友達
次の日
早くもこの日から授業へ参加することが決まっている。
緊張であまり眠れていないが、頭は妙に冴えている。
「はぁー緊張する」
扉の前で立一呼吸入れる
「よし」
そうして扉を開こうとした瞬間
「「「待ってました!!」」」
勢いよく扉が開いた
どうやら昨日の内に新たな魔女が来ることが噂になってたらしい。
なんでも、ドラゴン狩りの魔女だとか。
倒せてないんだけどと思いつつも歓迎されている事に内心とても喜んでいた。
そして授業が始まるまでの間会話を楽しむ。
火薬の事で避けられると思っていたが以外にもそんなことは無かった。
研究に力を注ぐフォーヨンドには研究好きな魔女が集まるため、むしろ興味を持たれた。
そのため直ぐにクラスに馴染めることが出来た。
初めての経験に戸惑いながらも会話を楽しんでいると直ぐに授業開始の時間になっていた。
授業の内容は魔法の歴史についてだった。
「この世に初めて誕生した魔女、通称『多才の魔女』は500年前エマ国にて誕生したと言われています。彼女は後に魔女学院を設立し、今の魔法社会を築き上げました。」
魔女なら誰もが知っているような内容だ、魔法大陸の中心に位置するエマ王国は魔女誕生の地として栄えている。
始めの授業は正直有名な話ばかりで退屈だった、のんびり過ごして一時間目は終了した。
そして次の授業、シセンが待ち望んだ研究授業だ。
ここでは魔女が個人個人でテーマを決め、研究を進めるといったとてもシンプルな物だった。
そこで私が決めたテーマは
「自分自身の固有能力『火薬』について」
さっそく研究を始めようとした時だった
「私達もその研究に混ぜてもらえないかしら。」
そう聞こえて見上げると二人の魔女がいた
「私はベルマと」
「レイターだよ、よろしくね」
「よろしく」
どうやら二人は私の『火薬』に興味を持って来たらしい。
そんなこんなでこの3人組で研究を進めることになった。
「研究を進めるといったものの、まず何から調べたらいいのやら」
「固有印のパターンを調べるとか?」
固有印とは固有能力を持つ魔女の腹部に現れる模様の事
「昔調べてみたけどパターンを見分けるのが難しくて諦めたんだよね」
固有印は属性に応じて模様にパターンがある
「見分けることが出来ればどの属性に由来してるかが分かるんですけどね」
「大丈夫、私は固有印見分けるの得意だから」
自信満々にレイターが話す
「それじゃあ、お願いしようかな」と少し恥ずかしがりながら服をめくり腹部を見せる。
次の瞬間二人が絶句する
「え、何これは...」
「こんなの見たことないよ...」
シセンの細身な腹部にあったのは真っ黒な跡
まるで万年筆を紙に叩きつけた時に飛び散ったインクのような見た目だ。
別の言い方をしたら、まるで爆発が起きたかのような見た目
「これじゃあ属性を調べるどころの話じゃ無いよ...」
「そもそもこれは固有印なのかどうかすら怪しいですわ」
何も進展が無いままこの日の授業は終わった
他の魔女と会ったことが無かったため自分の固有印の異常性が分かってなかったのだ。
「まあ、今日のところは帰ろう」
火薬の正体を解明することはできるのだろうか
そう考えながら学院内の寮に戻ろうとしてる時だった。
「シセンちゃんこの後暇?」
「ベルマとレイター、暇だけどどうしたの」
「これから魔法道具商に行きませんか?」
「魔法道具商、確かに行ってみたい!」
「じゃあ決まりだね」
そう言うと、とまっすぐ魔法道具商に向かった。
「おじゃましまーす」
「レイターちゃん、今日は友達も一緒かい?」
「そうだよ」
「どうも」
「お邪魔しますわ」
入るや否や圧巻された、魔法道具商名の通り魔法道具を扱う専門店だ。
店主は優しそうなおじいさんだった。
この世界では魔力量の多い女性は魔女となる一方、魔力量の多い男性は魔法道具を作る職人になるのが多い。
と言うのも人体の構造上、男性に比べて女性の方が魔力の流れが良い、その影響により魔女のような立ち位置の男性が出てくることは無い。
「ほらこれ見て」レイターは興奮気味に指をさす。その先には箒が立てかけてあった。
「立派な箒ですね」
「初めて見た...」
箒は飛行魔法の性能を引き上げる魔法道具。
箒は希少な害獣、グリフォンの羽軸によって作られている。箒を持っている魔女は基本的に財閥クラスの金持ちもしくは国から功績を認められた者ぐらいしか居ない。
そのため箒は魔女にとって憧れの魔法道具だったりする。
「いつか乗ってみたいな~」
「これは...?」
シセンが大きなリュックサックのような物を見つける
「これは強化魔法拡散機です。これを背負った状態で強化魔法を使うと周囲の魔女にその効果を付与するものです。」
「習得難易度が高い動体視力を向上させる強化魔法などを、多くの魔女が使えるようにと開発したものですが、なにせ重たくて使い勝手が悪いものでして。」
「なるほど」
「ねえ、このお店どう?面白いでしょ」
「いろいろ見れて面白かったよ」
「お金貯めたらまた一緒に行こうね」
読んでいただきありがとうございます。
あったかい季節になってきましたね。
めっちゃ寝れた
次回も数日後です