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第18話 内閣総理大臣の憂鬱  カルチャー輸出と国家戦略

首相官邸・執務室


総理は、ソファの上に置かれた輸出統計の報告書を手に取り、眉をひそめていた。


総理「アケミ、日本のアニメ・漫画関連の輸出が、ついに年間5兆円規模に達したらしいな。これはもう、ただの文化じゃない。産業だ」


アケミは静かに頷いた。ディスプレイに映し出された数値は、目を見張るほどの右肩上がりを描いていた。


アケミ「はい、総理。漫画・アニメ、さらにはゲームやフィギュアなどの関連グッズ、アパレル、音楽、そしてライブイベントを含めた“ジャパンカルチャー”は、現在、日本の輸出黒字を支える新たな柱の一つになっています」


総理「昔は“おたく文化”なんて揶揄されたが、今じゃ各国の首脳が“推しキャラ”を語る時代だな。驚きだよ」


アケミ「現在、全世界で“日本のアニメをきっかけに日本語を学びたい”という若者が急増しており、日本語教育市場にも波及効果が出ています。また、アニメの舞台となった地域への聖地巡礼による観光収入も伸びています」


官房長官が資料を手に入室してきた。


官房長官「こちら、最新の観光庁データです。“アニメ聖地巡礼”による地方経済効果は昨年だけで約3200億円。地方活性化にも一役買っています」


アケミが追加の統計を表示した。


アケミ「総理、この文化輸出の成功要因は、日本の作家たちの創造力だけでなく、“自由な表現”と“多様性”に基づいた価値観の輸出にあります。政治的メッセージではなく、人間の感情や成長、友情、愛情を描いた作品が、多言語・多文化の壁を越えて受け入れられています」


総理は、ふと笑みを浮かべた。


総理「つまり、アニメは“減税”も“出生率上昇”も超える、日本最強の“心の外交”ってわけだな」


アケミ「はい。これは“経済戦略”であると同時に、“平和戦略”でもあります。日本が持つ“武器を持たない影響力”の、最大のひとつと考えます」


官房長官「総理、カルチャー庁の拡充と、日本文化産業振興機構の設立を検討してはどうでしょうか?」


総理「いいな。民間の才能に、国が環境を整える。それでいい。アケミ、日本文化の輸出戦略について、骨子を作ってくれ」


アケミ「承知しました、総理。“好き”が国家を動かす。今はその時代です」



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