第32話 龍滅剣の力
俺は双眼鏡で苦しむダビデ学院の生徒達を観察し、状況を伝える係の生徒が伝達する。
「アーク、特攻組・魔術組・治療班・探索系の概念持ちの八割が武器を下ろして降参、二割が特攻を仕掛けようするがブービートラップで戦闘不能になった者が多数!」
「オゥ、教えてくれてサンキューな」
俺は伝達係が持って情報に感謝しつつ、ブービートラップエリアを見渡す。
俺はダビデ学院に勝つために考えた策、それは現代でも使われている罠・ブービートラップだ。
ブービーの意味は「カツオドリ」のことで、当時は簡単に捕まえられることから「間抜け者」になった。
それを聞いたらドッキリみたいな感じに思うが、実際はかなりえげつない。
今回使ったのはカートリッジトラップ・バンブーウィップの木の枝バージョンで、さらに隠密に特化したアイテムを使った襲撃部隊、リザの狙撃を合わせた希望へし折りコンボだ。
ダビデ学院の連中は戦いなんて遊びのように思っているが、前世の俺にとって戦いの命の取り合いだ。
だからこうしてクソな政治家や、危険思想を持つ教祖を始末するために、独学でブービートラップを学んだ。
双眼鏡から見てもわかるとおり、効果は絶大だ。
ふっふっふ、幸いダビデ学院のまともな連中が来ていなくてよかったが、ブービートラップエリアにはニヘルの姿が全くなかった。
もしかして別の場所で戦場を見ているのか? どこまでも腐ったエリート様だな。
そう思っていると、奥から銀色の剣を持った青年がやってきた。
あれって、ニヘルが喚いていた時に現れた青年で、名前は確かゲーツ・M・ジークフリートだったよな?
どうして俺たちに向かっているのだろうか? あまりニヘルに協力するのは嫌がっているように見えたんだが……。
どういうことなのか分からずにいると、力持ちの生徒が俺に質問してくる。
「なぁ、さすがにあれを使った方がいいじゃねぇか? ゲーツ・M・ジークフリートがやってきたってことは、俺たちを完全に潰すつもりだぞ?」
「ふむ……」
俺は力持ちの生徒の質問を聞いて、あごに手を当てて考える。
う~ん、どうしてゲーツがソロモン学園側の方に来る理由はわかないが、今は戦争みたいなものだから、少し粗目で撃退するか。
俺は考え終えて命令する。
「分かった。伝達係は襲撃部隊を避難させ、力がある連中はあれを指定した場所に運んで、合図が来るまで構えてくれ」
「あぁ」
「分かった」
伝達係の生徒と力持ちの生徒はそう言うと、行動を始める。
さて、俺はあの人に直接問いただすか。
俺はそう思いながら、代表の証であるアクセサリーをエステルに渡して言う。
「何かあったら、準部時間の時に渡した奴を使え、いいな?」
「うん、リザの様にはできないけど、できる限りやってみるよ」
俺の言葉にエステルはそう言いながら、サイト付きのAK47を構える。
エステルが持っているAK47は元々俺が使っていた奴で、学園戦争が始まる二日前に前世で愛用した銃・M950Aを完成させた。
ようやく愛用の銃を使えることに喜んだが、AK47をよく使っていたから捨てるのはもったいないと考えた時、エステルに与えればいいんじゃないかとひらめいた。
でもエステルが銃の扱いに慣れたとはいえ、そのままじゃ狙いにくいと考え、水晶で作ったドットサイトをつけた。
そうすれば多少うまく狙えるからな。
そう思っていながら俺はゲーツのところまで行き、ブービートラップエリアから少し離れた場所に着くと、地面を揺るがす爆発音が響きだす。
俺は茂みに隠れて爆発音が起きた場所を見る。
すると爆発音が起きた場所がブービートラップエリアで、ゲーツは銀色の片手剣を肩で背負い、辺りを爆心地にさせたような跡ができている。
一体どうやってこんな爆心地を作ったかわからないが、これは手加減をしたら負けそうだな。
俺はそう思いながら殲滅部隊に合図として、敵にバレない様に詠唱する。
『光のエレメントよ。我が魔力を糧に、合図を送る光を放て!』
「行動発光!」
詠唱し終えると上空に向けて光を放ち、それを見た力持ちの生徒は持ち手を掴んで叫ぶ。
「よっしゃ! 一斉に撃てー!」
そう叫ぶと力持ちの生徒が持つ銃・MX312をゲーツに向けて引き金を引く。
襲撃部隊もゲーツに向け、MX312と共に一斉掃射を行う。
ゲーツは銀色の剣を強く握って詠唱する。
『第一伝承解放。我が祖の栄光は財欲の邪龍を討伐し、民に平穏を与えた者はジークフリート。我が血肉に宿る龍の力を息吹として放とう』
「財欲邪龍の息吹!」
ゲーツは詠唱し終えると銀色の剣を自身に襲い掛かる弾丸に向けて振り下ろし、青い宝石から邪龍の形をした蒼炎が弾丸を打ち消し、MX312が設置している場所を吹き飛ばす。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
力持ちの生徒や襲撃部隊の全員は叫びながら吹っ飛ばされ、俺はあいつが持つ銀色の剣がただの代物ではないと見抜く。
なるほど、あまり伝承に詳しくないから判定することはできないが、第一伝承ってことはまだ何かがあるということだ。
俺は細心の注意を払いつつ、M950Aを構えて茂みから出る。
ゲーツは茂みの音で振り向き、俺を見ると鋭く睨んで質問する。
「代表直々にやってくるなんて思わなかったけど、まさか宣誓でおかしなことを言った奴だったとはね」
ゲーツはそう言いながら銀色の剣を俺に向け、さっきの技を放てるように構える。
さっき放った技を見たからか、強烈な殺気と魔力を感じて冷や汗を少しかいてしまう。
だが前世のころ、俺をフルボッコにしてきた師匠と比べたらぽっと出のように感じる。
俺はそう思いながらゲーツに質問する。
「なぁ、どうしてニヘルに従っているんだ? あいつが持っている剣がパチモンのように見えてしまうけどな?」
俺はそう質問するが、ゲーツは銀の剣を俺に向けて答える。
「どうして僕がニヘルに従っているのはあまり言えないが、こっちにも勝利した気持ちがある。ただで負けるつもりはない!」
ゲーツはそういうと銀色の剣に魔力を込めて襲い掛かる。
俺も空間所持から風魔刀を取り出し、銀色の剣を風魔刀で受け止める。
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