涼さん……わかりました」
エリスが黒ひげの治癒をする。
「ゼハハハ! 助かったぜ。一応、お前の名前を聞いておこうか」
「俺は涼、便利屋の涼だ」
「便利屋? まあいい、またそのうち何処かで会うかもな」
「こっちは別に会いたいとは思わないがな」
「それじゃあな! 便利屋!」
黒ひげは不敵な笑いを残し、海の方へと姿を消した。
日が暮れてきた。
エルミナへ急ごう。
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