体育館で現実に戻される
次の月曜日の授業中。先生の話を聞いている時、ふとペンケースの中に視線が落ちた。
見慣れない赤ペンと、三色の蛍光ペン。文房具屋で成瀬が選んだもの。隣の席に座っている成瀬も同じ文房具を使っているのが見えた。
成瀬とお揃いの文房具。そう意識してしまうと、心臓が落ち着かなかった。
今までの人生、仲が良い友達がいなかったせいか、誰かとお揃いのものを持つということに憧れがあった。だから落ち着かないのか? それとも……
そんなことを考えたまま体育の授業の時間になった。
体育館で整列すると、先生が今日の内容を告げた。
「今日からバレーボールな」
その一言だけで、一気に現実に引き戻された。
バレーはそんなに得意じゃない。というかほぼできない。トラウマとかがあるわけじゃないけど、あまりにも出来なさすぎて嫌になったんだよな。
そんなのを成瀬に見られたら……絶対バカにされる……!
隣を見ると、成瀬はいつも通りの無表情で、淡々と体を動かしていた。
バレーの授業は、二人一組でレシーブとトスの練習から始まった。
成瀬以外の人とはそんなに仲良くないから、話しかけづらい。俺は成瀬の隣に立っていたからというのもあり、必然的に成瀬とペアになった。
どうにか上手くいくことを祈って、レシーブ練習を始めた。
「高坂ー、行くぞー」
「おっしゃこい!!」
結局、俺のレシーブは下手くそだった。ボールは真上に行ったり、高く上がらなかったり、横に行ってしまったりと、全然上手くいかなかった。
「なぁ高坂」
「それ以上言うな……分かってるから……」
次はトス練習。こっちも全然ダメだった。後ろの方に行ってしまったり、真正面に行ってしまったり。
すると成瀬が近づいてきた。説教か、笑われるかのどっちかだと思って、思わず目を瞑った。のだが、成瀬が放った言葉は、アドバイスだった。
「手で三角作って、ボールを包み込むようにしながら、ボールを上げてみろ」
言われた通りにやってみると、思っていたより上手くできた。
スポーツも教えるの上手いのか……なんか腹立つ。




