第13話 VSディザスター
早朝、魔導騎士団は門の前に集まり、先頭にいるエルメスは自身の部下たちに向けて叫ぶ。
「恐れるな! 奴は風を操る力で、私が持つ魔導機は同じく力を持っている! 私が奴と正面で迎え撃ち、他の者が魔法を放ち続ける、それなら負ける事はない!」
「「ハッ! エルメス様!」」
エルメスの叫びに部下たちは答え、一同ディザスター討伐に向かって行く。
俺はその騎士団の兜を少し上げて呟く。
「一応、問題ないな……」
俺はそう言うと兜から手を放し、ディザスターに向かって行く。
俺は今、ディザスターをブッ倒すために魔導騎士団に変装して向かっている。
今着ているのは鉄の鎖かたびら、その上に純白の布に青い竜の刺しゅう、腰に鉄の剣、頭には鉄の兜と言った感じだ。
これら全部は昨日の夜、偶然川で顔を洗っていた騎士を気絶させ、装備を拝借させてもらった。
一応サイズは少しだけ大きいが、動きが阻害されることはない。
このままエルメスにバレない様について行くと、前から忍び装束を着た男が現れる。
エルメスは背中に背負っている大剣の柄を掴み、忍び装束の男に質問する。
「貴様が厄災のディザスターか?」
「いかにも、俺がディザスター様だ!」
忍び装束の男もといディザスターはそう叫ぶと、風のクナイを魔導騎士団に向けて放つ。
エルメスはそれを見ると大剣を抜刀し、柄を強く握って詠唱する。
「魔術回路、完全開放! 魔導機豪風の絶叫起動!」
エルメスは詠唱し終えると、大剣の魔導機・豪風の絶叫を力強く振り下ろす。
すると豪風の絶叫の刀身から豪風が起き、風の音は獣の叫び声のように聞こえ、豪風がクナイをはじき飛ばす。
ディザスターは豪風を見て横に回避する。
「逃がしはせん!」
エルメスは回避したディザスターを睨みながら叫び、大剣を握り直して横に薙ぐ。
豪風が吹き荒れてディザスターに風の歯牙を掛けるが、ディザスターはその攻撃を軽々とジャンプで回避する。
エルメスの部下たちはそのすきに、ディザスターに向けて詠唱する。
『『光のエレメントよ。我が体内の魔力を糧に、光の矢を放て!』』
「「光矢!」」
エルメスの部下たちは詠唱し終えると、手のひらから光の矢が生み出され、それらがディザスターに向けて放たれる。
光の矢がディザスターに当たろうとする。
「遅いな。黒嵐舞!」
しかしディザスターは叫びながら背中にある剣を抜刀する。
すると刃から黒い嵐が発せられ、光の矢を打ち消し、エルメスの部下たちに向けて降り注ぐ。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
エルメスの部下たちは黒い嵐によって吹き飛ばされてしまう。
中には必死に耐える者もおり、俺も腰にある剣を地面に刺して耐える。
クッ……この黒い嵐、やっぱりヘルスパイクベアはあいつが使ったことは十分にあり得る。
エルメスは吹き飛ばされる部下たちを見て、怒りをあらわにしながら叫ぶ。
「おのれ、よくも我が部下たちを!」
エルメスはそう叫ぶと豪風の絶叫が二つに割れ、対のロングソードへと変形する。
ロングソードを強く握って、ディザスターに向けてクロスで振り下ろす。
ディザスターは攻撃を避けつつ、それを見て興味深そうにつぶやく。
「へぇ、変形する事ができるんだな」
「当たり前だ。これは代々伝わる家宝だからだ!」
ディザスターの言葉にエルメスは誇らしげに言い、右の方で突き、左の方で逆袈裟切りを行う。
ディザスターはその攻撃を剣で防ぐ。
するとエルメスは右の方を手放し、ディザスターが持つ剣に触れて詠唱する。
『力のエレメントよ。我が体内の魔力を糧に、すべてを読み解け!』
「完全解析!」
エルメスは詠唱し終えると、手から魔術回路が浮き出し、ディザスターが持つ剣を解析する。
