涼一行、勲功でパワーアップ!黒ギャル専用ロッドの行方
朝起きると、エリスは既に身支度を整えていた。
その表情は、いつもの柔らかなものではなかった。
――今日は、聖騎士の葬式だ。
昨日殉職した聖騎士の葬式は、よく晴れた空の下で厳かに行われた。
俺たちも喪服を借りて哀悼の意を示した。
明日は我が身、俺たちもいつ殉死するかわからない。
俺は少し気持ちを引き締めた
葬儀を終えた後、『月光小麦のパン』と『ビッグホーンのミルク』の朝食を皆で頂き、続いて昨日の激闘の勲功式が執り行われた。
大神官が聖騎士の中で特に活躍した隊長を表彰し、次は俺達の番になった。
「兄貴、何貰えるのかな?」
「活躍したから俺の金貨2枚よりはいいものだろう」
まず、エリスにはベゼルの形見の【ホーリーロッド】が正式授与された。
カインには【幻影の黒装束】、サスケには爪の攻撃力をあげる【魔導タロン】、レイナには昨日の【冥府の宝玉】がそのまま渡された。
そしてなんと便利屋の俺には、この世界の工具の最高ブランド『Grim Works社の工具一式』が授与された。
正直、使い馴染んだ手持ちの工具もボロボロになってきていたので、この世界に来てエリスの裸が見れた事と同じ位に嬉しい。恐らくエリスが口添えしてくれたのだろう。
とても天然とは思えない気配りに俺は感心した。
式が無事終わり、解散するとレイナがとことこ俺の方に歩いて来て、
「ねえ涼、レイナ『玉』なんか貰ってどうすればいいの?」
「お前、これマジシャンとかにとって凄い玉だろ? でも、確かにこのままだとただの玉だよな。よし、後で俺が良い杖を探してきてそれに組み込んで、レイナ専用のウィザード・ロッドを作ってやるよ」
と言うと信じられない位喜んだ。
「え、マジ!?涼! ねえ、約束だよ!? 絶対だよ!?」
よし、じゃあ採寸だ、とか訳の解らない理由をつけてレイナをスマホで撮影した。
後でじっくり見るとしよう。
レイナとの約束を果たす為に大神官に相談すると、それなら都市郊外の迷いの森にある『黒曜樹の霊枝』が良いという。
黒曜樹は伝説の霊木で、魔力を吸い、十年に一本しか生えないと言われているそうだ。
それを手に入れる為に俺はサスケに乗り、迷いの森へ向かった。
カインとレイナコンビはエリスの案内で街の散策に行くらしい。
上空からの風は心地よい。
地上の悪路を歩かずに済むのは、サスケの機動力のおかげだ。
大きな岩が見え、俺はそこに降ろしてもらった。
「この岩は目印にはちょうどいい。黒曜樹を見つけたり、魔物に襲われそうになったら指笛を鳴らすからすぐにそこに来てくれ」
「かしこまった」
(ヤマ感で探すしかないよな……)
(そうだ、レイナのデータを見てみよう。まさか兄貴の前で見るのは流石に気が引けるもんな)
俺は腰を下ろし、スマホスカウターデータを参照する。
《レイナ:18歳》
《身長:157cm 体重:45kg》
《ジョブ:黒魔法使い(ブラックメイジ)》
《得意魔法:炎、雷、爆発系》
俺は天使羽アプリを押した。
《涼さん、お呼びですか?》
「そうなんだよ。レイナに合う黒曜樹枝を探す為にレイナの詳細データが欲しい」
《今日もう最後ですが、本当に大丈夫ですか?探索と無関係では?》
「サスケも近くにいるし多分大丈夫かと……やはり本人に合った霊枝を探さなきゃいけないからな」
《苦しい答弁ですね。またボディサイズもですよね?》
「頼む。リーダーとして仲間のデータは知っておいた方がいい。だが断じてやましい目的ではない。長い付き合いだから知ってるだろ?」
《前世の検索履歴も表示できますが閲覧してみますか?》
「え!?死んだ時にリセットされてないの?」
《……レイナ追加情報を表示》
《スリーサイズ:B82cm(Dカップ相当)W56cm H82cm》
「おお~なかなかどうしてどうして」
《何ですか?》
「いや、続けたまえ」
《性格:ツンデレ》
《長所:明るくアクティブ》
《短所:喜怒哀楽が激しく、ブチ切れると危険》
《好きなもの:頼りがいのある人、食べ物はデザート全般》
《嫌いなもの:弱いものイジメ、食べ物は苦い野菜》
《落ちますね》
(ノアは女の子の詳細聞くと機嫌悪くなるよなー)
(まずいなあ。レイナも頼りがいがある人がタイプかー。昨日の温泉事件でかなり疑惑をもたれたからなー)
(こんな所で油を売っている場合じゃない。とりあえず暗くなる前に黒曜樹を探さないと。しまった!黒曜樹の場所を聞けば良かったのか)
しばらく歩くとやがて、鬱蒼とした木々の奥に、ひと際禍々しい漆黒の大樹が見えてきた。
「あれが黒曜樹か?」
ーーガサガサッ
突然、後ろの草藪から嫌な音がした。
(まずい!ノアを使い切っている)
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