スーパーレアロッド二本盗難事件
女性陣はテントに引きこもり、ひとしきりガールズトークを弾ませた後、昼間の長距離移動の疲れからか早々に寝静まってしまったようだ。
外では、焚火好きの男性陣がパチパチと爆ぜる炎を囲んでいた。
「しまった、出発する時、エリスの親父さんから高い酒もせしめておけば良かった」
「涼殿は相変わらずちゃっかりしてますなあ。でも、拙者もそういう図太さが生き残るためには大事なのだと分かってきましたぞ」
どうやら幾多の危機を乗り越えてサスケは成長したようだ。
「あーあ、女性陣が寝る前に湖で水浴びでもするかと思ってドキドキしてたんだけどな。流石に疲れて寝ちまったね」
「カインも好きだねー(この子はいつ成長するのかな?まあ俺にも言える事だが)」
「でも、見つかって怒られたけどさ。あの日の温泉のエリス達の姿が、俺の脳裏に焼き付いて離れないぜ」
「拙者はこれ以上妹に嫌われるのはまずいでござる。今日は偵察し過ぎて疲れてしまったのでそろそろ休ませてもらう。お休みでござるよ」
「おやすみー」
「おや~」
サスケは近くの見晴らしの良い、背の高い木の上で寝てくれるようだ。
(ていうかサスケのヤツ、木の枝に止まって寝てるけどあんなんで睡眠になるのかな?)
パチッ、と焚火が爆ぜる音が夜の森に響く。
ふと、カインが真剣なトーンで口を開いた。
「あのさ、俺……二回も死にそうになったけど……結果的にローグにも慣れたし、俺、兄貴といると楽しいし、今回もこの旅に一緒に出れて本当に良かったぜ」
「どうした?急に。頭でも打ったか?」
「いや、マジな話なんだって。俺、普段はお調子者で強がって見せてるけど、本当は全然違うんだ」
(カイン、あんまそういう危ないフラグは立てるもんじゃない)
「この際だから聞いてくれ。俺は少数民族のゼクス族の村出身なんだが、とても貧しい村で、皆最初は【盗賊】から始まり、【シーフ】、【ローグ】になってどこかに召し抱えられるようになって一人前なんだ。実は俺がその一族で一番の落ちこぼれだったのさ」
「ならローグになったのだから良かったじゃん」
「いや、俺の兄貴は10歳で【ローグ】を卒業して【アサシン】になった超エリートなんだ」
「兄弟最後の別れのセリフ『お前やこの村は俺の成長の邪魔だ』て言い残して違う部族のやつとそのまま俺を置いて二人で出て行ってしまったんだ」
「そうなのか……」
「だから俺も兄貴と一緒に旅を続けて、いつか兄貴を追い越してやるんだ!」
(俺を呼ぶ『兄貴』と、お前の『実の兄貴』が被ってて話がややこしいんだよ)
俺は内心でツッコミを入れつつも、カインの肩を軽く叩いた。
「そうだな。みんなで成長して強くなろうぜ。とりあえず睡眠も大事だ。そろそろ寝よう」
「わかった。話を聞いてくれてありがとう。これからもよろしくな、兄貴」
「おう」
――翌日、朝。
「涼さん起きて下さい!」
エリスが真剣な顔で起こしてきた。
「なんだよエリス。まだ早いだろう」
「涼、本当に本当にゴメンなさいっ」
レイナが泣いていた。
「何があった?」
「涼さん、朝起きたら、私たちの枕元に置いていた大切なロッドが消えていたのです」
「何?盗まれたのか?」
「だから涼が心配して私達と一緒に寝ようとしてくれてたのにー。レイナ、気付かなくて大事なロッド迄盗まれてしまって、本当にごめんなさい。エーンエーン」
(物凄い勘違いだがロンモチ否定はしない)
(しかしながら冷静に考えても大事件だ。盗まれたロッド二本はあまりにもレアアイテムだし、そもそもサスケとカインに気付かれず侵入する事なんて可能なのか?)
俺はすかさず天使羽をタップする。
「ノア、うちの大事なロッドが二本も盗まれた。アドバイスを頼む。……ちなみに昨日使用していない一回分は持ち越せるのか?」
《了解しました。しかし残念ですが、持ち越しは不可能です》
「だよなー。相変わらず見極めが難しいな」
《はい。分析を開始します》
《――97%の確率で近くの海賊グループが犯人と思われます》
《人数は10~15人》
《戦力的に、ロッド無しの状態では涼さんグループの方がやや劣っています》
《港街の近海を縄張りにしています》
《そのまま【港街エルミナ】方向へ移動しながら探索すれば見つかる可能性が高いです》
「了解だ」
「カイン! サスケ! 聞いたか?」
「はい、涼殿」
「兄貴すまねえ、俺迄気付かずに」
「いや、恐らく敵は手練れだ。……みんなー!飯を食ったら気を引き締めて出発しよう!」
「「「了解!」」」
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