それを見たディザスターはエルメスを突き離そうとする。
「ッ! 少し離れろ!」
「グッ!」
ディザスターはそう叫びながらエルメスを突き飛ばす。
エルメスは突き飛ばされてしまうが、身体を捻って衝撃を流し、ディザスターが持つ剣を指しながら言う。
「お前はこの剣を知らせたくなかった。だがお前が持つ剣、黒嵐刃の力を全て解析した! この場で俺に倒されるが良い!」
エルメスはそう言うと、対のロングソードから大剣にもどし、柄を強く握って詠唱する。
『乱風神ストームよ。汝の名のもとに、天魔を裁く一撃を与えたまえ!』
「乱風鉄槌!」
エルメスは詠唱し終えると、竜巻に等しい豪風が刀身に纏い、ディザスターに向けて振り下ろす。
ディザスターは黒嵐刃でガードするが、豪風の歯牙に飲み込まれる。
エルメスの部下たちはその凄さを見て勝利を確信し、エルメス本人も喜びを噛み締めている。
しかし突如、エルメスの両腕が切り落とされしまう。
「……え?」
それを見たエルメスは訳が分からずに変な声を出す。
他の連中もいきなり両腕を切り落とされた事に硬直し、エルメスは自分の両腕が切り落とされた事を理解して叫ぶ。
「ギャァァァ!? 腕が、私の両腕がぁ!」
「ハッ、確かに強いな。けどよ、俺は五体満足だけどな?」
エルメスの叫び声が辺りに響き、五体満足のディザスターはエルメスの苦しむ様を笑いながら言う。
もしかしたら黒い渦で乱風鉄槌を防ぎ、黒嵐刃で両腕を切り落としたのだろう。
エルメスは目の前に起きている事に分からずに狼狽える。
「な、何故だ? 確かに乱風鉄槌を食らわせたはず……」
エルメスの言葉にディザスターは五体満足の理由を説明する。
「俺が五体満足なのは風の根源を到達してからだよ。それで竜巻鎧を生みだして防いだんだよ」
「バ、馬鹿な……! それは神話でしか聞いていないぞ!」
エルメスはディザスターの言葉を聞いて驚愕する。
それもそうだ。
根源に到達するなんて、この世界にとっては神話そのものであり、異常だからだ。
黒い渦で防いだと思っていたが、まさか根源に到達したから何てな。
天魔は今の人類では勝てる者が少ないと思っていたが、まさかココまで強いとは……。
そう思っていると、ディザスターはエルメスを見下ろしながら言う。
「A級魔動機・豪風の絶叫を持つ騎士が来るのを楽しみにしていたが、まさかこれほど雑魚なんてな」
「グゥゥゥ、アァ……」
ディザスターはエルメスを侮辱するように言うが、当の本人は傷の痛みでディザスターの言葉を聞いていない。
ディザスターは黒嵐刃を回しながら残念がる。
「あー十年前、俺が生み出した造魔を倒した奴はいねぇかなー」
ディザスターは気だるげに言うが、俺はコイツが犯人だと容疑から確信に変わる。
ディザスターは人通り見た後、黒嵐刃をエルメスに向けて叫ぶ。
「オラァ、出て来いよ! 今すぐ出て来ねぇならコイツをぶっ殺す!」
ディザスターの叫びにエルメスの部下たちは騒めき、それを聞いたエルメスは慌てて叫ぶ。
「た、助けてくれー! 死にたくない、私はまだ死にたくないんだ! 報酬はいくらだって払う、我が家宝も渡そう! だから」
「うるせぇ!」
エルメスの必死の叫びに、ディザスターはウザさを感じながら蹴り飛ばす。
「ガハッ!」
「少し待ってやろうと思ったが、さっきの気が変わった。ココで殺す、じゃあな」
ディザスターはそう言うと黒嵐刃をエルメスの首に向けて振り下ろし、エルメスは悲痛の叫び声を上げる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
エルメスの部下たちは恐怖で動けず、自分たちの上司が殺されるだろうと思った。
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