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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: Mr.RX
【生存確率28%】からのサバイバル

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天然エリスのダイナマイトボディ お色気限界突破

 (よし、これから準備すればちょうど良いタイミングだ)


 俺はノアばりに最高精度のシミュレーションを開始する。


 言い訳の最適解は――。

 「あっ! ごめーん、初めて来たから男湯と女湯を間違えちゃったよー。てへぺろ」

 

 これだな。いやこれでいい。多少の無理はあるが、ケガで判断力が鈍っている新参者という設定で押し通そう。


 俺は『WOMAN』と表示された側の脱衣場に入り、電光石火の如く服を脱ぎ捨て、包帯を剥ぎ取った。

 俺の脳裏には、これからの大勝負に挑もうとする前世の名セリフが流れていた。

 傷ついた身体と思考がスローモーションの様に禁断の扉へ向けて動き出す。

 

  この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。

 

  踏み出せば、その一足が道となり、その一足が道となる。


  迷わず行けよ。


  行けばわかるさ!


  行くぞーーー!!

 

  一、二、三、ダーーーーーー!!

 勢いよく扉を開けた。  


 立ち込める白い湯煙。 

 その向こう側に、ゆらりと揺れる人影があった。


 (キタ……ッ!……エリスの無防備な姿が、今、白日の下に!)


 俺の心拍数は、ミミック戦以上に跳ね上がっていた。  

 ドキドキしながら、獲物――もとい、仲間の元へと近づく。  

 湯煙の向こうで、その影がゆっくりとこちらに振り向いた。

 

 (!?)

 

 「なんじゃ!?……またお前か」


 そこにいたのは、さっきの医者のじじいだった。


 「げえーーー!! 何でじじいがそこにいる!?」


 俺の絶叫が、高い天井の浴場に虚しく響く。 

 じじいは湯船に肩まで浸かり、極楽そうな顔で鼻を鳴らした。


 「なんでって、ワシも風呂位入るじゃろ。……あー!?そういえば、エリスさんに頼まれていた『MAN』と『WOMAN』の札を入れ替えるのを忘れておったわい。もうろくするとすぐこれじゃ。フォッフォッフォ」


 じじいは笑いながら、お湯をパシャリと撥ねさせた。


 「はて?しかし涼殿、よくここが男湯だとわかったの。札は逆だったはずじゃが」

 

 俺は咄嗟に、股間を隠しながら精一杯の虚勢を張った。

 「……べっ、便利屋の勘と実力だ」

 

 じじいが上がり、静寂が戻った浴室。

 俺は広々とした湯船に浸かり、深く息を吐き出した。


 「ふぅ……。まあ、じじいの裸は誰得だが、この湯は最高だな」


 作戦失敗で意気消沈していたが、傷口にじんわりと染み渡る薬湯の温もりが、全身をリラックスさせる。


 (……風呂は宿屋以来だな。気持ちいいー)


 あとはこのまま温まって、明日への英気を養うだけ――。

 

 ガラッ。


 その時、脱衣所の扉が再び開いた。

 またじじいが忘れ物でもしたのかと思い、俺は湯船から首だけを出して振り返る。


 「おいじじい、今度は何を――」


 言葉が、喉の奥でつまった。

 白い湯煙の向こう側。

 そこに立っていたのは、眼鏡を外して目を細めた、一糸まとわぬ姿のエリスだった。

 

 「……あれ? どなたかいらっしゃったのですか?」


 超近視のせいで視界がぼやけているのか、彼女は俺の方をじっと見つめながら、トテトテと無防備に近づいてくる。


 (!?!?!?)


