第19話 入学試験前編
フォンの言葉に受験生たちは一斉に答案用紙をめくり、答えを書いていく。
すると受験生の一人が問題用紙を見て驚く。
「問題用紙の文字が蛇のように動いているぞ!」
そう叫ぶとほかの受験生たちも、問題用紙の文字が動いていることに驚いている。
俺も問題用紙をじっと見つめる。
確かに文字が蛇のように動いており、すごく文字が読みにくくて、答えを書くことは出来なさそうだ。
しかし文字には微量の魔力を感じる。
なるほど、普通の座学でも魔力をうまく制御すれば読めるが、制御に集中することで答えを考えにくくなるからな。
普通の人なら、魔力を制御しつつ答えを書くのは難しいのだろう。
だけど、こっちは少し特殊なんだよ。
俺はそう思いながら、自立補助精霊改めサジェッサに頼む。
サジェッサ、少し魔力を制御してくれないか?
《わかりました、マスター》
俺の言葉にサジェッサは頷く。
するとうごめいていた文字がピシッと固まる。
よし、これで答えを書けるな。
俺はそう思いながら問題の答えを書いていく。
他の受験生たちも、この座学試験の攻略法を見つけたが、魔力操作慣れしてない奴はかなり苦戦している。
マァ、俺の場合はサジェッサに頼んでいるからな。
魔力操作はできるけど、並行作業はあまり得意じゃないからな。
ちなみに今の自立補助精霊のレベルはⅡで、ディザスターの魂を使って強化したから、お祝いとして名前を付けたんだ。
そのままだと少し面倒だからな。
俺はそう思いながら答えを書き、最後の問題を解き終えるとフォン先生が立ち上がって言う。
「そこまで! 受験生は次の会場に行くように」
フォン先生の言葉に、俺を含めた受験生は書くのを止め、実技試験の会場に向かっていく。
しばらく歩いていると、鎧を着させた案山子が置かれた場所に着いた。
そこにいたのは茶髪でひょろそうなおっさんだった。
茶髪のおっさんは俺たちをじっと見つめて言う。
「おぉ、今回は選り取り見取りって奴か?」
茶髪のおっさんは頭を書きながら言い、地面に置いてある十文字槍を拾っていう。
「俺は戦闘試験担当のヘクトール・パルチザン、今から行う試験は俺の攻撃から三分耐えることだけだ」
茶髪のおっさんもといヘクトール先生は十文字槍を持ちながらそう言う。
受験生たちはヘクトール先生の名前を聞いて驚き、慌てふためく。
「ヘクトールって、確か魔導騎士団二つ分の実力を持つ戦士だったよな?」
「あぁ、まさかその本人が出てくるなんてな……」
俺は受験生たちの言葉を聞いて、ヘクトール先生はそれほど強いのだろうと知る。
へぇ、見た目は少し老けた茶髪のおっさんだけど、実力は中々高いって訳か。
そう思っていると、受験生の一人が前に立って戦闘試験を行う。
しかし一分だけ耐えて、他の受験生たちも三分耐えたのは半数であった。
そうしているうちに俺の番が来て、俺は空間所持から黒嵐刃を改造した武器・風魔刀を取り出す。
それを見たヘクトール先生は目を細めて言う。
「ほぉ、どうやらその武器はただものじゃねぇな?」
「マァ、そんな感じですよ」
俺はヘクトール先生の言葉に軽く返しながら、風魔刀を構える。
それと同時にヘクトール先生は俺の腹に向けて一突き放つ。
俺は瞬発的に回避して、十文字槍を破壊しようと、下から切り上げる。
しかしヘクトール先生は下からの切り上げから、十文字槍の刃で受け止める。
やっぱりすごいな、風の力を持つ魔導機を持っているだけ調子に乗った騎士団長とは違うな。
そう思いながら、風魔刀と十文字槍の打ち合いに向かう。
そうして少し打ち合っていくと、ヘクトール先生は俺の太ももに向けて蹴りつく。
しかし太ももに蹴った瞬間、ヘクトール先生は一瞬顔をゆがめた。
そりゃそうだ、なんせ肉体全強化を発動しているからな。
いくら強かろうと、最大まで強化された硬さの前では突破は難しいだろう。
するとヘクトール先生は十文字槍の柄で俺の顔面をかすめる。
俺は反射的に目を閉じ、数コンマで足から地面の感触が無くなる。
まずい、もしかしたら投げ飛ばされたかもしれない!
俺はそう思うと即座に目を開ける。
すると視界に映ったのは青空であり、自分が投げ飛ばされたと知った。
俺は反射的に風魔刀を口にくわえ、地面に手をついて着地する。
それを見たヘクトール先生は面白がる。
「オイオイ、一瞬で投げ飛ばしたとはいえ、反射神経はかなりよさそうだな」
俺はヘクトール先生の言葉に、口にくわえている風魔刀を外して言う。
「マァ、俺は生まれつき反射神経が良いので」
俺はそう言って風魔刀を構えるが、ヘクトール先生は頭を書きながら言う。
「そのガッツさはいいけどよ。さっきの着地でピッタリ三分立ったぜ」
俺はそれを聞いて首をかしげる。
アッ、そうなの? さっきので時間を忘れてしまったな。
俺は困惑しつつ風魔刀を空間所持に納める。
それから、戦闘試験のほかに魔法試験があったが、こっちの方はルイス兄さん直々の特訓で軽々と終え、最後の試験会場に向かっていく。
しばらく歩いて着いたが――。
「えっと、何これ?」
俺はそう言いながら首をかしげる。
目の前に映るのはざっと蔓と花を纏った石壁でできた扉だ。
扉なのはわかっているが、何で扉だけなんだ? しかも蔓と花が纏っているし。
どうして扉だけ置かれているのか、他の受験生たちも首をかしげる。
するとフォン先生がいきなり現れ、この扉について言う。
「今から実技試験の最終項目・脱出試験を行う!」
「「な、何だってー!」」
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