第11話 謝罪と戦力増強
俺は光のまぶしさで起き上がり、辺りを見渡して首を傾げる。
「ウゥ……あれ? ここは俺の部屋か?」
今いる場所は自室で、眠ってしまった場所は森の奥深い場所だった。
もしかして運ばれたのだろうか? 頭や体には包帯を巻かれているし。
すると自立補助精霊は俺が起きた事に気づいて呼びかける。
《マスター、三日ほどの睡眠お疲れ様です》
俺は自立補助精霊の言葉を聞いて固まる。
エ、三日!? てことはそれ程寝込んでいたのか?
俺は自立補助精霊の言葉を聞いて驚いていると、両親が涙を流しながら俺に抱き着いてきた。
「ルイィィィ! 三日間寝ていたけど、意識を取り戻してよかったぁぁぁ!」
「本当に良かったわ!」
「ハハハ……」
俺は両親に抱き着かれながら苦笑いする。
二人は少し親ばかとはいえ、ココまで心配させてしまったな。
申し訳ない気持ちを感じていると、ルネス兄さんは両親の様子を見て苦笑いしながら言う。
「父さん母さん、ルイが困っているからその辺にしておきなよ」
両親はルネス兄さんの言葉を聞いて、申し訳なさそうに抱き着くのを止める。
俺はルネス兄さんに寝ている間に起きた事を聞く。
どうやらヘルスパイクベアを倒したことはルネス兄さんとルイス兄さんの手柄になって、俺が銃を使った事については家族と討伐に向かった傭兵達だけだ。
ちなみにヘルスパイクベアの死体は王都の研究所に運ばれ、傭兵達はしっかり報酬を払われたそうだ。
俺が寝ている間にそんなことが起きていたとは……。
それに家族に俺が銃を作った事がバレテしまった。
俺は少しもう訳無さそうに謝る。
「ごめんなさい。実は生まれてからリーン様の加護を授かったんだ」
ちなみに俺が言っているのは少し嘘で、チート能力は生まれた直後で、銃に関する知識は生前から持っていた物だ。
家族の前で嘘をつくのは精神的に申し訳ないが、他言厳禁かもしれないからあまり教えれない。
だからコッチの方が信じることが出来るだろう。
すると両親は目を輝かせながら言う。
「聞いたか? ルイが生まれた時にリーン様の加護を授かったらしいぞ!」
「エェ、ウチの子たちは凄いわ!」
俺は両親の言葉を聞いて首を傾げる。
……ハイ?
それってどういう事だ? 確かにルネス兄さんとルイス兄さんはこの世界では才能がある方だが、俺はチート能力と前世の知識を持っているだけの張りぼてだぞ?
一体どういう事なのか分からずにいると、自立補助精霊が説明する。
《リーン様の加護を受ける。この世界は才能の事を神の加護として定め、リーンだと英雄になると考えられております》
俺は自立補助精霊の言葉を聞いて考える。
……マジかよ。俺は英雄なんかじゃない、前世は銃を使う殺人鬼だ。
それなのに今世は英雄になる……皮肉にも程があるな。
少し苦笑いをしているとルネス兄さんは俺に鋭く睨みながら言う。
「後、ルイには家族の約束をしてもらうよ?」
「家族の約束?」
俺はルネス兄さんの言葉に首を傾げて言い、ルネス兄さんは頷きながら説明する。
「うん、今後父さんと母さんを心配させないためのルールだよ」
ルネス兄さんの言葉を聞いて心に何かが刺さる。
ウッ! 確かに父さんと母さんは俺が三日ほど寝ていた事に、心配していたから当然の事だろう。
家族の約束は三つで、一つ目は一人で無茶してはいけない、二つ目はあまり隠し事をしてはいけない、三つめは周りと協力するだ。
短く言えば一人で無茶せず、情報は共有し、協力し合う事だ。
俺はそれに承諾し、家族を心配させてはいけないと心の中で誓う。
▲▽▲▽▲▽
ヘルスパイクベアを倒してから一週間経ち、今は全ての銃を見ている。
ヘルスパイクベアと戦ってから身をもって知った。
それは銃の差であり、今のままだと天魔と対等に戦う事は難しいだろう。
