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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
【生存確率28%】からのサバイバル

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迷いの森(前編)

 背後の鬱蒼(うっそう)とした草むらから、牛ほどもある巨大な蜘蛛が現れた


 サスケを呼ぼうと、指笛を吹く。

 スマホスカウターで撮影し、情報を表示させる。


《群体脅威:【猛毒巨蛛ポイズン・アラクネ】C級指定:魔獣LV5》

《猛毒に注意》

《弱点:炎、物理攻撃》


(……っ、よりによって、こんな時に巨大害虫かよ)


(!?)


 いつの間にか視界が、白一色に塗り潰されていた。

 迷いの森に突如として発生した濃霧は、生き物の体温を奪うように冷たく、重い。

 

「サスケ! どこだ、サスケ!」


 その声は湿った霧に吸い込まれ、相棒からの反応はない。

 上空でサスケが必死に俺を探しているはずだが、この濃霧では羽音一つ聞こえてこなかった。


 一対一ならまだしも、こいつは「軍隊蜘蛛」だ。霧の向こう側から、無数の節足がカサカサと地を這う音が聞こえ始める。


 サスケもいない。ノアも使えない。


 (逃げるが勝ちだ……!)


 俺は反転し、霧の中をがむしゃらに駆け出した。

だが、焦りは更にミスを引き起こす。

 湿った腐葉土を踏み抜いた感覚の直後、足元が消えた。

 「あ――」

 声にならない叫びと共に、俺の体は垂直に落下した。

 背中を岩肌に打ち付け、視界が火花を散らす。深い、あまりに深い穴底だった。


――どれほどの時間が経っただろうか。

 痛む体を引きずりながら上を仰ぎ見るが、頭上にはどんよりとした宵闇よいやみと、執拗な霧が蓋をしていた。


 四人もいた仲間は今、誰もいない。


 この迷いの森そのものが、意思を持った巨大な捕食者のように俺の精神を削りにきていた。

 この森を舐め、安易にノアを使用したツケが回って来たことをようやく理解した。


 鬱蒼と暗くなっていく穴底で、俺は完全に「一人」になった。


 不意に、穴の上からギチ、ギチ……という、あの蜘蛛の咀嚼音(そしゃくおん)が聞こえてきた。奴らは俺が落ちた場所を正確に理解し、じっくりと、確実に、獲物を追い詰めようとしている。


 絶望感から来る恐怖が、心臓を締め上げた。


(……クソっ、二度目の人生、こんなところで終わってたまるかよ)


 震える指先で、腰に下げたマジックポーチの中を探る。

 指に触れたのは、昼間に手に入れたばかりの最高級ブランド『Grim Works』のツールケースだった。

 中から、まだ使い方もろくに確認していない道具を取り出す。


 手のひらサイズのミニマグライト。


 すかさずスイッチを入れた。

 ――ッ。

 突き刺すような鋭い光が、絶望の闇を真っ二つに切り裂いた。

 最高級の魔導レンズを通した光は、まるで太陽の欠片を握っているかのように頼もしい。

 その光が照らし出したのは、穴の壁面にへばりつく、数匹のアラクネの禍々(まがまが)しい姿だった。


 (みんなの元へ絶対に帰るんだ!)


 背水の覚悟と決意でエリスに貰った聖なるナイフを取り出し、右手で握ると不思議と身体の震えがとまった。


「来いよ、来いよ、害虫駆除だ! まとめて始末してやる!」


――その時、

「君っ、なかなかやるじゃない」


 奥から人のような声が聞こえた。

 これが人語を使う上級魔獣なら、俺は本当に終わりだろう。


 最後までお読みいただきありがとうございます!


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