便利屋の一味、出発進行!
「もう隠す必要もないと思うから一応説明しておく。
コイツはNOAと言って俺の出身『倭の国』の最高技術で作られた魔道具で、スカウターにもなるし、アドバイスもくれる」
「やっぱりそうだったのか。チートギアに違いないと思ってたけど。この前、頭の中で語ってきたし」
「涼殿の言う、倭の国とはどこですか?聞いた事ござらんが」
「ウチも初めてー」
「誰も辿り着けないとてつもなく遠い国だ。話せば長くなるから時期がくれば説明するよ」
「とりあえず、このアイコンを押すと発動する」
俺は天使の羽のアイコンを押した。
ピッ。
《涼さん、今日は何をしますか?》
「ノア、ここにいる皆でこれから【港街エルミナ】へ向かう。アドバイスが欲しい」
《港街エルミナは北北東方向に約75キロメートル》
《道中は平均魔獣レベルが低いので比較的安全と思われます》
《ただし、海岸に近づくと魔獣レベルが一気に跳ね上がるのと、近海は海賊も多いので気をつけて下さい》
(この世界には海もあるんだな。それにしても海賊て)
「おっおおお、凄い……」
皆に驚きとどよめきが走る。
「まあ難点は『一日二回』の限定仕様な所かな」
「あと俺達のチーム名を決めないか?」
全員がこちらを見る。
「『便利屋 涼 と愉快な仲間達』なんかどうだ!?」
沈黙。
次の瞬間、全員が何事もなかったかのように歩き出した。
なかなか厳しい船出になった。
この先がとても心配だ。
サスケは中間地点の野営地へ偵察へと飛んだ。
涼一行の旅は順調に進んだ。
カインは皆と旅をするのが楽しくて仕方ないという感じだ。
「サスケの偵察任務とか俺とキャラが被るんだよな。じゃあ俺はみんなの先導係をするぜ」
といいながら、たまに現れる雑魚敵に張り切って大技を使いまくる。
LV3の軍隊蟹達に無駄にライトニングクロスエッジを連発してたのには俺も吹いた。
(しかし、軍隊蟹がいるという事は海に近づいてきたという事か?)
「あんた鬼だね」
「獅子は兎を狩るにも全力を尽くすからな」
レイナが疑いの目でカインを見る。
しかし、十キロもしないうちに予想通りカインはバテた。
「はあ、はあ、みんなもう少しゆっくり歩こうぜ」
「あんた馬鹿ぁ?」
「いや、カインのお陰で今日はご馳走にありつけそうだ。今日は俺が調理担当だ」
「涼さん、料理もできるのですか?」
「ああ、後でエリスにも教えてやるよ」
「あら、楽しみですわ」
「どーせレイナは料理なんてできませんよーだ」
中間地点迄到着すると、サスケは背中に乗せていた野営用のテント2つを既にセットして、焚き火用の囲炉裏迄準備していた。
(なんて仕事ができるやつだ。ファルコンになったとはいえ侮れん)
「よし、俺が料理の下準備をするから五百メートル南西にあった湖から『ルミナスパーチ』を採ってきてくれないか?」
「よしサスケ!10分でどっちが多く取ってこれるか勝負だ」
「よかろう」
ヨーイ、ドン!
この戦いには全く興味がなかったが、湖ではカインの 水面走りと水面斬り 対 風衝撃と爪技コンボ のハイレベルな戦いが行われていたらしい。
結果、サスケ八匹、カイン六匹だった。
結局、何匹持てるかの勝負だったらしく、爪分の差が出たようだ。
「こんなにとってきてどうするんだ?明日の朝食もこれだな」
新アイテムの魔道具を使えたので、火起こしはソロキャンの時よりはるかに楽だった。
エリスに手伝って貰い、魚の塩焼きと、蟹のスープ、兎のステーキが完成した。
エリスは俺のナイフ捌きに偉く感心していたようだ。
ついでに皆のハシも作ってあげた。
「頂きまーす」
「これは……涼殿、とても美味いでござる」
他の皆も美味しそうに頬張る。
「兄貴、カイエンペッパー貸してくれよ」
「ああいいよ。はまったな?」
「ああ。レイナ、これスープとかに入れると辛味が出てお薦めだぜ」
「……本当だ。辛くて美味しい!カインもたまには役立つ事言えるんだねー」
「たまにはって……」
【軍隊蟹 可食】
・スープに入れると激旨
・カイエンと相性良
久しぶりにレシピメモが増えた。
前回の迷いの森の失敗を学習してノアを一回分残し、寝る準備を始めた。
「とりあえず今テントを二つ仕上げたけど、寝る時の振分けどうしようか? くじ引きにするか?」
「エロジジイ!男女別に決まってんじゃん!ねえエリスちゃん?」
「わっ私は涼さんの指示に従おうかと……」
「はあ?エリスちゃんひょっとして涼と寝ようとしてない?リュグレインの聖女ともあろう方がどうなってんの?」
「エリスちゃんは兄貴と寝たいのか?」
「ややこしくなるからカインは黙ってて!はい、男女別!お兄ちゃんは涼が変な行動しないように外で見張っててよ!?」
「わっわかった」
(くじ引き作戦はやはり無理があったか)
焚き火の火が静かに揺れていた。
夜は更けていく。
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