リュグレインの激闘③――冥府の宝玉と聖光の杖
《おはようございます涼さん。大至急攻略分析開始します》
《個体識別:ハデス・ハウンド変異種ケルベロス(魔獣ランクA、LV38)》
《物理無効化率80%、魔法無効化率30%》
《弱点は喉元やや下の魔力核が唯一の急所》
「生存率はいらない!」
《作戦計算終了:全員に脳内伝達致します》
皆の脳内にノアの作戦が優しく流れる。
「涼さんこれって……」
「兄貴!頭に直接指示が来た!」
『なんだ?この機械の女の声は? だがどっちにしろこれで終わりだ!!』
『【冥府の葬列】――!!』
「みんな、これでいくぞ!」
「涼、わかった」
レイナがすぐに攻撃魔法の詠唱を始めた。
「はい! 【魔法防御壁】――!!」
「了解! 【旋風の盾】――!!」
エリスとサスケが展開した、聖なる風を纏う二重の障壁が、ケルベロスの放つ死の波動を強引に弾き飛ばす。
『なんだとーーー!?』
次の瞬間、レイナの 【暗黒黒炎・緋刻】がケルベロスの身体を焼き尽くす。
『ウギャアアーーーー!!』
「これが、俺の新必殺技だ!【雷光十字刃】――!!」
カインの放った銀の閃光で、三つの首が根元からへし折れ、胸部は十字の亀裂が深く刻まれた。
『!!!?』
「喉ごと斬られて声も出せないか? 核が見えてんぞ?」
俺は「予定通りだ」と言わんばかりの足取りで歩み寄り、聖なるナイフを剥き出しの核へ突き立てる。
「泥人形もツギハギも皮しか残さねえ。冥王の忠犬なら当然レアドロップ位はしてくれるんだろ?」
言葉と同時に、俺はナイフを捻り上げた。砕け散る核。ケルベロスが爆ぜ、黒煙の中から怪しくも高貴な輝きを放つ【冥府の宝玉】が転がり落ちた。
これには内心驚いたが、実際は本当に偶然だった。
(これは決まった。決まり過ぎる位決まった。エリスとレイナはちゃんと見てたかな?)
「すっ凄い!!」
「兄貴、凄げぇ」
「解体終了だ!」
その後、神官らと到着したエリスママが、アデルに蘇生魔法を施したが、ベゼルはもう間に合わなかった。
エリス家族はベゼルを囲んで泣いていた。
―――三年前
「叔父様、古い魔導書なんか見て、何の研究をしているの?」
「おおエリス、ずいぶん大きくなったなー。眼鏡なんかかけて、勉強し過ぎたのかい?」
「えへへーそうみたい。何かここに転生の秘術?って書いてますね?」
「まだ禁呪だが、少しでも世の中の役に立てればと思い、研究しているんだ。私も大神官にまでなった兄に負けないように、まだまだ頑張らなきゃな」
「おーいエリスーどこ行ったー? おーベゼルも来てたのか」
「兄さん、大神官おめでとう!僕も鼻が高いよ」
「ありがとう。そうだ、妻がホーン・ラビットのポトフを作った所だから、お前も一緒に食べてけよ」
「ああいいね、僕も兄さんみたいな家族を持ちたいな」
「二人ともうるさいぞー」
「あっお父様ひどーい。これはお母様に報告案件ですね」
「こっこらエリス、冗談、冗談じゃー」
「……」
―――現在
そばに落ちていた【死霊使いの杖】が、ひび割れ、表面の醜い装飾が鱗のように剥がれ落ちていく。
中から現れたのは、かつての純粋な信仰を象徴するような、白く輝く【聖光の杖】だった。
「……ベゼルよ。お前は最後に光の元へ戻れたのじゃな」
アデルは涙して呟いた。
みんなで神殿に戻ろう……
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