開戦
※今回から殺傷の描写が入ってきます。
作品設定の方でも、残酷な描写、R15要素、などに選択していますが苦手な方はくれぐれもご注意ください。
夏休みまで残り一週間を切った
空は雲一つない晴天
魔女学院の生徒達は日頃よりも元気な姿で授業に励んでいる
穏やかな日常が続いていた
ー ナタリア王国海域 上空ー
「こんな気持ちのいい日に箒で空を飛べるなんて夢みたいだぜ。」
「仕事で飛んでるって事を除けば完璧だったな。」
「仕方ないだろ、王様からの依頼なんだから。」
「そんなことより、二人とも周りをちゃんと警戒して。」
「はいはい、分かってるよ」
「てか、飛行物体の調査とは言われたけど具体的にどうすればいいんだ?」
「魔法で攻撃して落としてフォーヨンド学院で調べて貰えばいいんじゃないのか?」
「まあ、とにかく何かしらの情報さえ手に入れればいいのよ。」
「おい、あの左に向かって動いてる3つの影って...」
「間違いない、鬱陶しい蚊のやつらだ!」
「飛行物体は2つだけじゃ無かったの?」
「関係ない、落としに行くぞ!」
「あぁ、ちょっと!」
「あの飛行物体って結構速いんだな。」
「箒よりも速く飛んでいるのか?」
「蚊どもの進行方向の先を狙って飛んで追いつくぞ、追いついたら落としてやる!」
「分かった」
「待って、同じ高さで見た事無かったから分からなかったけど、もしかして人が乗っているんじゃ...」
「関係ない!俺が落としてやる!」
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「今日から魔族どもの中心地付近まで偵察に行くんだよな」
「あぁそうだ」
「具体的にどこら辺まで飛んでいけばいいんだろうな?」
「そうだな、一回機体を逆さまに回して下の様子を確認するかって、あの光は...」
「Engage!Break!Break!」
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三つの飛行物体の間を水柱が抜けていった。
「クソ、避けられたか」
「何やってんだよ、下手くそ」
「うるせぇ!」
腐れ縁のような会話交えている二人に向け、一機の戦闘機がこっちに向かってきている。
「ちょっと、こっちに向かって来てるよ!」
二人の少し前に飛び込み魔法を構える。人に当てないように左の翼に狙いを定めた時だった。
考えが甘かった、これはもうすでに調査では無く、殺し合いになっていた事に気づけていなかった。
ダッダッダッダッダッダッダ....... 鈍い音が鳴り広がる。
「え......」
箒と一緒に体が少しずつ落ちてゆく。腹部から上部分が折りたたまれたかのように下を向き、横腹だった物が下半身を連れて海に落ちていく。
動けなかった。
この時、1つのおとぎ話を思い出す。
様々な魔法を収集していた魔女・マリアのお話。
その話から魔法を使えない科人族を見下していたが、マリアはそんな科人族に殺されていた。
銃によって。
「おい逃げるぞ! おい!」
「あぁ.........ぁ......」
「クソ!」
自分の箒を捨て、背中めがけて箒に飛び乗る。
腰から手をまわし箒を握りしめ、全速力で降下しながら逃げていく。
「どうしてこんな事に...」
どれだけ速度を出そうが無情にも戦闘機が真後ろにつける。
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「やった」
「流石は20mmだ、二人まとめて人の形をしてないぜ」
「どうする、このまま調査に行くか?」
「いや、戻って報告だ。飛行速度で言えばこっちが上だが、ホバリングが出来る時点で旋回性能は向こうが上だ、下手に戦うと痛い目を見ることになる。」
「了解」
「それに、伝えなければならない.......開戦だ.....」
読んでいただき、ありがとうございます。
この話からは殺傷の描写が入ってくるので、苦手な方は注意してください。
次回も数日後に上げます。