第31話 バカ特攻トラップ
俺とエステルとリザを含めたソロモン学園チームは、フルカス内にある森林に転送された。
俺は少し辺りを見渡しながら考える。
ふむ、少し離れたところに竹林があって、土も柔らかくて素手で掘りやすそうだ。
ダビデ学院に勝てる方法を考えていると、一人の生徒が弱気になりながら慌てる。
「どうすんだよ……ダビデ学院にいるゲーツ・M・ジークフリートは異魔人の子孫の上に、去年の学園戦争を一人で勝利したんだぞ! 絶対勝てねぇよ!」
彼はそう言いながら慌てだし、俺は少し頭を搔きながら考える。
あらら、まさか俺の宣戦布告のせいでおびえている奴がいるなんて。
ていうか、エステルとリザ以外はダビデ学院に怯えている様子を見せていた。
どうやって勇気づけるか考えていると、エステルが前に出て言う。
「ううん、ルイ君なら大丈夫だよ」
「なんでそう言い切れるんだよ! 相手は大人数を一人で勝利した奴だぞ? そんな奴に勝てるわけがないだろ!」
エステルの言葉に一人の生徒は若干切れ気味で言い返す。
だけどエステルは少し同調しつつ答える。
「確かに相手は手ごわいけど、ルイ君は天魔やフォン先生に勝ったことがあるんだよ! それに私たちの力を合わせれば、先輩たちに対抗できる!」
エステルの答えに一人の生徒が黙り、他の生徒たちはポツリと言う。
「確かに、ダビデ学院の連中にぎゃふんと言わせたい」
「うん、それにダンジョンの壁を壊したのなら、多少大丈夫だと思う」
「そうだな」
他の生徒達も顔色が明るくなり、さっき慌てていた生徒も冷静になってきた。
これなら大丈夫そうだな。
俺はそう思いながらこの場にいる全員に、この森を使った作戦を伝える。
それを聞いたエステルとリザ以外は首を傾げるが、二人の説明で理解し、俺は必要な備品を空間所持から取り出して作業を始める。
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ダビデ学院の生徒たちは武器を構えながら話し合っている。
「あいつ馬鹿じゃねぇの? 俺たちのようなエリートに勝とうとしてよ」
「確かに俺らが負けるなんてありえないだろ。だよな、ニヘル嬢?」
片方の生徒はニヘルに向いて言う。
ニヘルはあくどい笑みを浮かべながら、龍滅剣反転を構えて言う。
「えぇ、あの貴族の恥晒しの末っ子は本当に馬鹿ね。ジークフリート家に与えられる未知の兵器・龍滅剣と、人工未知の兵器・龍滅剣反転があれば負けるわけないのよ」
ニヘルはそう言いながら龍滅剣反転を腰にある鞘に納め、ソロモン学園がいるエリアに向かって歩む。
居残り組を除いて悠々と歩き、ソロモン学園がいるエリアに近づくと、特攻組は片手剣と盾を持ちながら攻めようとする。
すると地面から弾丸が放たれ、特攻組の一人が撃ち抜かれた足を抑えて叫ぶ。
「ギャァァァ!? 足ぃぃぃぃぃ!」
「ウォ!? なんだよ、いきなり!」
「どうしたんだぁ?」
特攻組が慌てているのを見て、魔術組は首を傾げながらやってくる。
すると草山から鋭い棘が付いた枝が、魔術組のすねに深々と刺さる。
魔術組は突然すねに棘付き枝に刺されたことに驚きつつ、顔を悪くして呻く。
「グェェェ……なんでだ? いきなり息が苦しく……!」
「ウゥ……誰か治癒魔法をかけてくれ!」
魔術組はそう言いながら苦しみ、特攻組も撃たれた箇所を抑えながら叫ぶ。
遠くで見ていたニヘルは面倒くさそうにしながら命令する。
「ハァ、治療班はケガした者たちを治療、探索系の概念持つは罠を探って!」
ニヘルの命令に治療班と探索系の概念持ちは無言でうなずき、治療班はケガした者を治療しようとする。
その時何かが空を裂き、治療班の一人が何かに刺され、ばたりと倒れてしまう。
それに気づいたもう一人の治療班が慌てて声をかける。
「おい、しっかりしろ!」
「グゥ……」
もう一人の治療班の叫びに治療班の一人はスヤスヤと寝ており、それと同時にスプリングフィールドM14を持ったソロモン学園の生徒数名が、木の後ろから出て叫ぶ。
「撃てー!」
先頭の叫びと同時に数名は引き金を引き、銃口から7.62×51mm NATO弾を放つ。
だが弾頭は先を丸めた上に、衝撃を吸収する素材でできており、もろに受けた者の体が穴だらけにならない。
その代わり強烈な激痛が走り、それを受けた生徒たちは悲鳴を上げる。
「ギャッ!?」
「ぶべぇ!」
「急いで逃げ……」
次々に激痛で気絶されるさまを見たダビデ学院の生徒の一人は、恐怖で歪んだ表情でこの場から逃げ出そうとする。
しかしそうはさせまいと林の陰から何かが飛び出し、逃げ出そうとしていた生徒の後頭部にヒットする。
逃げ出そうとしていた生徒は後頭部に弾丸を食らい、意識を失って前に倒れる。
それを見た者は恐怖し、脂汗や涙を流しながら叫ぶ。
「なんだよ、これ! 相手は雑魚のソロモン学園だろ!?」
「あぁ、だけど何でこんな風に制圧されるんだよ!」
「い、急いでココから逃げないと……!」
「馬鹿野郎! 仮に逃げたとしても、ダビデ学院としての矜持はどうするんだよ!?」
「そんなの勝手にやっていろよ!」
ざわざわと恐怖が遺伝し、逃げようとする者を止めようとする。
しかし戦闘をお遊び感覚だった者が、いきなり死に瀕しているなら、誰だって我が身可愛さで逃げようとする。
それを聞いた人は少し震えながら言う。
「そうだよな……逃げたっていいんだよな?」
「そうよ、こんなので命かけるなんて馬鹿々々しいでしょ?」
「だよな! 俺たちは早く逃げるぞ!」
彼らはそう言いながらこの場から逃げようとする。
しかし林の陰から放たれる弾丸は一人たりとも逃さず、逃げようとする者の意識を刈り取っていく。
それを遠くで見ていたニヘルは慌てふためく。
「どうなっているの? なんでうまくいかないの!?」
ニヘルはそう叫びながら、目の前に移る惨状を見て混乱する。
そのころ特攻組や魔術組などの生徒たちは、林の陰から放たれる弾丸から逃れないと知る。
するとある者は己のプライドのために特攻し、ある者は我が身可愛さで命乞いし始め、ある者はこの状況を信じられずに錯乱し、ある者は恐怖と絶望に耐えれずに気絶する。
まさに八大地獄の阿鼻地獄を表した惨状に、ニヘルは何が何でも大逆転させる方法を考える。
その時に後ろからゲーツがやって来て質問する。
「何やら向こうが騒がしいと思って、僕だけ来たが……これはすごい惨劇だ」
ゲーツは疑似的な阿鼻地獄を見て、これを行える人間を考える。
考えるゲーツにニヘルは、ゲーツの腰にある龍滅剣を見てひらめく。
そうだ、これなら勝てる。最悪事故としてあいつを処分することができる!
ニヘルは一気に逆転の一手を構築し、ゲーツに耳打ちで作戦を伝える。
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