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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
【生存確率28%】からのサバイバル

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迷いの森(後編)謎の召喚士現る

 「こんなにたくさんの軍隊蜘蛛アーミースパイダーに囲まれてると言うのに、その気迫は凄いな」


 人影がゆっくりと、こちらの方に近づいてくる。


「誰だお前は?俺の敵か?」


「敵かどうかは貴方次第。だが私と同じ黒曜樹が目的だろ? ならば協力しよう。貴方は目の前の一匹だけでいい。後は私が引き受けよう」


「何?」


「目覚めなさい!―ストーンゴーレム!」


 ゴゴゴゴゴ……。


 地面が隆起し、三、四メートルはある石の巨人がゆっくり立ち上がった。


「目の前の巨蜘蛛達を殲滅しなさい!」


(こいつ!召喚士サモナーとかいうやつか?)


 涼は、目の前で巻き起こる非現実的な光景を見ていた。  

 石の巨人が拳を振り下ろすたびに、地面が震え、厄介な軍隊蜘蛛が腐った果物のように押し潰されていく。

 涼は手元のナイフを握り直し、 


 「おい、協力と言ったな。何か条件があるのか?」

 

「ははっ、いい目だ。話はコイツラを殲滅してからにしよう。今はその『一匹』に集中してくれ!」


(今はコイツに頼るより仕方ない)


 彼が指差した先。他の蜘蛛より一回り大きく、赤黒い斑点を持つ『猛毒巨蛛ポイズン・アラクネ精鋭個体エリート』が、鋭い前脚を鎌のように振り上げ、涼へと飛びかかってきた。


「チッ、デカイな……!」


  涼は毒液を紙一重でかわすと、最短距離で懐に潜り込むと、迷いなく急所にナイフを深々と突き立てた。

 

 目の前の一際大きい巨蜘蛛が、不快な断末魔と粘液を垂れ流し絶命した。


「ナイスー!こっちも終わったよ

 よし、ゴーレムよ、地上迄の道を切り開きなさい!」


 指令を出すと、ゴーレムが落とし穴のようになってる洞穴の周囲を石の螺旋階段に変えてしまった。


「ありがとうゴーレム、戻りなさい」

 土に消えていく。ゴーレム

「さ、地上に行こう」


 俺達はお互いが何者か知らず黒曜樹前の地上に戻った。

 地上に戻った涼は、マジックポーチから新しい『手ノコギリ』を取り出した。

 手際よく自分の分の霊枝を切り出すと、それを召喚士へと差し出す。


「これ、使いなよ」


「ありがとう。助かるよ」


 彼も無事に霊枝を確保し、ノコギリを返却して聞いてきた。


「さて、と。君の名は?」


「人に名前を聞くときは、まず自分からだろ?」


「確かにそうだな、私の名前は『ルーク・フォン・シュナイダー』」


「俺は『涼』、人呼んで便利屋の涼さんだ」

 

「!?」

 

「どうした?」

 

「ひょっとして、貴方が昨日リュグレインのアンデット戦で大活躍した【便利屋の一味】のリーダー、涼さんですか?」

 

(えっ!?俺もうそんな有名人?)

「そっそうだけど」


「どうりでさっきの覇気は凄かった訳だ」


「ふっ、ありがとうと言っておこう。ところで君の歳はいくつだい?」


「歳?あっああ私は27だが?」


「そうか、俺は三十だ。三つ上だな。よろしくな、ルーク」


(年齢マウントをとり、早くもファーストネームで呼んできた!別の意味で恐ろしい人だ……)

「こちらこそ、便利屋の涼さん」


「さっきは助かったよ。ありがとう。ところでルークは何故霊枝を?」


「【大魔導士メフィスト】に『ゴレムン』をアイアンゴーレムにしてもらうための、交換条件なんです」


(カッコつけてゴーレムと呼んでいたが、普段は可愛くてベタなゴレムンだったのね)


 霧がいつの間にか晴れ、空からサスケが舞い降りてきた。

「心配しました涼さん!怪我はなかったですか?」


「この人のお陰で助かったよサスケ。レイナの霊枝もバッチリだ」


「そうでしたか。有難うございます、旅の人。涼さん、皆が心配してる頃です」


「そうだな、急いでリュグレインに帰るとしよう。また会えるといいな。ルーク」


「そうですね。僕は魔導士にこれを献上したら、地元の【港街エルミナ】に帰ります。」


「ああ、そうだ。出会いの記念だ、一枚いいか?」

  涼はスマホを取り出し、ルークの姿を画面に収めた。


「……? それは魔道具ですか? 構いませんが」

 後に、この写真が恐ろしい事実を突きつけることになるのだが、この時の涼がそれに気付く術はなかった。


「じゃあな、ルーク」


「ええ、涼さんも」


 リュグレインに戻ると、心配して待っていた仲間たちが集まってきた。


「涼さん、大丈夫でしたか?私、心配で心配で……」


「心配かけて済まない、エリス」


「兄貴、無事だったか」


「私は涼の心配なんか全然しなかったけどね。2人だけの約束もあるし」


「ああ、レイナ。約束通り霊枝はゲット出来たぞ。明日迄に仕上げてやる。……ところで『大魔道士メフィストって人』知ってるか?」


「やった!やっぱ涼は最高……て、えっ!?」

 レイナの顔から一瞬で笑顔が消えた。


「急にどうした?」


大魔道士マスター・ウィザードメフィストはレイナの魔法の先生なんだよ」


「え!? しかし、そこまで驚くことか?」


「それが、昨年【魔法都市ミスティリオン】で暗黒面に落ちたって騒がれて……国家反逆罪で処刑されてるの。もう死んでるはずなんだよ!」


「……本当か?」


(ルークが嘘をついてるようには見えなかった)


 涼の胸の内に、嫌な予感が広がっていった。


 最後までお読みいただきありがとうございます!


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