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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
【生存確率28%】からのサバイバル

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北の廃砦(後編)黒ギャルの覚醒

「……おい!!」 

「やってくれたなツギハギ!跡形もなく解体(バラ)してやんよ」

 

『何だってー?よく聞こえんなー?非力で魔力ゼロの人間風情が』


 ピッピピ!


 スマホから電子音が鳴り、ノアが最後に話し出す。

《涼さん、チャンス到来です。貴方とエリスのあの技で勝率100%です》

 と謎の勝率を言い残しノアは落ちた。


啖呵たんか切ったはいいものの、状況は悪くなる一方だが?)


「兄貴―――!!」


(!?)


 視線の先――土煙が晴れた場所に、褐色の肌を持つ見知らぬ女の子と、エリスの面影を持つ女性が現れた。


 サスケの今際いまわの口笛は、エリスへの惜別せきべつの調べのみならず、従魔【シャドウ・ファルコン】への人質解放指令だったのだ!


『なっ、何だと~!?』


 女の子が絶命寸前のサスケの姿を見つけて驚愕する。


「……ざっけんな。 ウチの……たった一人の、大事な兄貴を……ッ!!」


 悲しみと怒りでリミッターが外れた瞬間――

 その子の瞳が、血のような緋色(ひいろ)に染まった。


 涙と嗚咽(おえつ)が混じる絶叫に呼応するように、周囲の大気がドス黒く歪み、魔獣達に向けて致命の呪文がつむがれる。


「逆巻け! 深淵しんえん魔滓まし

狂い咲け! 漆黒しっこくの雷!

この涙も、この怒りも、全て糧にしてやるっ!

天を呪い、地を喰らい、

世界を滅びへ叩き込む、無慈悲なる冥界のほむらよ!

奴らを肉片一つ残さず灰塵はいじんと化せ!!

 

冥界黒炎(クリムゾン)緋刻エクリプス】―――!!」


 凄まじい威力の黒い炎と稲妻が同時に魔獣達に襲い掛かった。


『ギャアアアアアッ!!』

『ガァァァァァッ!!』

『――ァ、ァ……ッ!』

 三体の絶叫は、黒炎に触れた瞬間、音ごと蒸発する。


 だが――

『……グ、ガ、アアアアアアアッ!!』

 キメイラだけが、肉が焼ける悪臭を撒き散らしながら、なおも執念で喉を裂くような咆哮(ほうこう)を上げた。

 片翼と半身を焼き落とされながら、それでも地に崩れ落ちない。

 焦げた肉が泡立ち、炭化した皮膚の下で赤黒い再生がうごめく。


『……この程度で……我を殺せると……思うな……人間ども……ッ!』


 その胸部がひび割れ、焼け(ただ)れた肉の奥から、脈打つ【赤黒い核】が覗いた。


 高呪文耐性で辛うじて残った身体が、じわりと再生を始める。


 俺はエリスの隣に並び、二本の聖なるナイフを構えた。


「今だ!エリスいくぞ――!」


 エリスが放つ、全てを浄化する黄金の奔流――『ホーリー・レイ』

 その光の中心へ、俺は渾身の力で二本のナイフを“必殺の双翼”として放った。

 黄金の奔流に乗った刃は、超高速回転しながらすべてを穿うがつ光の削岩機と化す。

 

 次の瞬間。

 キマイラの強固な核を、一点貫通――粉砕。


『――ギ、ァ……ッ!』


 断末魔を残し、キマイラは内側から光に弾け、爆散した。


 

 激闘の後。遅れて登場したエリスの母が、力尽きようとしているサスケを見て言った。  


「完全な蘇生はもう間に合いませんが……私とエリスの魔力を合わせれば、シノビの意識を、愛鳥のファルコンへ転生させることができます」


「お母さま!すぐに詠唱をお願い!」

「エリス、叔父様の魔導書を思い出しなさい」


 エリスと母の親子二人で禁呪の転生呪文を合体詠唱する。


「――悠久ゆうきゅうの光よ、慈愛じあいの揺り籠よ。  

 今ここに集いて、肉の縛りを解き放たれし迷える魂をすくい上げたまえ。

 天の慈悲を糸となし、地の祈りを器となさん。  

 母の愛と、乙女の願いをにえとして、いにしえことわりそむく奇跡を此処ここに……。  

 魂の灯火ともしびよ、翼ある形へとその身を移し、新たなる命を刻みなさい。

 

聖天(セレスティアル)霊魂転生リインカーネーション】」


 白光が廃砦を包み、サスケの魂はシャドウ・ファルコンの中へと吸い込まれていった。  


 サスケは鳥の姿で目を開けた。


「おっ俺は……」


「兄貴――――!!」

 レイナが叫ぶ。


 己が転生した事を理解したファルコンは、妹であるレイナを愛おしげに見つめた後、俺に向けて深く頭を下げた。


「大神官様は死なせない!」


 二振りの愛刀を俺に託し、育ての親の危機を救うべく一直線に空へと飛び立った。

 エリスは母と抱き合っている。

 エリスがこれまでの顛末を説明し、急いで街へ戻る事を提案した。


「ああ、すぐに出発しよう。……っと、その前に」

 

 俺は歩み寄り、光の爆散跡に無傷で落ちていた二本の『聖なるナイフ』を拾い上げた。

 柄の部分にはそれぞれ、持ち主を示すイニシャルが彫られている。

 片方はエリスのもの、もう片方は大神官(お父さん)のものだ。

 俺は神官のイニシャルが刻まれた方をエリスへと差し出した。

「エリス、お父さんのナイフはお前が持っておけ。その方がお前の親父も喜ぶ」

「涼さん……っ、はい! じゃあ、私のナイフは涼さんが……?」

「ああ。俺がこのまま大事に使わせてもらうよ」


(我ながら完璧な口実だ……これでエリスのナイフは、堂々と俺のものだ)


 俺はエリスの母を見てまた「お母さん、」と抜け目なく挨拶ジャブを入れると、エリスが笑った。


 それを見たレイナは、面白くなさそうに唇を尖らせて、フンと顔を背けた。

(あれ?ウチ、どうしたんだろ……ひょっとしてまさか……嫉妬?)


 俺は隣に立つ、不機嫌そうな黒ギャルを見る。


「あんたがリョウ? ウチ、レイナ! そのままレイナって呼んでもいいよ」

「一回りも違うのに呼び捨てかよ。 全く、兄弟そろってロクデモネーな」

「は? おじさんウザイんだけど」

「俺はまだ30だ!」

「ウチはまだ18だ!」

 

(まさかの未成年だったか……) 


 エリスパパがピンチのはずだ。急いで戻ろう。


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