第8話 座学と新装備
ニューナンブM60を作っても二日経ち、今日はルイス兄さん直々に座学を受ける事になった。
ルイス兄さん曰く「もし進学するなら座学や知恵を積むべきだ」と言われた。
座学を受ける場所はルイス兄さんの部屋で、部屋の中は魔法に関する本や道具が置かれている。
やっぱり魔法に関する物があるな。
そう思っていると頭に何か叩かれる衝撃と音がして、突然の事に驚いてしまう。
「イッタ!?」
「何キョロキョロしているんだ? 人の部屋を見るより、ちゃんと勉強した方が得だぞ?」
ルイス兄さんはそう言いながら本を持っており、さっき叩いてきたのはルイス兄さんだろう。
マァ、勉強させてもらっている立場なのに、真面目に聞かずにキョロキョロするなんて失礼だからな。
俺は叩かれたところをさすりながら謝る。
「アハハ、すみません……」
「ったく、次はちゃんと聞いとけよ」
ルイス兄さんはそう言いながらこの世界の座学を説明する。
この世界の座学は順に国語、数学、神話学、魔術学の四つだ。
国語はこの国の言葉で、数学は商売の計算、神話学はこの世界の神・六聖神やイーラエス王国について、魔術学はそのまま魔術についてだな。
国語と数学は自立補助精霊だと日本の中学一年クラスだ。
次に神話学の六聖神は六つの聖なる神で出来ており、一つの神に一つの権能を持っているらしい。
・烈火神ニュークリア……炎と熱を司る神。肉体は炎だけになっており、鎧を着た鬼の姿をしている。
・激流神リューロン……水と氷を司る神。肉体は蒼い鱗の龍で、日本刀を持った龍神の姿をしている。
・乱風神ストーム……風と雷を司る神。肉体は緑の羽のワシで、弓を持った鳥神の姿をしている。
・土豪神ランド……土と岩を司る神。肉体は鋼鉄のツギハギがあり、戦斧を持ったゴーレムの姿をしている。
・転生神リーン……力と命を司る神。肉体は人間に近く、錫杖を持った美女の姿をしている。
・光闇神デュオ……光と闇を司る神。肉体は右半身が神々しい天使、左半身が禍々しい悪魔で、大鎌と天秤を持った半神の姿をしている。
こんな感じだけど、まさか俺を転生させたリーンが六聖神の一人なんてな。
神話の内容は教科書に書かれている事を分かりやすく伝える。
昔、この世界と共に六聖神が生まれ、人間や魔獣を創造していった。
その中で光闇神デュオが生み出した眷属・天使と悪魔が混ざり、魔人となって六聖神を襲おうとした。
転生神リーンはこの状況を重く感じ、人間たちに異世界に存在する戦士たちを召喚する術・異世界召喚を与え、魔人たちに抵抗していった。
そして召喚された異世界人もとい異魔人は伝説の武器・未知の兵器を使って魔人を倒し、世界は平穏となった。
だが一部の人々は女神から与えられた力を悪用し、異魔人同士が戦った戦争を異魔人大戦と呼ばれる事となった。
特にイーラエス王国は異魔人大戦のために様々な異魔人を召喚した。
そのため多くの異魔人の血筋を持つ人間が多くおり、他の国は異魔人の血筋はいないからな。
そんなこんなでルイス兄さんがご教授している中、とても興味深い事を聞く。
この世界にはダンジョンと呼ばれる建物があり、そこには魔獣より超える怪物・魔物が生息している。
だが、冒険者と呼ばれる職業があって、未知の素材などが存在するらしい。
もしダンジョンに行けば、様々な資源や資金を確保する事ができる。
これは大事な事だし、これからもダンジョンや未知の兵器について調べていくか。
そう思っていると父さんが部屋に入ってルイス兄さんを呼ぶ。
「ルイス、すまんがちょっとこっちに来てくれないか?」
「分かった。ルイ、今日の分はココまでだが、ちゃんと復習しろよ?」
「ハイ」
ルイス兄さんは父さんの言葉にうなずきつつ、復習するように言ってから父さんと共に部屋から出る。
俺は父さんの言葉に少し疑問を感じる。
どうして重苦しい表情になったのだろうか? なぜか嫌な予感を感じてしまう。
俺はこっそり父さんとルイス兄さんについて行き、二人は父さんの部屋に入る。
プライバシーに反してしまうが、耳を澄まして会話を聞き取る。
耳を澄ますと二人の会話が始まる。
『どうしたんだよ? いきなり呼び出した上にルネス兄さんもいて』
『うん、父さんが少し重苦しい表情していたけど、何かあったの?』
『二人とも、実は突如現れた謎のクマの討伐を手伝って欲しいんだ』
『『謎のクマの討伐?』』
ルネス兄さんとルイス兄さんは父さんの言葉に首を傾げる。
俺も耳を澄ましながら疑問を感じる。
ただのクマなら理解できるけど、謎のクマの討伐? そもそもクマが出没した何て聞いてないぞ?
