第43話 エリアボス
休憩してから二時間経ったが、俺達は財宝の牙を持つ双頭龍から逃げている。
財宝の牙を持つ双頭龍は雄叫びを上げながら俺たちに向かってくる。
「ギャォォォォォォ!」
「なんじゃこりゃー!? 双頭龍にしてはデカすぎだろ!」
俺は追いかけてきて来る双頭龍を見ながら叫ぶ。
昔魔物に関する図鑑でドラゴンを見たことあって、双頭龍と呼ばれるタイプも見たことあるが予想と違って驚いてしまった。
だけどあえて言わせてもらう。
生物なのに財宝の牙ってなんだよ! 少しデタラメすぎだろ!
生物として生えてはいけない物にツッコミながら走る。
異世界とは言え、さすがに牙が財宝で出来ているなんてありえないだろ。
そう思いながら走っていると、ゲーツは苦々しく思いながら言う。
「まさか領域支配者が近くに来ていたなんて……!」
「え、領域支配者?」
俺はゲーツの言葉を聞いて首を傾げてつぶやく。
ダンジョンは塔や地下迷宮以外、魔物の数が減った分だけ出現するようになる。
だけど領域支配者とやらは特殊な方法で現れており、一度倒されたら二度と現れることがない。
ある意味運の悪さに頭が痛くなると、サジェッサが追いかけてくる双頭龍について教えてくる。
《マスター、先ほどからずっと追いかけてくる双頭龍は総裁領域《エリア:プレジデント》のウァラクを支配する領域支配者・財を食らう双頭龍です! 奴は財を操る能力と魔力を放つ砲撃器官を持ちます!》
俺はサジェッサの説明を聞いて、エステルたちに向けて言う。
「お前ら、俺たちをしつこく追いかけてくる領域支配者は財を食らう双頭龍で、財を操る能力と魔力を放つ砲撃器官があるぞ!」
俺はサジェッサから伝えられた情報をエステル達に伝える。
するとそれを聞いてエステルとリザは走りながら驚く。
「あれが領域支配者なの!」
「ちょっと変なところがあるな~って思っていたけど、僕達運悪くない!?」
「運が悪いことは置いといて、財を操る能力と魔力を放つ砲撃器官は近接戦で行うのは得策ではないな……」
驚くエステルとリザとは逆に、ゲーツはあごに手を当てながら策を考える。
マァ、一旦運が悪いは置いといて、逃げ続けても体力が切れて食われるオチになりそうだ。
多少スピードが落ちてしまうが、少し体を捻って撃つか。
そう思いながら空間所持からM950Aを取り出し、体を少し捻らして狙いを定める。
双頭龍だから両方を同時に潰すか、片方ずつ潰すという方法で良いのかわからないが、とにかく動きを少し止めるために撃ってみるか。
俺はそう思いながら、財を食らう双頭龍の右頭部に向けて引き金を引く。
銃口から9mmパラベラム弾を放ち、財を食らう双頭龍の右頭部をハチの巣にする。
弾丸をもろに食らって血肉が散ってしまうが、財を食らう双頭龍はそれでも進みだす。
俺はそれを見て眉を寄せる。
クッ……片方が潰れても勢いが止まらないのか。だったら動きを止めて同時に仕留める!
俺はそう思い、エステル達に向けて叫ぶ。
「お前ら、このまま逃げても埒があかない! さっき右頭部をハチの巣にしたが、勢いは衰える事なく進んでいる!」
「うぇぇ……確かに血を滴りしてるし、眼球がぶら下がっているよ?」
俺の言葉にリザは体を捻って、財を食らう双頭龍の右頭部を見て呻きながら言う。
マァ、これでもかと思って撃ったから、そこは我慢してくれ。
そう思っていると、ゲーツは俺の言葉を聞いて聞く。
「そういうのなら、作戦はあるんだよな?」
ゲーツはそう言い、俺はあくどい笑みを浮かべて言う。
「あぁ、良い子じゃなくても子供がやっちゃいけない作戦だ!」
俺は悪い笑みを浮かべて答える。
すると俺を見たエステルとリザは何か悟った顔で言う。
「たぶんめちゃくちゃなことをしようとすると思う……」
「あー、ありそう。多分」
「おい、それどういう意味だよ……」
俺は二人の言葉に少し呆れながら言う。
マァ、否定はしたりしないけどな。
二人の言葉に苦味を感じつつもエステル達に作戦を伝え、別々の方向に分かれる。
すると財を食らう双頭龍は右頭部の傷を魔力で完治し、標的をリザにして向かっていく。
リザは面倒くさそうにしながら叫ぶ。
「ウソでしょ! 四分の一の確率で来るとは思っていたけど!」
リザはそう叫びながら地面を強く蹴って走り、財を食らう双頭龍はリザに向かっていく。
四分の一の確率で誰かがおとりになるが、俊敏性が高いリザになるとはな。
あいつなら罠が完成するまで財を食らう双頭龍を引き寄せることが出来るな。
俺はそう思いながら、財を食らう双頭龍を討伐するための罠を作成し始める。
▲▽▲▽▲▽
ルイ達が罠を設置している中、四分の一の確率でおとりになったリザは軽やかかつ、力強く地面を蹴って走っている。
リザの後ろには財を食らう双頭龍が追いかけており、右頭部が口内に魔力をチャージして放とうと構える。
それを見たリザはスプリングフィールドM14を構えて詠唱する。
『風のエレメントよ。我が体内の魔力を糧に、突風を放つ魔方陣を付与せよ!』
「突風刻印!」
リザは詠唱し終えると靴底に突風の魔方陣が刻まれ、ファンタジー版ジェットブーツを生み出して空中を飛び、うまく狙いを定めて引き金を引く。
銃口から7.62×51mm NATO弾を放ち、魔力を放とうとする右頭部の額を撃ち抜く。
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