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54 目覚め ♢

「……ったじゃないか!」

誰かが怒鳴る声がする。あの声は、たぶん、クリスお兄様……?


ゆっくりと目を開けてざわざわと音がする方を見ると、そこにはクリスお兄様がアルフォンス様の胸ぐらを掴み、そんなクリスお兄様をシャルド様が押さえようとする姿があった。


「クリス、お兄、さま……?」

声を発したけれど弱々しくなってしまった。でも、どうやらお兄様達は気づいてくれたみたい。


「ミレーヌ!!!」

クリスお兄様がアルフォンス様の胸ぐらを離してこちらに駆け寄ってくる。アルフォンス様もすぐに体制を立て直してこちらに走ってくる。


「あぁ!ミレーヌ!よかった目を覚ました!」

「傷は浅かったですし治癒魔法で完治していますから大丈夫だと申しましたでしょ……」

「そういう問題じゃない!!」


クリスお兄様とシャルド様が押し問答をしている。なぜこんなに喧嘩しているのかしら?

そういえばここは?私はどうして横になっているのかしら……。はっ!


「アルフォンス様!ご無事なのですね!」

ガバッと起き上がると、クリスお兄様もアルフォンス様も慌てている。


「そんなにいきなり起きてはだめだよ、ミレーヌ」

「私はこの通り大丈夫だ、そんなことよりミレーヌ、君は大丈夫か」


二人に見つめられ心配されてしまう。二人とも美しい顔立ちをしているのでそんなに近くで見つめられると思わず照れてしまうわ。


「だ、大丈夫です。どこも痛くありません」

「治癒魔法が効いたんですね、よかった」

シャルド様が安堵した顔でこちらを見た。近くにはレンブラント様とラインハッシュ様もいる。


「あの、私が倒れた後はどうなったのでしょうか」

クラリーゼ様の短剣を背中に受けて倒れた後のことは全く記憶にない。


「ミレーヌ様、あなたは3日間ずっと眠ったままだったんですよ」


シャルド様の話によると、たまたまあの場にあった短剣には元々眠りの魔法が付与されていたらしく刺されたショックと魔法の効果で眠り続けていたそうだ。刺された傷口自体は治癒魔法であっさり治ったらしい。


「サイオスとクラリーゼは共に捕まったよ。サイオスはミレーヌ嬢を毒殺しようとした罪と共にアルフォンス達を狙った経緯も事細かに聞き出した」

レンブラント様が静かに言う。


旅商人サイオスは、時期王位継承者を自分と懇意にしている貴族の後押しが多いレンブラント様にしたかったらしい。

ただ、レンブラント様自体は貴族の後押しや派閥に興味がなく、優秀な側近ラインハッシュが目を光らせていたため自分の思い通りに操るには難しいと考えた。

そこで、王族内で密かに噂されていたラインハッシュ様の出生の秘密を利用し、第二王子とその側近、そして第一王子の側近も全て消して第一王子であるレンブラント様を孤立させようとした。

孤立した後は貴族に頼るしかなくなる、そうなれば貴族と懇意である自分の思い通りに物事を運べると思ったらしい。


「私もずいぶんとバカにされたものだよ。ラインハッシュ達がいなければ何もできないと思われていたようだ」


レンブラント様は気難しい顔をしてため息をつく。


「ミレーヌ嬢をまた危険に、しかもこんな目に合わせてしまったことは本当に申し訳ないと思っています本当に、なんと詫びたらいいのか」


レンブラント様がクリスお兄様へ深々とお辞儀をすると、アルフォンス様とシャルド様、ラインハッシュ様も深々とお辞儀をする。


「こうなるかもしれないと思ったから嫌だったんだ。ミレーヌの意思を尊重したいと思っていたけれど、こんなことになるなら無理矢理にでも連れ帰るべきでしたね」

クリスお兄様がレンブラント様達へ冷ややかな目を向けて言い放つ。


「お兄様、どうかもうそのくらいにしてください。今回の件は私が勝手に動いてこうなったのです」

「違う、俺がクラリーゼに隙を見せたのが悪かったんだ。ミレーヌをこんな危険な目に合わせてしまって……」

アルフォンス様が苦しそうに言う。私のためにそんな顔をするのはおやめください……!


「どうか、もうお気になさらないでください。こうして私は無事でしたし、黒幕も捕まりました。これで全て終わりですよね」

皆の顔を見ながら微笑むと、それぞれがそれぞれに諦めたような安堵したような顔で微笑んでいる。


「そういえば、お兄様はどうしてティムール王国にいらっしゃるのですか?いらっしゃるにしてももう少し時間がかかるかと思っていましたが」


「それはもちろんミレーヌの身に危ないことが起こったんじゃないかと思ったからだよ。虫の知らせってやつかな」

クリスお兄様が私の耳元のピアスをいとおしそうに撫でながら優しく囁いてきた。


「そうだったんですね……でもお兄様にこうしてまたすぐにお会いできて嬉しいです」

嬉しくて思わず微笑むと、クリスお兄様も満面の微笑みを浮かべている。


ふと、後ろでアルフォンス様が頭を抱え、シャルド様が笑いをこらえている。レンブラント様とラインハッシュ様はやれやれというようなお顔をしてらっしゃるけれど……なぜなのかしら?



ミレーヌのピアスについては25話を参照。

補足すると、クリスがミレーヌにプレゼントしたピアスには位置感知と同時にミレーヌの命に危険が及ぶとクリスに知らせにいくようになっている…ということになっています(後付けになってしまいました)。

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