その疑問にルイス兄さんが聞く。
『いきなり呼ばれて何だろうと思ったらクマの討伐だ? それは傭兵に任せればいいだろ?』
『ルイス、そのクマは傭兵だけでは中々手強いんだ』
『それで俺とルネスを呼んだの?』
『アア、出発する時間は早朝だ』
父さんはそう言うと二人は『『分かった』』と言って部屋から出る。
俺は二人が部屋から出る前に扉から離れ、自室で謎のクマについて考える。
この世界は普通の生き物はおらず、魔獣として生息している。
図鑑で調べるとクマに近い魔獣を見つけた。
それはファイティングベアで、両腕に茶色の棘と首周りに白い毛の特徴を持っている。
しかし図鑑に書かれている魔獣は対策が記されており、強さは兵士数人ほどで十分だ。
なのに二人を呼ぶなんて、きっと何かあるな?
そう思いながら図鑑を本棚に戻して小屋に向かう。
しばらくして小屋に着いて製作する銃を決める。
リボルバーのニューナンブM60を作って、次はライフルにしようと考えた。
しかし今は火力を補うためにショットガンの開発を決める。
俺は物体投影を発動して近くにある木に触れ、薪をニ十個ほど投影した。
薪を空間所持で収めつつ、倉庫にある鉄を数個くらい取り出して作業部屋に入る。
今回作るのはM870だ。
前世の俺が愛用したレミントン・アームズのショットガンで、こいつは1960年代中期に開発され、1980年代から狩猟用や警察用として採用されている。
堅牢な構造で耐久性が高いため、各国の警察や軍隊でも広く採用されている。
このショットガンはポンプアクションで、仕組みはとても簡単だから早く作れるかもしれない。
明日に向けてさっそく作成する。
銃身は457mmにして、ポンプアクションの仕組みを組み立て、内部にマガジンを組み合わせる。
銃身の内側に盾を付与させる。
現代は銃身を破損させないためのガードが施されているが、その素材を集めるのは難しい。
代わりとして銃身の内側に盾を付与して破損させないようにする。
薪をポンプアクションの持ち手に投影し、組み立ててM870を完成させた。
よし、ポンプアクションの作動を確認しても問題ない。
そのまま12ゲージを35個くらい作って、M870と共に空間所持に収める。
一応ニューナンブM60と.38スペシャル弾を五十発ほど空間所持に収めている。
これで何が起きても戦える事ができるな。
だけどないも起きないでほしくない思いをしつつ家に帰る。
▲▽▲▽▲▽
ルイが家に帰っている中、森深くある場所に忍者の男とフードを被った男が話していた。
「おい、俺はいつになったら人里で暴れるんだ?」
「まだ駄目ですよ? 力が不安定で、最低で十年必要です」
男はそう言いながら魔力を忍者の男に送り付けている。
忍者の男は天魔であり、男も天魔であった。
男は忍者の男に魔力を送りながら言う。
「それに、あなたの名前は決めておりませんからね」
「めんどくせぇ。名前なんて適当でいいだろ?」
忍者の男は男の言葉に面倒くささを感じいる。
しかし男は真面目な顔で言う。
「駄目です。ちゃんと考えなければいけません」
男はそう言いながら忍者の男の名前を考える。
忍者の男は面倒くさくしながら言う。
「だったらディザスターでどうだ?」
忍者の男は適当に言うが、それを聞いた男は喜びながら言う。
「良いですね。災害として相応しい名として」
「災害か……我ながらいい名前だな!」
男の言葉に忍者の男もといディザスターは笑いながら気にいる。
男はディザスターが喜ぶ姿を見て微笑みながら魔力を込める。
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