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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
【生存確率28%】からのサバイバル

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リュグレインの激闘①――ベゼルの暗黒計略

 一行は足早にリュグレインへと引き返していた。

 近くまで迫った時には、辺りはもうすっかり薄暗くなっていた。

 

「ほい、これ。マナポーションだ。全部で十本ある。町に着いたら、再び戦闘になる可能性もあるからな」


 涼は歩きながら、魔法のポーチから青く輝く小瓶を取り出し、三人に差し出した。


「お母さんとレイナは三本ずつ。エリスは強力魔法を二回も使ったから四本だ」

「あら、気が利くわね。助かるわ、涼くん」

「涼さん、ありがとう」

  母とエリスがポーションを受け取る。

「ちょっと、エリスちゃんだけ一本多いなんてズルい! レイナの凄い範囲魔法も見てたでしょ?」

(エリスには一応『ちゃん』付けなんだな……)

「レイナ、エリスはお前の兄貴も助けてくれたんだぞ」

「た、確かに……。二人とも、兄貴を助けてくれてありがとう」

 

「……ところでさ、エリス。歩きながらずっと考えてたんだが、さっきの俺と君の合体技に名前をつけたいんだ。『スペシャル・ラブ・バースト』と『フォーエバー・ラブ・ツインズ』……どっちがいいかな?」


「えっ!? り、涼さんが決めた名前にしますっ!」

 エリスは頬を赤らめ、嬉しそうに身を乗り出す。


「涼、超キモいんだけど」

「黙れ、黒ギャル!」

「なんだと! レイナの魔法を喰らいたいか!?」

 

 そんなくだらないやり取りをしていた、その時だった。

 視界の先、目的地であるリュグレインから、どす黒い煙が何本も立ち上っているのが見えた。

 

「……急ぐぞ! 戦闘準備だ。マナポーションで各々魔力を回復しておいてくれ」


(まずい……! よりによって、ノアはもう使えないってのに)


 涼の弱気な呟きと共に、一行はリュグレインの正門へとようやく辿り着く。


 リュグレインの正門前には、地獄のような光景が広がっていた。

 日中の激戦で命を落とした聖騎士たち、敵兵士たちのおびただしい数の死体だ。

 大神官であるエリスの父が陣頭指揮を執り、ファルコンになったサスケと共に、押し寄せる敵を必死に食い止めている。


「はぁ……はぁ……、まだだ! 聖騎士団、陣形を崩すな!」

 返り血を浴びた大神官が、息を切らしながら叫ぶ。


 その時、上空を旋回していたファルコン(サスケ)が、戦場の外縁に涼たちの姿を捉えた。


「涼! エリス! こっちだ、急げ!」

 サスケの声が響き、涼とエリスが戦場の只中へと駆け込む。


「涼さん、お父様が! すぐに助けに行かないと……!」


「待て、エリス。街の中からも悲鳴が聞こえる。既に内部にも入り込まれているな」  

 エリスの母は街の惨状を見据え、決然と言い放った。

「私は中に入って混乱を収めます。神官たちをまとめないと、内側から崩壊するわ。……涼くん、あなたはエリスと共に外の主人を助けて。お願いできるかしら?」


「依頼は引き受けた。……エリス、行くぞ!お前の父を助けるのが今回の俺のミッションだ」


「はい!」


「レイナ、攻撃属性持ちはお前しかいない。すまんがエリスのお母さんを神殿につくまでサポートしてくれ」


「わかってる涼、エリスちゃん達への借りを返すし」


 闇が完全に街を飲み込んだ瞬間、城壁の下に立つ弟が、待ちわびたと言わんばかりに手を叩いた。


「素晴らしい粘りだ、アデル兄さん。だが、貴方の自慢の聖騎士たちはもう魔力も体力も空っぽじゃないか」


「……ベゼル貴様、まさか……。日中、あれほどの数の兵を無策に突撃させ、無駄死にさせたのは……!」


 アデルの問いに、ベゼルは心底愉快そうに肩を揺らした。


「無駄死に? 人聞きの悪いことを言わないでくれ。彼らは最高の仕事をしてくれたよ。ほら、足元を見てみろよ」


 ベゼルが指差した先――大地に染み込んだ大量の兵士たちの血が、双月の光を受けて赤黒い巨大な幾何学模様を浮かび上がらせていた。


「なっ……これは、聖属性を喰らう腐食の魔法陣……ッ! ベゼル貴様! 暗黒面に落ちたのかー!!」


「そう。兄さんに勝つためにね。落ちたのではない、私は進化したのさ!」


「くっ、この大馬鹿者がー!!」


「どっちが馬鹿かは今日わかるよ。さあ、決着をつけよう。これからは俺の時代だ。兄さん第二ラウンドだ。


 出でよ!【処刑犬ヘレティック・ハウンド】!そして諸君、新しい王のために目覚めなさい!」


 ベゼルの言葉と共に、転がっていた敵兵の死体たちが、骨の軋む音を立てて起き上がり始めた。

 自軍の兵士を使い捨ての触媒とし、最凶のアンデッド軍団を作り上げたのだ。

 さらに体力を温存して現れたヘレティック・ハウンドが雄たけびを上げる。


「そこまでだ、おっさん!」


「何?」


「エリスパパが死んだら俺の成功報酬が貰えないだろーが!」


 涼とエリスが登場する。


「なんだお前は?」


「お前に名乗る名前はない! ……いや、便利屋の涼さんだ!」


「叔父様!どうしてしまったのです!?」


 ベゼルは駆けつけたエリスを見つけると、ねめ回すような視線で嘲笑した。


(やはり失敗しおったな、ツギハギ合成雑魚が。……しかしこうしてエリスが自分から『のこのこ』現れてくれたんだ。それを頂けば、むしろ手間が省けていい)


「エリス、お前の父が悪いのだよ。皆の者ーかかれー!」

 

「ガアァァァッ!!」

 怨念を吸い込んだ何百もの兵士たちは、夜のバフと魔法陣の魔力によってアンデットとなり襲いかかる。


(アンデット約五百、こっちは聖騎士残り百人位か、それより一番やっかいなのはあの犬だな。キマイラの部下犬より十倍ヤバそうだ。それとベゼルは元々白魔道士だった?)

 

 もうノアを使用できない涼は、ベゼルの悪魔的な策略を冷静に分析していった。 

 

 

 生存確率、計測不能。

 絶望の夜は、まだ始まったばかりだった。 

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