だから今ある銃を確認、そして新たな銃を製作するのを決める。
今ある銃はリボルバーのニューナンブM60、ショットガンのM870だ。
一応ショットガンの攻撃力は至近距離だと高いが、連射性と装弾数はとてもないからな。
う~ん、連射性や装弾数なら機関銃系だが、今の技術じゃ製作するのは難しいな。
飛距離が短くなるが、今回はアサルトライフルのAK47にするか。
製作する銃を決めたら、さっそく倉庫から大量の鉄インゴットを持ち出す。
AK47はロシアもといソビエト連邦で制作され、最も改良型がある事で有名な銃だ。
ライセンス生産品やコピー製品などでも同じで、マガジンはバナナの形をしており、取り外しがしやすいようになっている。
パーツも簡単で、投影を使えば容易く製作する事ができるだろう。
そう思いながら投影を発動する。
ハンドガード、バレル、マガジン、グリップ、トリガー、トリガーガード、エジェクションポ―ト、チャンバー、ボルト、ハンマー、ファイヤリングピン、エジェクター、コッキングレバー、セーフティ、フロントサイト、リアサイトを製作する。
製作したらマガジンを長いバナナのような形をし、チャンバーとボルトとファイヤリングピンとエジェクターを組み立てる。
次にバレルの身長を415mmにし、銃口を7.62mmにしたら、ライフリングの四条右回りにする。
ストックは薪二本で作る。
後は一通り組み立てれば、AK47の完成だ。
とはいえ、コピーが出来るほど簡単だったが、これを実践で使えるのか分からない。
投影したパーツは多少歪んだところがあるからな。
すこし中を見つつ、弾丸を製作する。
弾丸は.38スペシャル弾を製作するのと同じだが、火薬量や弾頭の形状の違いがあるからな。
失敗しない様に細心の注意を払いながら、7.62×39mm弾を作成する。
弾丸を7.92mmまで投影し、ボムストーンを雷管代わりとして仕込めば7.62×39mm弾が完成する。
しかし、まだ火薬量については分からないし、安定して使えるかどうかも怪しい。
とにかく今は試し撃ちするしかない。
そう思いながら火薬量を少なくした7.62×39mm弾をマガジンに装填し、それをAK47に刺し込む。
ガチャッとした音と感覚が手や耳に流れ、コッキングレバーを半分引いて離す。
すると手から強い衝撃を感じ、予備のために肉体全強化を発動させて、銃口を的に向ける。
「スゥ、ハァ……」
少しだけ呼吸を挟み、風が止まったと同時に引き金を引く。
すると7.62×39mm弾が放たれ、持ち手からとてつもない振動が幼い身体に襲い掛かる。
クッ、爆発に備えて肉体全強化を発動したが、振動がこれほど幼い身体にとってキツイなんて!
そう思っているとマガジン内の弾が切れ、俺は振動で震える手を放して尻もちをついてしまう。
俺は震える手を見て呟く……。
「ハハ、問題は大量だな……」
俺はそう呟きながら的を見る。
的には弾痕が十センチくらい離れており、当たっているのが五発だ。
幼い身体だから狙いがずれ、さらに排莢口から覗けばライフリングが少し歪んでいる。
これは今すぐ改良と鍛錬が必要だな。
じゃないとうまく活用する事が難しい。
俺は失敗したAK47を眺めながら立ち上がり、今後の改良点を知るために一度作業部屋に戻る。
ちなみにチート能力は造魔や天魔などの特殊な魂を使えば強化する事ができ、試しにお世話になっている物体投影を強化する。
強化されたのは投影の精度と投影完了の時間短縮だな。
マァ、時間短縮の方は数秒くらいだけど。
何はともあれ、これならチート能力を強化して戦闘や制作でうまく活用していくか。
俺はそう思いながらAK47を調べ上げ、時間が遅くなる前に家に帰る。
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