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08 探し人 ♢

アルがクリスお兄様に認められてから半年が経った。

出会った時から何か胸の高鳴りのようなものはあったけれど、アルがいつも側にいてくれるせいなのかことあるごとに心がふわふわしたりドキドキしたり忙しい。

まだアルの記憶は戻らないけれど、いつまでこうしていられるのかわからない。けれど、わからないからこそこの時間が尊いものに思えてくる。


今日は王都でひらかれる年に一度の建国祭だ。作物が採れることへの感謝も兼ねての祭りであり、たくさんの出店もあって賑わいを見せている。


「わぁぁぁ!やっぱりすごい!」

辺境の地から遠出をして来たかいがある!様々な店が連なって目移りしてしまうわ。


「ミレーヌ、人が多いからはぐれないように気をつけて」

人とぶつかりそうになる私を、アルがとっさに腕をひいて避けてくれた。


「ごめんなさい!ありがと……」

お礼を言って顔をあげると、アルが呆れた顔をしつつも優しい顔で見下ろしてくる。

よくよく考えたら、今この状態はアルに後ろから抱き止められてる状態だ。


「あ、あぁそうだ、行きたいお店があったの。あっちよ、行きましょう!」

アルから素早く離れて先を急ぐ。やっぱりアルと一緒にいると心臓がおかしい。そもそもアルも距離感がおかしいのだ。



「アル、ここのお店……なの……」

お目当てのお店の前に到着し振り返ると、アルの姿が見えない。

やってしまった。はぐれないようにと言われた側からはぐれてしまっている。


「はぁ、どうしよう。絶対に怒られてしまうわ……」

ため息をついて辺りを見渡していると、近くから気になる会話が耳に入ってきた。



「見つけたか?」

「いや、さすがにこの人混みでは。ただ、金色の瞳の男を見かけたという話をいくつも聞いたからこの国にいるのは確かだろう」

「だが髪の毛の色が違うのだろう。人違いの可能性もある」

「なんにせよ慎重に探そう。もしも生きているとなっては一大事だ」




金色の瞳。生きているとなっては一大事。

そのフレーズにハッとなって会話の主の方向を向くと、そこにはもう人はいなくなっていた。


嫌な予感がする。冷や汗がわき出てきて手が震える。さっきの人達が探しているのは、もしかして


「ミレーヌ!」

呼ばれて振り返ると、アルがいた。慌てて来たのか息をきらしている。


「はぐれるなと言ったろう」

ほら、と手を繋がれる。温かい。アルが無事なことにホッとする。


「ミレーヌ?どうかしたのか、顔色が悪いぞ」

「な、なんでもないわ。ちょっと人に酔ってしまったみたい」

「手が震えているぞ、本当に大丈夫か?今日はもう屋敷へ戻ろう。祭りはまだ何日もある。また来ればいい」


足元のおぼつかない私の肩を抱きながらアルは歩く。そんな私達のことを建物の陰から見ている人がいたことを、その時は全く気づかなかった。







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