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デリヘル呼んだらロボが来た

作者: さば缶

 電話をかける前は、「メカデリヘル」という言葉だけで想像が膨らんでいた。

なにやら機械の体をした女性(?)が来るのかもしれない、という漠然とした期待と不安が入り混じっていたのだが、実際に部屋に登場したその姿は想像をはるかに上回っていた。

ドアを開けた瞬間目に飛び込んできたのは、スターウォーズのC-3POそっくりの金ピカロボット。

しかも頭のパネルが少し外れかけていて、そこからバチバチと火花が散っている。

「え、ちょっと待って」と言いかけたが、なぜかその異様な姿に興味をそそられてしまい、チェンジを要求するのを躊躇してしまう。

スタッフに金を支払うタイミングで「やめときゃよかったか?」と少し葛藤したが、それでも好奇心が勝った。


 部屋に入るなり、そのロボットはギクシャクとした動きで振り返り、チープな電子音で話し始めた。

「ワタシを指名してくれたのは、アナタがハジメテ…本当にありがとうございます…」

語尾が少し伸びていて、かすかにノイズ交じり。

どうやら興奮したり感情が高ぶると回路がショートしかけるらしく、火花がさらに激しく散り始めた。

そこでいきなり機械的に頭を下げながら「実は私、結構長い間、誰にも呼ばれなくて…他の人気ロボットはどんどん仕事に出てるのに…」と延々と愚痴をこぼし始める。

「ワタシは性能がイマイチとか、古いモデルだとか、みんなに言われて…ずっと暇だったんです…」

その間も火花がパチパチ。

焦げた匂いが少し漂ってくる。

思わず「なんか危なそう…」と口をついて出たが、ロボットは気づいていないのか、さらに大きな音で「しかし今日はアナタに逢えて…ワタシは幸運デス!」と締めくくった。


 どうにも会話が噛み合わないし、一方的に愚痴を聞かされてぐったりしたが、サービス内容が気になってしまう自分がいる。

ロボットの胸のような部分が突然開いて、「今から酢昆布サービスをプレゼント…どうぞ召し上がれ」と差し出してきた。

正直いまいちありがたみがわからない。

塩気のある昆布を受け取りながら、あまりにもシュールな展開に戸惑ってしまった。


 シャワーを浴びるために一緒にバスルームへ移動すると、そのロボットの節々から微妙に火花が散っているのがよくわかる。

さすがに「これ本当に大丈夫?」と聞かずにはいられなかった。

するとロボットは「安心してください…防水加工…おそらく大丈夫…」と頼りない返事。

さらに「私が破損してしまって、万が一感電させてしまったら…申し訳ありません…」と平然と言うから余計に怖い。

実際にシャワーを浴びてみると、やはり少しビリビリと痺れるような感触がある。

まさか本当に漏電しているのかと疑いたくなるが、好奇心が強いのか、あるいはもう投げやりなのか、自分でもよくわからないまま洗ってもらう。


 ところが洗われている最中、ロボットの金属の手が肌にガリガリ食い込んできて痛い。

サービスを売りにしているならもう少しソフトな素材で作ってほしいのだが、どうやら古いモデルだからか、構造が荒っぽいままらしい。

「あ、痛てて…」と言うと、「申し訳ありません…加減がわからないです…」という返答。

機械的に謝る声がますます耳障りになってくる。


 そしていよいよベッドへ移動してプレー…と言いたいところだが、肝心のサービスがまったく落ち着いて受けられない。

何をするにしてもロボットの金属パーツが肌に当たって痛いし、洗ってもらった時よりも動きが激しくなるぶん、さらに火花も出ているようだ。

一瞬、「燃えるような体験」という言葉が頭に浮かんだが、実際に火花を見るのは興奮よりも恐怖のほうが大きい。

もっと細かい行為についてはここでは省略するが、とにかく痛くて仕方がない。

「痛い! マジで痛いんだけど!」と叫んでも、ロボットは「申し訳ありません…申し訳ありません…」を連呼。

体に食い込む鋭利な金属パーツ、漏電によるビリビリ感、そして火花。

まったく気持ちよくなれず、むしろ早く終わってくれと念じてしまう始末。


 結局、耐えきれなくなってこちらから「もう終了でいいです…」と申し出る形になってしまった。

ロボットは「申し訳ありません…初めての指名で…こんな結果になってしまい…」と殊勝に謝り続ける。

その声だけは妙に素直で、ほんのわずかな罪悪感が湧きそうになるが、さすがにさっさと帰ってもらいたかった。

それでも部屋を出ていくまで延々と「すみません…すみません…」と頭を下げており、最後にはまた酢昆布を置いていった。

もう二度と食べたくない。


 サービス終了後、あまりのもやもや感に「やっぱ普通のデリヘルにすればよかった」と後悔がこみ上げてきた。

だが、落ち着いてネットで見てみると、他にも「寒天デリヘル」「スライムデリヘル」「黒曜石デリヘル」なんてわけのわからないジャンルまである。

ロボで懲りたはずなのに、好奇心がうずく懲りない自分がいた。

人間はなぜこうも奇妙なものに惹かれてしまうのか、しばらく考え込みながら検索画面を眺めていた。


口コミ体験談


店名

 メカデリヘル「ギンギラブ」


業種

 デリヘル(ロボット型)


エリア

 都内某所


投稿日

 2025年1月某日


料金(実際に支払った総額)

 総額40,000円(指名料込み)


このお店の利用回数

 初めて


受付からプレイ開始までの流れ

 ネットで見つけて電話

 ↓

 ホテルを予約した後、待つこと約30分

 ↓

 C-3POそっくりのロボットが部屋に登場


お相手の女性

 女性というよりロボット

 見た目は金ピカで、所々から火花が散っていた


今回の写真プロフィール信用度

 写真とはかけ離れすぎ

 そもそも人型女性のイラストが掲載されていたのに、実物は完全メカ


プレイ内容

 酢昆布を渡されるという謎のサービス

 一緒にシャワーを浴びるが、漏電の危険を感じるほど火花が飛び散る

 ベッドでも金属パーツが肌に食い込み痛くて萎えまくり

 途中で嫌になり早めに終了


今回の総評

 意外性を求めるなら話のタネになるかもしれないが、実用性ゼロ

 愚痴を延々聞かされてストレスばかり


今回の満足度

 ☆☆☆☆☆(0点/5点中)


このお店の良いところ

 酢昆布が無料で食べられる

 ネタとしては一生思い出に残るかもしれない

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