第33話 マジな戦いと洗脳
俺は銀色の剣から出てくる蒼い炎に冷や汗を流しつつ風魔刀に魔力を込めて、嵐を放って一旦ゲーツから離れる。
ふぅ、あの炎はこの世界にある魔法で放つのは出来ないし、油断したらただで済まないな。
俺は銀色の剣に纏う炎に注意していると、ゲーツは銀色の剣を構えて詠唱する。
『第二伝承解放。我が祖の栄光は財欲の邪龍を討伐し、民に平穏を与えた者はジークフリート。我が血肉に宿る龍の不死を外装として纏おう』
「龍血外装!」
詠唱し終えると手のひらから血を吹き出し、そこから全身に纏うと赤黒い竜のフルプレートに変化する。
突然血で出来た鎧をまとったことに俺はM950Aを構えて引き金を引く。
銃口から9mmパラベラム弾を放ち、そのままゲーツの上半身に向かっていく。
だが血で出来たフルプレートで防がれ、ゲーツは銀色の剣を強く握って詠唱する。
『亜種伝承解放。龍を屠り、悪を切り捨て、財欲を滅ぼす剣の斬撃に蒼き炎を纏い、敵対する者を焼き払わん!』
「魔竜の息吹斬!」
詠唱し終えると銀色の剣の刃に纏う蒼い炎がさらに燃え上がり、そこから無数の斬撃を放つ.
すると斬撃に蒼い炎が乗った上に、斬撃の形が蒼い竜へと変貌して襲い掛かる。
俺は肉体全強化を発動して避けるが、さっきいた場所が火祭りの上に斬撃祭りであった。
さっきの斬撃を避けなかったら全身細切れ+こんがり焼かれることになりかけたぞ!
殺意マシマシな攻撃を避けれて内心ほっとするが、ゲーツは目を細めて言う。
「やっぱり君は不思議だよ。さっきの攻撃は上級の魔物でさえ反応することは難しいが、君は即座に魔竜の息吹斬の攻撃範囲から離れた」
「それってほめていますか? それほどでもありませんよ」
俺はゲーツの言葉に返し、腰から筒状の道具を取り出す。
そして流れるように付いているピンを引っこ抜き、ゲーツに向けて投擲するのと同時にバックステップをして目を閉じる。
ゲーツは目の前に投げられた道具に分からず、動きを遅くなってしまう。
すると筒状の道具が膨らみ、何かを察したゲーツは即座に俺に飛ばそうと、銀色の剣で弾き飛ばそうとする。
しかし筒状の道具……もといスタングレネードが爆発し、強烈な閃光と轟音が辺りに響く。
ゲーツは強烈な閃光と轟音をもろに食らい、言葉にならぬ絶叫を放つ。
「ッ――!?」
ゲーツはもろに食らって苦しむが、逆に俺の耳はしばらく聞こえにくくなる。
だけどあんな強い技を繰り返し放つことはないし、あとは銀色の剣を没収して情報を洗いざらい吐かせるだけだ。
そう思いながら空間所持から荒縄を出そうとすると、ゲーツが意識を取り戻して素手で襲い掛かる。
何! スタングレネ―ドをもろに受けたのに、瞬時に起き上がっただと!?
復帰が早いことに驚き、俺は組み伏せようとするが、奴は素早く俺の足を掴んであげる。
ぬぉ!? 中々やるがそう簡単に上げてたまるかよ!
俺はそう思うと掴まれた足でゲーツの肩を強く蹴り飛ばす。
するとゲーツはもろに蹴りを食らい、そのまま地面を少し回転する。
ふむ、復帰が早かっただけで、まだ万全じゃないだろう。
俺はそう思いながら起き上がろうとするゲーツを踏みつけ、トンプソンコンテンダーを構えて質問する。
「さて、ここからは尋問タイムだ。お前はどうしてあんた下衆令嬢に忠実なんだ? それにあいつが持つ剣は龍滅剣なのか?」
俺は鋭く睨みながら質問する。
ちなみに弾は装填されておらず、一種のフェイクだから悪いものっぽいなんて言うのは止めてほしい。
俺はそう思いながら構えるが、ゲーツはか弱い声で言う。
「僕は……あいつに忠誠なんか、誓っていない……!」
「何?」
俺はそれを聞いて眉をピクリと動かす。
どういうことだ? まるで執事のように忠実だったが、それは一体どういうことだ?
俺はゲーツの言う言葉に嘘を感じず、どういうことか根掘り葉掘り聞こうとする。
その時、ソロモン学園の生徒の一人がやってきた。
俺はタイミング悪いなと思いながら、生徒に向いて言う。
「悪いが、少しこいつと話すことが――」
「死ね」
彼は俺の言葉をふさいでいうと、準備時間の時に渡したマシンガン・MP5を構えて引き金を引く。
銃口から9mm×19弾を放ち、俺は即座にゲーツを抱えて叫ぶ。
「嘘だろぉぉぉぉ!?」
俺はそう叫びながら敵前逃亡し、何とか巨木の後ろに隠れることができた。
しかし一体なんだよ、あれ! まるで自我のない忠実なしもべだぞ!
俺は汗を拭きながら考えると、ゲーツは悔しそうにしながら呟く。
「クッ、最初っから僕を見捨てようとしたとは……」
「おい、それってどういうことだ?」
俺はそれを聞いてゲーツに質問するが、本人は何も言わずに別方向に向く。
ホォ、だったら少し力技で聞いてみるか。
俺はゲーツの顔を掴み、グイッと俺に向けさせて言う。
「悪いが、このまま忘れてくれなんて通じると思うなよ? こちとら天魔を倒せるほどの実力を持っているからな」
「ハァ……分かったけど、これだけ言わせてほしい。本当に僕のことを信じてくれるのか?」
「もちろんだ」
俺はゲーツの言葉に即答し、本人は少し呆れながら言う。
「本当にすごいね。さっきの生徒が僕たちを攻撃するようにしたのはニヘルが仕業なんだ」
俺はそれを聞いて頷く。
やっぱり、あいつの持つ剣は怪しい何かを感じたが、まさか洗脳じみたことをするとは。
そう思っていくが、本人は首を振って訂正する。
「いや、ニヘル自身じゃなく……視認できないがニヘルの仲間らしき天魔の仕業だ」
「何!?」
俺はゲーツの訂正に驚き、ゲーツはうなずきながら説明する。
俺が入学試験を受ける三ヶ月前、屋敷内にニヘルといびつな姿をした天魔が現れ、ゲーツの両親はゲーツが持っている銀色の剣……龍滅剣で倒そうとした。
しかし両親はいびつな天魔の力によって強制的に自殺し、家はニヘルよって奪われたわけと。
ゲーツは拳を強く握りながら話す。
「僕は家がニヘルに奪われたと国王に進言した。なのに……!」
「いびつな天魔の力で戯言だと処分された、というわけだな」
俺の言葉にゲーツは静かにうなずく。
それにしてもゲーツは昔の俺に似ている。
幼いころ誰も助けてくれず、怒りと悲しみを纏っているようだ。
どうにかしてあげたいが、まずはその天魔の能力と解除方法を解明しないと……。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!