 湯気越しでもわかる、圧倒的な存在感。

 ノアのデータで確認した『G』の衝撃が、網膜を直撃する。

 白い肌に、お湯の熱気で上気した頬。それはまさに、神殿に飾られた女神像が命を吹き込まれたかのような神々しさだった。


 「あっ、あの、エリス……さん?」


 「ひゃい!? ……あ、このお声は、涼さん……?」


 至近距離でようやく俺を認識した彼女が、その大きな瞳をさらに見開いた。


 「ど、どうしてここに!? ここは女性側の……」


 「いや、それがだな、ジジイの札の掛け違いで……って、エリスこそどうしてこんな時間に?」


 エリスは顔を真っ赤にしながら、申し訳なさそうに胸元と下半身を手で隠した。


 (胸は全く隠しきれていない)


 「それが……。涼さんに頼まれていたマナ・ポーションの準備をしていたのですが、少しこぼしてしまって……。掃除しようと身を乗り出したら、今度は入れ終わったポーション瓶に胸がぶつかってしまって、さらに派手にぶちまけてしまったんです……」

 

 (なんて破壊力抜群な天然ドジっ娘理由だ……)


 「すみません涼さん、すぐに、私すぐに出ますから……っ!」

 

 慌てた彼女が、じじいの残した石鹸を踏み、足を滑らせた。


 「あ、あわわっ……!」


 「お、おい、危ねえ!」


 バランスを崩し、その無防備なすべてを晒しながら硬い床に倒れ込んでくる彼女を、俺は咄嗟に湯船から立ち上がり、正面から抱きとめた。

 

 ――ぼふんっ。


 街角でぶつかった時同じ、いやそれ以上の、圧倒的な弾力と濡れた肌の温もり。

 

 「ごっごめんなさい……私ったらまた……大丈夫ですか?」


 俺は思わず鼻血を噴き出した。

 「いや、全然大丈夫じゃないかも」

 

 「あらっ、ココ……傷がまだ完治してないのですね。ごめんなさい、私のせいで」


 「こんな場所でなんですが、せっかくなので明日の為にも最後の治療をさせて下さい」


 俺の理性が、音を立てて崩壊しようとしていた。

  

 (エリスやめろ!それ以上は、俺の理性の限界を超えてしまうっ!)

 

 俺の脳内で、最大級の緊急警報が鳴り響く。


 相手は国宝級の天然記念物、いや大神官の愛娘であり聖女候補だ。

 

 もしここで一線を越えれば、異世界攻略どころか、明日の朝には聖騎士団に全裸で広場に張り付けにされることだろう。

 

 (こっここまでか……)


 俺は心の中で自分にそう言い聞かせ、不自然なほどエリスの身体から強引に離れた。


 「エリス、このままだと大変な事になるから、残念だけど俺はもう上がるよ」


 「えっ? あっ、はい! 本当にごめんなさい!」


 逃げるように脱衣所へ駆け込む俺。

 だが、なんと今度は脱衣中のメイドさんに見つかってしまう。

 

 「キャーーーーー!!」


 俺は慌てて作業着に着替えようとするが、10秒も経たないうちにシノビが到着した。


 「何事だ?クセモノか?」


 遅れてたまたま近くにいた大神官が脱衣場にはいってくる。


 「何じゃ何じゃどうした?……ここにあるのはエリスの服……涼、お主まさか……」


 「大神官、斬りますか?」


 「打ち首だ!」


 三十分後――――。

 俺は部屋にいた。


 あれからタオル1枚だけ身にまとった娘を見た大神官は激高し、聖なるナイフで自ら俺に斬りかかるが、エリスがおじいちゃん医者の差し替えミスだと必死に説明し、大偶然にも俺は事なきを得たのだ。


 俺は『ストーン・リザード』のなめし皮を作業着に縫いながら、今日のお色気シーンを脳内で何度も再生させていた。


 チクッ


 「痛……っ」


 何度目かわからない針の痛みが、呆けている俺を現実に引き戻す。

 明日の朝はいよいよ出発だ。

 エリスとまともに顔を合わせられるだろうか。


 ……それにしても鼻血って本当に出るもんなんだな。

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